
日常生活マナー|エスカレーター 安全な乗り方を改めて確認しよう
鉄道駅や商業施設など、多くの公共スペースに設置されているエスカレーター。実際に普及しているマナーは、関東と関西で違っていたり、設備を提供する側から推奨されるものとは乖離があったりしましたが、今まさに見直されてきています。お互いに気持ちよくエスカレーターを利用できるよう、今回は、エスカレーターのマナーやその変遷について、ご紹介します。

鉄道駅や商業施設など、多くの公共スペースに設置されているエスカレーター。実際に普及しているマナーは、関東と関西で違っていたり、設備を提供する側から推奨されるものとは乖離があったりしましたが、今まさに見直されてきています。今回は、エスカレーターのマナーやその変遷について、ご紹介します。
本来エスカレーターは歩くことを想定していない
■業界団体は「歩かずに」「手すりにつかまって」乗るのを推奨している
一般社団法人日本エレベーター協会のWebサイトには「エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています」とあります。また、乗る際の注意事項として「移動手すりに必ずおつかまりください」と呼びかけています。
動いているエスカレーター上ではバランスがとりにくいのはもちろん、急停止などが起こる可能性を考えても、歩くのは非常に危険なことなのです。
■黄色い線の内側に立ち、ヒールや傘先など尖ったものには特に注意を
同協会のWebサイトでは、衣類が巻き込まれやすい黄色い線の上を避けて内側に立つこと、細いヒールや傘の先など、溝にはまりやすい身の回り品には特に注意するようにも呼びかけています。狭いスペースでは1人のトラブルが他の利用者にも重大な影響を与えかねませんから、気を付けたいところです。
■キャリーバッグは手を離さずに、ベビーカーでの利用は避けて
他の利用者に重大な影響を与えかねないものといえば、転落や転倒のおそれが大きいキャリーバッグやベビーカーも挙げられます。キャリーバッグは手を離さずしっかり固定し、そもそも安定した体勢をとるのが難しいベビーカーで、エスカレーターへ乗り入れるのはやめましょう。
■乗り口や降り口の周りで立ち止まらないようにする
幅の狭いエスカレーターでは、乗り口や降り口の周りで立ち止まることで、他の人が乗り降りしにくくなってしまいます。特に、次々に人が乗り降りしてくるような状況では、接触事故などの危険も高まります。できるだけ速やかに移動するよう心がけましょう。
「左側(右側)を空ける」のは自然に発生した慣習

■1960年代後半は大阪、1980年代後半には東京で定着していく
エスカレーターの片側を空ける慣習は、1960年代後半の大阪である鉄道会社によって呼びかけられ、周辺で自然と定着していったといわれます。1980年代後半には、大型エスカレーターが増え始めた東京でも自然と片側を空ける慣習が見られるようになりました。いずれも、同じような慣習のある海外の国々に倣ったものではないかといわれています。
■「2列で全員止まって乗る」方が輸送効率が良いというシミュレーション結果も
確かに、急いでいる人自身はエスカレーターを歩くことでより早く移動することができますが、その分、自身だけでなく周りの人に対しても接触事故や転倒、転落などのリスクを高めることになります。また、全体を見た場合、歩く人と止まる人を左右で分けるよりも、2列で全員止まって乗る方が、輸送効率が高まるというシミュレーション結果も出ています。鉄道会社などでは「お急ぎの方は階段をご利用ください」とアナウンスしていますから、エスカレーターと階段を使い分けるのが最も効率が良いのかもしれません。
■右(左)に立てないことで困ってしまう人もいる
ケガなどで片方の手すりにしかつかまれない方は、片側空けの慣習によってエスカレーターを利用しづらくなる可能性も出てきます。2列で止まって乗るようになれば、自分がつかまれる方を選ぶことができます。
エスカレーターのマナー自体は、まさに今「2列で全員止まって乗る」よう見直されている最中です。ただ、片側空けをすぐに全廃することには、懐疑的な意見もあります。マナーだからといって、どんな状況でも必ず2列で乗ろうとしたり、歩く人にことさらに抗議したりするのはトラブルの元です。まずは自身が手すりにつかまり、黄色い線の内側に止まって乗ることを心がけることで、お互いに気持ちよくエスカレーターを利用できるようにしてみてはいかがでしょうか。
関連する投稿
ゴールデンウィークから初夏にかけては、陽気に誘われて過ごしやすい時季です。そこで今回は、これまでご紹介してきた旅記事のなかで、「丸山千枚田」「奥入瀬渓流」「尾瀬国立公園」などの、新緑が美しい自然豊かな観光地や散策ルートをご紹介します。
キャッシュレス決済を利用する方が増えるなか、最も使用されているのがクレジットカード。しかし、これまでクレジットカードをあまり使用されていなかった方や、これからクレジットカードの使用を考えている方には分からないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は、いまさら聞けないクレジットカードの使い方や、注意したいポイントについてご紹介します。
語源・由来|「お雑煮」「羽根つき」 正月にまつわるめでたい由来
季節ごとの習わしや行事食は多々あれど、中でもお正月にまつわるものは、多く現代に残っています。今は簡略化されてしまって、そもそもの由来に思いを馳せることは少なくなっているかもしれません。今回は「お雑煮」と「羽根つき」が始まった理由や、言葉の意味をご紹介します。
イベント事のマナー|年の前半の締めくくり「夏越の祓」で、後半も健やかに
6月の終わりに行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、半年分の穢れを祓って夏を迎え、残りの半年を健やかに過ごすための神事。日本各地の神社で行われ、基本的にどなたでも参列できます。今回は、年の前半の締めくくりである夏越の祓について、また、茅の輪(ちのわ)くぐりのふるまい方についてご紹介します。
散策|美しい渓流や苔に癒やされる川沿い散策「奥入瀬渓流」(青森県)
十和田八幡平国立公園(青森県)を代表する景勝地のひとつが「奥入瀬(おいらせ)渓流」です。十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流は、国指定の特別名勝、天然記念物にも指定されています。四季折々の自然が満喫でき、遊歩道もしっかり整備されています。高村光太郎作の乙女の像でも知られる十和田湖と合わせての散策がおすすめで、ガイド付きのネイチャーツアーも開催されています。「星野リゾート奥入瀬渓流ホテル」で大人で優雅なリゾートも楽しめます。
最新の投稿
野菜の豆知識|「クルミ」 健脳作用や美容効果が期待できるスーパーフード
カリッとした食感や香ばしい風味が魅力の「クルミ」。スイーツやパンなどのアクセントになる食材ですが、健康や美容によいスーパーフードとしても注目を集めています。特に、血流の改善や脳の活性化につながるオメガ3脂肪酸が豊富。今回は、クルミが持つ健脳やアンチエイジングなど、さまざまな健康効果についてご紹介します。
芳醇な甘みとジューシーな食感が魅力の「メロン」。高級フルーツの代名詞であり、贈り物としても人気の果物です。メロンは世界中で栽培され、果肉の色や網目によって品種が分類されています。今回は、メロンの概要や栄養、高級メロンブランドのひとつ「クラウンメロン」などについてご紹介します。
人間の体が休息を欲するのは、お昼過ぎと夜の2回。午後にとる短時間の昼寝は、認知力や注意力の向上、集中力や作業効率のアップなど、さまざまな効果をもたらします。午後を効率的に過ごすための、「パワーナップ」の効果と実践のコツをご紹介します。
お酢は、世界中で使われている発酵調味料。食塩と並び人類最古の調味料といわれ、古くから健康によいと親しまれてきました。いろいろな種類がありますが、日本の家庭でよく使われているのが、穀物酢・米酢・黒酢・りんご酢です。「それぞれ何が違うの?」「使い分けが分からない」と、実は知らないことも多いのではないでしょうか。今回は、お酢の種類ごとの特徴と、適した使い方をご紹介します。
両手が空くリュックサック。楽かつ安全性も優れていると思っていても、ビジネスバッグやファッション性の高いバッグに慣れていると、自分に合ったものをうまく選べないことも。今回は基本的なリュックサックの選び方のポイントをご紹介します。