おいしく飲んで健康に もっとお茶を楽しもう
お茶には緑茶や紅茶、ウーロン茶など、いくつか種類がありますが、日本人にとってもっとも身近なお茶といえば緑茶でしょう。昔から「新茶を飲むと長生きできる」といわれていますが、新茶に限らず、緑茶に含まれる成分にはさまざまな健康効果が期待できることがわかっています。緑茶の楽しみ方や成分について知り、おいしく飲んで、健やかな毎日に活かしましょう。
教えていただいたのは
監修: 大森 正司(おおもり しょうじ)
大妻女子大学 名誉教授
1970年、東京農業大学大学院 農学研究科農芸化学専攻博士課程修了。大妻女子大学講師、助教授、教授を経て2013年に名誉教授となり、現在は大妻女子大学「お茶学校」の校長として食育・茶育の指導者の育成に努めている。著書多数。2021年4月29日付けで発令された春の叙勲で瑞宝小綬章(教育研究功労)を受章。
緑茶のうまみ、渋み、苦みを味わう「お茶のフルコース」
緑茶の味は、うまみ、渋み、苦みと、わずかな甘みによって構成されています。
うまみのもとになっているのはテアニンやグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンなどのアミノ酸、渋みのもとになるのがカテキン、苦みのもとになっているのがカフェインです。
それぞれ、水に溶け出しやすい温度が異なり、お茶を淹れるときの湯の温度によって味わいが大きく変わります。まずは、その面白さ、奥深さを知ると同時に、お茶の栄養を丸ごと摂ることができる「お茶のフルコース」をご紹介します。
最初は
うまみたっぷり 水出しのお茶
次は
さわやかな渋み ぬるめのお茶
続いて
苦みが加わる 熱いお茶
今度は
茶がらのおひたし
最後は
茶がらスムージー
注目!
茶がらにも栄養がたっぷり
お茶の葉には、食物繊維やβカロテン(ビタミンA)など体に良い成分が豊富に含まれていますが、水には溶け出さないため茶がらにそのまま残っています。茶がらを捨てずに、うまく料理に利用することでお茶の栄養を丸ごととり入れることができます。
緑茶にもいろいろあるお茶の種類の違い
緑茶というと、多くの人は煎茶を思い浮かべると思いますが、緑茶というのはお茶の葉を発酵させずに製造したお茶の総称で、不発酵茶とも呼ばれます。主に、次のような種類があります。
1. 煎茶
緑茶の中でもっともよく飲まれているお茶。新茶や100gあたり1,000円以上の茶葉はうまみが豊富。
2. 番茶
新茶(1番茶)を摘み採った後に伸びた芽を摘み採ってつくるお茶。カテキン類が豊富で、スッキリとした味わいが特徴です。
3. ほうじ茶
番茶や煎茶を炒って香ばしい香気を出したお茶。
4. 玄米茶
蒸した米を炒り、番茶や煎茶などをほぼ同量の割合で加えたお茶で、炒り米の香ばしさが楽しめる。
ひと手間でこんなに違う!おいしいお茶の淹れ方
ここでは一般的に広く飲まれているものについて、もっともおいしいと思われる、基本の淹れ方を紹介します。基本を試してから、好みに合わせて茶葉の量や蒸らし時間を調節するといいでしょう。
古くなった煎茶をほうじ茶に!
きれいに洗った片手鍋に2~3回で飲み切れる量の煎茶を入れ、強火で焦がさないように鍋を振りながら炒ります。いい香りが立ってきたら火からおろし、冷ませばほうじ茶のできあがり。
緑茶には健康に良い成分がたっぷり
1. カテキン
緑茶の渋みのもとになる成分。高い抗酸化作用があり、食事とともに摂取すると、脂肪の吸収を穏やかにし、生活習慣病の予防にも効果的です。また、風邪やインフルエンザなどの感染症予防、虫歯予防や口臭を予防する働きもあり、食後に緑茶で口をすすぐとさらに効果的です。
2. テアニン(アミノ酸)
新茶のうまみのもととなる成分。テアニンを摂取すると、緊張を和らげたり、ストレスを軽減する効果が期待できます。低めの温度の湯で淹れると、カテキンやカフェインの量を抑え、テアニンを多く抽出することができるので、就寝前にもおすすめです。
3. カフェイン
緑茶の苦みのもとになる成分。眠気を防いだり利尿作用を高めたりします。運動する20~30分前に摂取することで、効率よく脂肪を燃焼させる働きもあります。
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