2017年10月30日

健康メニュー|酒粕で秋冬も健やかに 残り物でも栄養はたっぷり!

秋から冬にかけて、体が温まるメニューとして粕汁や酒粕入りの鍋料理を楽しむ方は多いのではないでしょうか。日本酒を作った後に残るのが「酒粕」ですが、実は酒粕には体を温める以外にも、さまざまな働きが期待できる栄養素が含まれているのです。今回は、酒粕の栄養素や食べ方についてご紹介します。


 

秋から冬にかけて、体が温まるメニューとして粕汁や酒粕入りの鍋料理を楽しむ方は多いのではないでしょうか。実は酒粕には、体を温める以外にもさまざまな働きが期待できる栄養素が含まれているのです。今回は、酒粕の栄養素や食べ方についてご紹介します。

日本酒を作った後に残るのが「酒粕」

酒粕は、酒造りで米と麹、水を発酵させた後、日本酒となる液体を搾り取った後に残る、かすのこと。酒造りの方法などによって形が異なり、四角い板状になっている「板粕」、板粕を割ったような小さい固形が集まった「バラ粕」(写真)、クリーム状に練られた「練り粕」に分けられます。
もともと造られていた日本酒によって味わいなどの特徴もさまざまなことから、酒粕にも「大吟醸」「吟醸」「本醸造」など、元になった日本酒の種類が冠されていることもあります。

ビタミン類やアミノ酸、食物繊維など栄養も豊富

前述の通り、製法としては“日本酒の残り物”の酒粕ですが、その中には米に由来するさまざまな栄養が含まれています。
代表的なものとしては、体の構成成分などになる植物性のたんぱく質、エネルギーとなる炭水化物、お腹の調子を整えてくれる食物繊維などがあります。
また、体の発育を促す「成長ビタミン」ともいわれるビタミンB1とB2やアミノ酸の代謝を助け、皮膚を健やかに保つビタミンB6などビタミン類も見逃せません。
ほかにも、貧血を防ぐ葉酸、不足すると風邪をひきやすくなるとされる亜鉛、栄養素の消化やビタミン類生成の働きを持つ酵素がたっぷりの麹菌、酵母菌由来の成分として、免疫力を高めコレステロール値を抑えるβ‐グルカン……ここまで栄養豊富だと、まさに“残り物に福あり”といったところでしょうか。

定番の食べ方は粕汁、漬物、漬け焼き、甘酒など

 

酒粕の定番の食べ方のひとつが「粕汁」です。日本酒造りの副産物らしく、関西地方や信越地方、東北地方などの酒どころでよく食べられています。基本的には“酒粕を入れた汁もの”ですが、筍を入れた山形県庄内地方の名物「孟宗汁」(写真)など、各地にご当地のさまざまなレシピが伝わっているのが特徴的です。

野菜をはじめとしてさまざまな食材を漬け込む「粕漬け」も、古くから伝わっている酒粕の食べ方。瓜を漬ける奈良漬、名古屋市周辺のご当地野菜である守口大根を漬ける守口漬、わさびの産地で見られるわさび漬などが有名です。
肉や魚を酒粕に漬けたものも粕漬けと呼ばれますが、こちらは生ではなく、焼いて食べるのが主流。粕を落としてこんがりと焼きあげます。

酒粕を使った飲み物の定番はなんといっても「甘酒」。“飲む点滴”とも呼ばれ、美容と健康のための飲み物として注目されています。
粕汁や甘酒については、下記の記事も参考にしてみてください。

洋食や中華、お菓子にアレンジしてもおいしくいただける

日本酒がルーツなだけに、和食での食べ方が定番となっている酒粕ですが、最近はその旨味や、肉を柔らかくしてくれる性質などを生かして、さまざまな料理の素材、調味料としてアレンジされています。
ハンバーグやカレー、シチュー、グラタンなどの洋食料理、餃子やエビチリといった中華料理、焼き菓子やケーキ、パン類など、レシピが公開されている酒粕メニューのバリエーションの多さは驚くほど。
いつものメニューにちょっと加えてみるだけでも、食べ方が広がりそうです。

粕漬けなど加工済みの食品は食べたことがあるけれど、自分で酒粕を買って調理したことはないという人もいるのではないでしょうか。酒粕を調理し慣れていない人にとってはハードルが高いイメージもありますが、粕汁は味噌と一緒に酒粕を溶くだけで作れますし、唐揚げの下味に加えたり、カレーに加えて煮込んだりと、案外手軽に使えます。ぜひ、栄養たっぷりの酒粕メニューを食卓に加えてみてくださいね。