郷土料理|「めった汁」(石川県) さつまいもの甘さがほっこり 家庭の味
石川県での市町村イベントなどで、今も振る舞われる「めった汁」。豚肉とさつまいも、そのほか四季折々の野菜がたっぷり入った、石川県の方たちの家庭の味・おふくろの味です。地元の方は豚汁にさつまいもが入っていないと物足りないのだとか。
石川県での市町村イベントなどで、今も振る舞われる「めった汁」。豚肉とさつまいも、そのほか四季折々の野菜がたっぷり入ったおふくろの味です。地元の方は豚汁にさつまいもが入っていないと物足りないのだとか。
さつまいも入り豚汁 「めった汁」
めった汁は石川県の郷土料理。具材は豚肉・こんにゃく・だいこん・ごぼう・にんじんなどなど……豚汁ととても似ているこのおみそ汁、違いはさつまいもが入っていることです。
さつまいもと豚肉以外の具材は家庭によって異なり、味付けもお味噌をはじめとして、醤油や酒粕を加えたりとバリエーションも豊富。家庭ごとに味わいが異なるおふくろの味です。
一晩寝かせると味が落ち着いてさらに美味しくなるめった汁は、翌日にいただくのもまた楽しみ。お家で一番大きな鍋で作りたいおみそ汁です。
めった汁の語源
めった汁の語源は諸説あります。「めったに食べられないお肉が入っていたから」「具をメッタメッタに切るから」「やたらめったら具をいれるから」。どれも納得できる説ですが、はっきりとは分かっていません。
石川県では豚肉の入ったおみそ汁といえばめった汁なので、他県の人に通じなくてびっくりすることもあるとか。他県の人にとっては「さつまいもが入った豚汁」ですが、石川県の人にとっては「めった汁を他所では豚汁という」感覚なのかもしれませんね。
コッポコポの「五郎島金時」
石川県の地野菜「加賀野菜」にも「五郎島金時」というさつまいもがあり、金沢市の五郎島・粟ヶ崎地区や内灘砂丘で主に栽培されています。砂丘は作物を育てるのに有利な環境ではありませんが、今から300年以上前に「砂地でも栽培できる作物がある」と鹿児島(薩摩)からさつまいもが伝来したそう。
お芋などに使う「ホクホク」という言葉は、金沢の方言では「コッポコポ」といいます。やさしく上品な甘さが特徴の「五郎島金時」を使ったコッポコポのめった汁、一度は食べてみたいものですね。
今なお愛され、振る舞われるごちそう汁
100人前、200人前と大鍋で大量に作ることができるめった汁は、市町村のお祭りなどで大活躍します。石川県を離れた方が、「豚汁を食べると学校のバザーを思い出す」ぐらい、めった汁は地域行事に密接しているそう。
今年(2015年)で30回目を迎えた石川県の冬の味覚の祭典「フードピア金沢2015」でも、5,000食のめった汁が振る舞われました。
魚釣りをしてめった汁を食べる遊び「川行き」
石川県の南にある山中町では、河原で魚を釣って焼き、一緒にめった汁をいただく「川行き」という遊びがあったのだとか。山中町は山中温泉や山中塗で知られており、2005年に加賀市と新設合併して加賀市になりました。
山中温泉の鶴仙渓(かくせんけい)には、春になると「川床」があしらわれ、観光客などでにぎわいます。現在の鶴仙渓は風雅な趣ですが、昔は子どもたちが「川行き」ではしゃぎ、お腹いっぱいになっていた場所かもしれませんね。
さつまいもはじっくり加熱することで甘みが増すので、おみそ汁はさつまいもにぴったりの調理法です。いつもの豚汁にさつまいもを加えて、石川県の郷土の味、コッポコポの「めった汁」を試してみては?
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