
間違いやすい日本語|「うがった見方をする」「失笑」 実はネガティブなニュアンスはない言葉
言葉の使われ方は、時代とともに変わるものですが、とりわけインターネットが身近になり、一般の人が発する言葉が誰にでも届くようになった今、その変化のスピードは増しているといえるかもしれません。今回は、もともとネガティブな意味合いのない言葉なのに、昨今、意味がゆがめられて使われやすい「うがった見方をする」と「失笑」をご紹介します。
言葉の使われ方は、時代とともに変わるものですが、とりわけインターネットが身近になり、一般の人が発する言葉が誰にでも届くようになった今、その変化のスピードは増しているといえるかもしれません。今回は、もともとネガティブな意味合いのない言葉なのに、昨今、意味がゆがめられて使われやすい言葉をご紹介します。
「穿つ(うがつ)」の意味を深堀りすれば うがった見方をする

「君はうがった見方をするね」、と言われたら、どんな気持ちになるでしょう。ショックでしょうか、それとも誇らしい気持ちがするでしょうか。次に紹介するのは、平成23年度の「国語に関する世論調査」で出た設問です。
問.「うがった見方をする」とは、どのような意味でしょうか?
2. 疑って掛かるような見方をする
・
・
・
答えは、1の「物事の本質を捉えた見方をする」です。
2と思った方が多かったのではないでしょうか。実は、「国語に関する世論調査」で正答した人は26.4%しかおらず、2の「疑って掛かるような見方をする」を選んだ人が48.2%と多数だったのです。さらには、20%の人がこの意味を「わからない」と答えました。なんと7割近くの人が、正しい意味を知らない言葉なのです。ほめるつもりで「君はうがった見方をするね!」と言って、相手が傷つく……という可能性もあるということです。
「うがった」は漢字で「穿った」と書きます。「穿つ」は「雨だれが石を穿つ」というように、穴をあける、貫き通す、といった意味ですが、それが「物事を深く掘り下げる」といった意味に転じて、「物事の本質をうまく的確に言い表す」という意味も持つようになりました。「彼の話は真相を穿っている」といった使い方もします。
音が似ているだけで「穿った」には「疑った」の意味はありません。ネガティブな意味合いではないことは覚えておきたいですね。
うっかりに注意 失笑

笑いにもさまざまな種類があります。微笑、爆笑、苦笑、冷笑、嘲笑、失笑などなど。さて、この中で「失笑」という言葉の意味、正しく知っていますか?
問.「彼の行為を見て失笑した」という場合、失笑はどのような意味でしょうか。
2. 笑いも出ないくらいあきれる
・
・
・
答えは、1の「こらえ切れず吹き出して笑う」です。
これは平成23年度の「国語に関する世論調査」で出された設問です。失笑とは、思わず笑い出してしまう、おかしさのあまり噴き出すという意味になります。特に、本来なら笑ってはいけないシチュエーションで、こらえられずに笑ってしまうようなことを指します。ですが、調査では、2の「笑いも出ないくらいあきれる」と誤答した人がなんと60.4%。正答者は27.7%しかいなかったのです。
失笑は笑いも出ない、といった状況で使われる言葉ではありません。「失」には、なくすという意味のほかに、しくじる、あやまつ、という意味があります。うっかりしたものいいを指す「失言」とか、あやまって火事をおこす「失火」といった言葉があるように、失笑も、うっかり笑ってしまうことなのです。
一方で、「失笑を買う」という慣用句になると、愚かな言動で笑われることを指します。そこには「あきれる」というニュアンスが加わりますから、2の意味に近づきます。こうした慣用句のイメージから、失笑が、あきれて笑いもでない、という間違った意味でとらえられるようになったのかもしれませんね。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
健康メニュー|皮ごと食べたい「鮭」 おいしい切り身の見つけ方
鮭は身をほぐしやすく、食べやすい味わいで、日本人にとってはおなじみの魚。鮮魚店やスーパーで通年手に入りますが、大まかに三つの種類があり、味わいに個性があることをご存じでしょうか?この記事では、鮭の種類や栄養、おすすめの食べ方をご紹介します。
冬の間に大活躍したダウンジャケットも、暖かくなってきたらしまいどき。素材によっては、ご自宅で洗えるものもあるのでチェックしてみましょう。今回は自宅で洗えるダウンジャケットの条件や、洗う際の手順を解説します。注意点もよく読んでお試しください。
黄色い花と鮮やかな緑の葉と茎を持つ菜の花は、春に短い旬を迎える野菜です。独特の風味を持つ菜の花には、健康効果が期待できるさまざまな栄養が含まれています。今回は、春に味わいたい菜の花の基本と選び方、おいしく調理するコツをご紹介します。
卵は、スーパーへ行くと必ず見かける定番の食材。1年中いつでも買えておいしく味わえる卵に、実は旬の時期があることはご存じでしょうか。今回は、卵の旬の時期や栄養、おいしく卵を味わえるおすすめの食べ方をご紹介します。
健康法|「塩分を摂りすぎた」と思ったら!塩分の排出を助ける対処法
「塩分控えめで健康的な食事」は日々心がけるべきと意識してはいるものの、忙しい時や外食時などには「たまにはいいか」と自分を許してしまう場面も多いはず。今回はそんな時の対処法について解説します。塩分の多い食事を摂った時には、しばらく対処法を意識して、普段の食生活を取り戻していきましょう。