
郷土料理|「飛鳥汁」(奈良県) 牛乳×お味噌!飛鳥時代をしのぶ古代汁
飛鳥汁(あすかじる)は牛乳と鶏肉、それから季節の野菜が入ったおみそ汁。飛鳥時代に中国の旧王朝・唐から牛乳と鶏肉料理が伝わり、貴族の間で食べられていました。いったんは廃れたのですが、現在は郷土汁として復活しています。牛乳が苦手な人でも食べやすい洋風のおみそ汁です。
飛鳥汁(あすかじる)は牛乳と鶏肉、それから季節の野菜が入ったおみそ汁。飛鳥時代に中国の旧王朝・唐から牛乳と鶏肉料理が伝わり、貴族の間で食べられていました。いったんは廃れたのですが、現在は郷土汁として復活しています。牛乳が苦手な人でも食べやすい洋風のおみそ汁です。

鶏ガラ、牛乳、お味噌の三“味”一体
飛鳥汁の特徴はなんといっても、そのお出汁。鶏ガラスープと牛乳の割合はおよそ3対7とされていますが、厳密に決まっているわけではありません。そこにふんわりとお味噌の香りも加わって、調和のとれた旨みある汁物になります。具材は鶏肉を中心に、牛乳と相性の良いほうれん草やじゃがいもなどの旬の野菜が入ります。
お味噌と牛乳の組み合わせは意外ですが、牛乳独特の臭みがなくなるので、牛乳嫌いの地元のお子さんも、これなら食べられるのだとか。
この飛鳥汁を鍋にしたものは飛鳥鍋と呼ばれ、こちらも飛鳥地方ではポピュラーな食べ物。片栗粉でとろみをつけたり、具材を溶き卵にくぐらせたりしていただく、身体の温まる郷土鍋です。
飛鳥汁のいわれ

画像提供:JA全農たまご株式会社
飛鳥時代は、崇峻天皇5年(592年)から和銅3年(710年)の110年間を指します。今から1,300年前の大昔に唐から日本へと牛乳が伝わりました。牛乳は、貴族しか口にできなかった大変貴重なもので、当時は飲料というより薬として捉えられていました。日本が国号を倭国(倭)から日本へ変えたのはこの頃とされています。
牛乳を使う飛鳥汁は、牛乳が日本に伝わったこの時代に広まったという説が有名です。もうひとつの説は、大正時代に由来するというもの。大正時代、飛鳥地方に国の役人が訪れた際、もてなすための食材がなかったため、飼育していたヤギの乳と鶏の肉を鍋にしたといわれています。どちらもうなずける説ですが、結論は出ていません。
牛乳は、薬から庶民の飲料へ
飛鳥時代、薬用として皇室に納められていた牛乳は、貴族の間で大変もてはやされていました。牛乳を煮詰めた「蘇(そ)」を税金として納める制度もあり、庶民の口には届かない貴重なものでした。
江戸時代に入ると、八代将軍徳川吉宗がインドから牛を輸入します。酪農はすでに飛鳥時代からありましたが、拡大したのはこの頃。江戸時代末期には日本初の牛乳の販売が始められています。しかし、奈良時代から幾度も発令された肉食禁止令によって、肉食を想起させる牛乳もタブーとする文化が残っており、国民には好まれませんでした。

さらに時が過ぎて明治時代。「天皇は1日2回牛乳を飲まれている」と新聞で報道されると、国民にも牛乳を飲む習慣が広まりはじめます。時代は近代化・欧米化へ邁進する文明開化のさなか。牛乳の販売業へ転換する武士や、牛乳屋を経営する華族たちによって、さらに牛乳の飲用が盛んになったのです。
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