
間違いやすい日本語|寸暇を惜しんで・雪辱を果たす
日常で当たり前のように使っている日本語のなかにも、「間違った日本語」は潜んでいます。 特に誤用されることが多い慣用句でも、今回は「寸暇を惜しんで」・「雪辱を果たす」をご紹介します。では、正しい用法を二択から選んでみてください。
日常で当たり前のように使っている日本語のなかにも、「間違った日本語」は潜んでいます。 こちらでは、特に誤用されることが多い慣用句をご紹介していきます。では、正しい用法を二択から選んでみてください。
寸暇を惜しんで
A 寸暇を惜しまず
B 寸暇を惜しんで
働いた

わずかな時間(寸暇)も無駄にせず、ひたすら何かに一心に取り組んでいることを表す慣用句。ですから、Bの「寸暇を惜しんで」が正しい用法です。これは、休む時間ももったいないくらい、とにかく一生懸命働くという意味になります。
しかし、「寸暇を惜しまず」と誤って使っている人がとても多く、こちらも「国語に関する世論調査」によると半数以上の人が誤用してしまっているのだとか。「惜しまず」と「惜しんで」は反対の意味なので、誤用すると本来とはまったく別の意味になってしまうのです。
誤用の原因として、似た意味を持つ「努力を惜しまず」と混同したため、定着してしまった可能性が高いといわれています。
雪辱を果たす
A 雪辱を果たす
B 雪辱を晴らす

「雪」という字は古くから洗い清めるという意味で使われていたのだとか。これが転じて「すすぐ、清める」という意味を持ちました。「雪辱」という単語は「辱(はじ)を雪ぐ(すすぐ)」、例えば、スポーツなどで以前負けた経験がある相手に勝つことで、過去の敗北で被った恥や失った名誉を取り戻すという意味になるわけです。
そして「果たす」は何かを成し遂げたという意味の動詞ですから、この二つの言葉が結合した「雪辱を果たす」は、過去に失った名誉を取り戻すことを成し遂げたという意味になります。「今日は負けてしまったけれど、次回こそ雪辱を果たす」のように、失敗を経て次で取り返す場合に使うのが、この言葉の正しい使い方です。つまり正解は、Aの「雪辱を果たす」になります。
一方、「晴らす」は、不快な気持ちや疑いを取り去るという意味。「雪辱を晴らす」だと、名誉を取り戻す行為を取り去ることになり、矛盾が生じてしまいますね。「晴らす」を使うのであれば、「屈辱を晴らす」と使うのが適切です。
いかがでしたか? 反対の意味を持つにもかかわらず誤って使われているものや、語感が似ている言葉と混同したものなど、誤用されている日本語にはさまざまなパターンがあります。 迷ったときには、一つひとつの言葉の意味を考えてみると、間違いに気づくかもしれませんね。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
トマトは夏野菜のイメージがありますが、通年入手できるうえ、生でそのまま食べても加熱して食べてもおいしい便利な野菜。市場に安く出回る5~6月は、少し多めに入手して冷凍保存すると1ヵ月は日持ちします。今回は、トマトを加熱した場合の栄養や健康効果、節約・時短調理におすすめの冷凍保存についてご紹介します。
チリソースは、「辛いソース」として日本でも広く浸透していますが、その名前の由来や素材の栄養価などは意外と知られていないのではないでしょうか。今回は、チリソースの由来やスイートチリソースとの違いのほか、栄養価、チリソースを活用したおすすめメニューなどについてご紹介します。
こっくり飴色が食欲をそそる「イカと里芋の煮物」は、ほっと落ち着く家庭料理。2つの食材を組み合わせることによって、お互いの栄養素が働きあって、疲労回復・滋養強壮にぴったりのメニューになります。
アウトドアといえば、遠出をして山や川などの大自然の中で過ごすイメージが強いですが、実は、アウトドアはそこまで遠くへ行かなくても楽しめるアクティビティです。自宅の近くでも、「ご近所アウトドア」として外で過ごす時間は十分作れます。今回は、ご近所アウトドアの楽しみ方についてご紹介します。
日本で広く親しまれている中華料理の中でも、八宝菜は中華料理店や給食などで幅広く食べられているポピュラーなメニューです。八宝菜は決まった具材がないレシピで、比較的自由に調理できます。今回は、八宝菜の由来や日本発祥の八宝菜を使ったメニューなどについてご紹介します。