郷土料理|冬においしい2食材で作る、「ぶり大根」の栄養と作り方のコツ(石川県・富山県)
晩秋から初冬に雷が鳴る「ぶりおこし」が起こったら、本格的な能登のブリ漁のはじまり。冬のブリは脂がしっかりのって美味なこと、成長によって名前が変わる出世魚であることから、石川県では年の瀬の贈答品としてよく選ばれます。いまでこそ全国的に作られるぶり大根ですが、実はもともと石川県・富山県の郷土料理でした。今回はブリと大根の栄養や、ぶり大根をパサつかせずにおいしく作るコツをご紹介します。
晩秋から初冬に雷が鳴る「ぶりおこし」が起こったら、本格的な能登のブリ漁のはじまり。冬のブリは脂がしっかりのって美味なこと、成長によって名前が変わる出世魚であることから、石川県では年の瀬の贈答品としてよく選ばれます。いまでこそ全国的に作られるぶり大根ですが、実はもともと石川県・富山県の郷土料理でした。今回はブリと大根の栄養や、ぶり大根をパサつかせずにおいしく作るコツをご紹介します。
ブリも大根も冬が旬
冬のブリは産卵のためにエサをたくさん食べて肥えており、背中までしっかりサシが入っているのが特長。この時期のブリは特に「寒ブリ」と呼ばれ、冬しか味わえないおいしさです。一方で大根の旬も冬。水分をたっぷり含んで甘みが増しています。
ブリと大根を甘辛い汁で煮た「ぶり大根」は、冬にぜひ食べていただきたいメニュー。たっぷりのったブリの脂のうま味が大根に移って、ご飯もお酒も進みます。
ブリの栄養と、パサつかないようにするコツ
生活習慣病の予防効果が期待されている「DHA」や「EPA」は、ブリをはじめとした青魚に多く含まれています。特に脂に含まれているので、脂ののった寒ブリは一年で最も「DHA」「EPA」を蓄えていると言えるでしょう。抗酸化作用のあるビタミンEや、筋肉や骨など、健康な体作りに欠かせない良質なたんぱく質も豊富です。
さて、そんな脂ののった冬のブリですが、煮物にするとパサパサになってしまうという声も聞かれます。これは煮汁をしっかり含ませたくて長時間煮込んでしまうのが原因。煮汁が沸騰したら火を弱め、「グツグツ」ではなく「コトコト」と15~20分程度煮付けたら火を止めましょう。あとは冷める間に煮汁が染み込んでくれます。
ブリを使ったおすすめメニューはこちらでもご紹介しています。
ぶり大根に使う大根、どの部位がおすすめ?
大根の辛味成分にはノドの腫れや胃炎などの炎症を鎮める働きがあり、消化酵素のジアスターゼは食べ物の消化を助けます。ただし、これらの成分は加熱により減少するので、こうした効果を期待するならば大根おろしや大根スティックなどの生食がおすすめです。
また、大根の葉っぱはビタミンA・C・K、カルシウムなどが豊富な緑黄色野菜。新鮮な葉付き大根が手に入ったら、ぶり大根の火を止めた鍋に葉を入れ軽くあたためて一緒に食べるとよいでしょう。
ぶり大根の大根は、やはり厚く切ってとろりとした食感と甘みを楽しみたいもの。部位としては甘みがあって水分の多い真ん中あたりがおすすめです。ぶり大根にする時には煮詰める時間が長いとブリがパサつきますから、大根だけを水から下ゆでして、中まで火を通して使いましょう。
大根の栄養や活用法は、こちらも参考になります。
手間のかかる「ぶり大根」を、手軽な缶詰で
食材2つだけを使ったぶり大根は、手間暇をかければとてもおいしくなるメニューです。ブリに塩を振って出てきた水分を拭き取り、熱湯をかけてから水で洗い流し、大根はあらかじめ下ゆでをして火を通しておきましょう。
丁寧に作ったぶり大根はとってもおいしいのですが、下ごしらえの手間を考えるとなかなか億劫なもの。もっと手軽にぶり大根をいただくには、缶詰がおすすめです。
世田谷自然食品の「ぶり大根」は、煮込む前に塩こうじに漬け込んで、一度蒸してから煮込むことで柔らかな食感に仕上げました。適度に身がしまった国産の天然ブリと大根にしっかり味が染み込んでいます。手間のかかるぶり大根をお手軽に食卓へ、ぜひお試しください。長期保存も可能です。
うま味が大根にも移って、ブリのおいしさがダイレクトに味わえるぶり大根。ブリがおいしい冬にこそ食べていただきたい郷土料理です。手作りでも缶詰でも、器に盛り付ける際に千切りにしたショウガをちょっと載せると爽やかさが加わります。旬のものをたくさん食べて、この冬も元気に乗り切りましょう!
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