2019年07月19日

郷土料理|山形の「だし」 夏を乗り切る万能おかず

「だし」といえば、かつお節を煮出すなどして作る、うま味の詰まったスープが一般的ですが、山形県には、それとはまったく違う形でありながら「だし」と呼ばれる郷土料理があります。今回は、夏バテ対策にうれしい栄養満点の「だし」や、その食べ方についてご紹介します。


 

「だし」といえば、かつお節を煮出すなどして作る、うま味の詰まったスープが一般的ですが、山形県には、それとはまったく違う形でありながら「だし」と呼ばれる郷土料理があります。今回は、夏バテ対策にうれしい栄養満点の「だし」や、その食べ方についてご紹介します。

山形県で食べられている「だし」とは?

夏野菜を細かく刻んだ香味豊かなおかず

山形県の「だし」は、キュウリ、ナス、ミョウガなどの夏野菜をみじん切りから粗みじん程度に細かく刻んで和えたもので、主にご飯のお供として食べられています。昔は、農家がその日畑で採れた野菜を使って作っていたという話もあり、地域や家庭によってさまざまなレシピが見られます。

「だし」には夏野菜の栄養がたっぷり

基本のキュウリ・ナス・ミョウガだけでも夏バテ防止に

さまざまなレシピがある「だし」ですが、ほとんどのレシピにも含まれるのがキュウリ・ナス・ミョウガの3品です。キュウリには若々しさを保つ働きがあるビタミンCや、腸内環境を整える食物繊維が多く含まれていますし、皮ごと刻んで使うナスには、これも若々しさを保つポリフェノールの一種ナスニンや、貧血を防ぐ働きのある葉酸が含まれています。また、ミョウガの香り成分には血行を促す働きが、辛み成分には抗菌効果が期待できます。

キュウリ・ナス・ミョウガについて詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

ねばねば食材を加えて食感も栄養もアップ!

山芋やオクラなどのねばねば成分には、胃腸を守ってくれる働きがあります。また、山芋にはお肌を健やかにするビタミンや、むくみを取る働きのあるミネラル、骨を丈夫にするカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれています。オクラのねばねば成分のひとつであるペクチンには、食後の血糖値が急に上昇するのを抑える働きが見られますから、しっかり食べて体力をつけたい時はぜひオクラ入りの「だし」を一皿加えておきたいところです。

ねばねば食材について詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

シソやネギでさらに香り高く、夏バテ防止にも

宮崎県の郷土料理「冷や汁」や、埼玉県川島町の郷土料理「すったて」と同じように、「だし」にもミョウガに加えて、シソやネギなどの香味野菜がよく用いられます。抗菌効果や血行を促す働きなどにも相乗効果が見込めますし、爽やかな香りで、暑い夏でも食欲を増進させてくれます。

シソ・ネギについて詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

ご飯をはじめ、さまざまな食材に合う「だし」

 

温泉卵や納豆、ねぎとろを加えてちょっとした丼メニューに

食欲が落ちている時でも食べやすい「だし」。「だし」とご飯だけでもさまざまな栄養が摂れますが、消化の良い温泉卵や胃にやさしい納豆、ねぎとろなど、食べやすくエネルギー源としても期待できる食材を加えてみるのもおすすめです。献立のメインを張れる、ちょっとした丼メニューになりますよ。

卵の消化吸収については、下記の記事も参考にしてみてください。

豆腐にたっぷり乗せて変わり冷奴に

山形県でもよく見られるアレンジが、豆腐との組み合わせです。どちらもあっさりとした味わいながら栄養豊富で、まさに夏バテ対策にはぴったりというわけです。

豆腐については、下記の記事も参考にしてみてください。

そうめんのつゆに加えて薬味代わりに

これもよく見られるアレンジ法です。ミョウガやネギ、シソなどもともと薬味によく用いられる食材も多いので、相性は抜群。温かいご飯が喉を通らない時でも、そうめんと一緒にバリエーション豊かな栄養を取り入れられます。

最近は「だし」も山形県以外のスーパーに並んだり、和食レストランなどで取り入れられるようになりましたが、これらは保存がきくよう漬物風にアレンジされたもの。本来の「だし」は、各家庭で作ってその日のうちに食べ切るのが一般的なのだとか。この夏はぜひ、お好みの野菜で“わが家の「だし」”作りに挑戦してみてください。