間違いやすい日本語|「潮時」「悲喜こもごも」 ニュースや新聞でも誤って使っていることがある!?
ニュースや新聞などでよく聞く表現が、実は使われ方とはまったく逆の意味を持っていた、ということがあります。今回は、そんな誤った意味としてニュースの見出しなどにも登場するケースもある「潮時」と「悲喜こもごも」について、取り上げてみましょう。
ニュースや新聞などでよく聞く表現が、実は使われ方とはまったく逆の意味を持っていた、ということがあります。今回は、そんな誤った意味としてニュースの見出しなどにも登場するケースもある「潮時」「悲喜こもごも」について、取り上げてみましょう。
潮時
次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?
2:じっと様子を見計らって、潮時を待っていた。
・
・
・
「何かを行っていて限界を感じた」、または「うまくいかずやめるタイミングを見計らう」際に「潮時」という言葉を使いたくなることはありませんか?例えばスポーツ選手が引退間際という状況になった場合に、やめ時・引き際という意味を含んで用いられる「潮時」という表現。どちらかというとネガティブな表現と思っている人も多いはず。しかしこのような使い方は、実は誤りなのです。
潮時とは、文字通り海の潮の満ち引きから来た言葉。漁師が漁に出る際に、潮の満ち引きから最適なタイミングを見計らって船を出していたことが語源となっているのだそうです。そんな様子が転じたのが「潮時」という言葉なので、本来は「何かを始めるのにいい時期」「最も良いタイミング」という意味を持っています。ですから、正解は「2」です。
「潮時」は、誤用としての意味が広く知られており、平成24年度の国語に関する世論調査において、ネガティブな意味で「潮時」を使用している人が3割に及んだことがわかっています。
ちなみに、潮時と似た意味を持つ言葉に「時宜(じぎ)」があります。もともと「時期が適している」「ちょうどいい頃合い」という意味でしたが、時とともに「状況を見極める」ことや「その状況での気持ち」という意味に変化しました。それがさらに「他人への配慮」という意味に変わり、「適当・適切な挨拶」である「お辞儀」となったといわれています。
悲喜こもごも
次のうち、正しい使い方はどちらでしょう?
2:大学の合格発表の場では、多くの受験生たちの悲喜こもごもという様子が見られた。
・
・
・
「悲喜こもごも」は漢字で「悲喜交交」と書き、「交交」とは次々、代わる代わるという意味を持っています。つまり「悲喜こもごも」とは、「嬉しいことと悲しいことが同時、または入れ替わりに訪れる」、「悲しみと喜びを交互に感じる」という意味になります。ただし、これは大勢の思いをひとまとめにしているのではなく、“一人の人間の心境のみ”を表現しています。ですから、2のように受験生それぞれの嬉しい、悲しいという感情が入り乱れる様子を、まとめて「悲喜こもごも」と表現するのは誤用。複数名の気持ちをまとめて表現するのであれば「明暗が分かれる」などの表現が適切です。
そのため、正解は「1」となります。
しかし、近年では大勢の気持ちが入り交じる様子を表す言葉として、ニュースの見出しなどでも「悲喜こもごも」が使用されるケースも少なくありません。また、両方の意味を掲載している国語辞典もあるようで、現在では広い解釈がみられる表現となっています。
いかがでしたか?ニュースや新聞の見出しなどでも、誤った使われ方がみられる表現をご紹介しました。本来は誤用であっても、国語辞典に併記されるほど一般的な意味に変わっていくのは、日本語表現の特徴といえそうですね。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
そばは1年を通して多くの場所で提供されている、日本で定番の麺メニューですが、秋に旬を迎える「新そば」をご存じでしょうか。そば本来の味や香りが堪能できる新そばは、秋の風物詩のひとつです。今回は、秋の旬の食べ物でもある秋の新そばの基本情報と栄養、おすすめの食べ方についてご紹介します。
神社の境内が賑やかに彩られる11月の風物詩「酉の市」。縁起物をたくさん乗せた豪華な熊手や威勢のよい掛け声に、一年の早さにおどろきつつ気分がウキウキするという方も多いのでは?この記事では酉の市がもっと楽しくなるその由来や、熊手を買う時のお作法、飾り方をご紹介します。
健康メニュー|野菜と味噌を一緒に発酵 食べる味噌「金山寺みそ」の魅力&使い方アイデア
金山寺みそ(きんざんじみそ)とは、味噌の材料と野菜を一緒に発酵させた「食べる味噌」です。野菜の甘みや麹のうま味、塩分が重なり合って、ご飯のおともやお酒のアテにと、幅広く使えます。あると便利な金山寺みその由来や食べ方をご紹介します。
日常的にトレーニングをしている方にとっては、体幹トレーニングはごく一般的なトレーニングのひとつです。しかし、普段運動をあまりしていない方、体力に自信がない方にとっては、「トレーニング」はキツいものと思われがち。実は、家でもできて難易度が低い「体幹トレーニング」も多くあります。今回は、初心者でも実践しやすい基本の体幹トレーニングをご紹介します。
「新米」のラベルが貼られたお米が出回ると、1年の早さにおどろきつつもちょっぴりうれしい気持ちになりますね。ところで新米と呼べるのは、どんなお米のことかご存じですか?今回は新米の定義から、新米のおいしさを引き出す炊き方や保存のコツをご紹介します。