2019年10月30日

郷土料理|芋煮 栄養たっぷりの味をみんなでおいしく

東北の秋の味として、山形県を中心に各地で食べられている「芋煮」。実は、芋煮は栄養面から見ても、とてもバランスの良いメニューなのです。今回は、栄養たっぷりの芋煮や、その食べ方についてご紹介します。


 

東北の秋の味として、山形県を中心に各地で食べられている「芋煮」。実は、芋煮は栄養面から見ても、とてもバランスの良いメニューなのです。今回は、栄養たっぷりの芋煮や、その食べ方についてご紹介します。

山形県の秋の味、芋煮とは?

里芋や肉、野菜などを煮込んだ汁もの

芋煮は山形県を中心とした東北地方で食べられている汁ものです。里芋に肉、ネギやきのこなどの野菜をたっぷりと入れて煮込みます。肌寒くなってくる秋の食卓には欠かせない、体があたたまる逸品です。

内陸の芋煮は「牛肉×しょうゆ味」、庄内地方は「豚肉×みそ味」

同じ芋煮でも、地域や家庭によって具材も味付けも変わります。大まかに分けると、山形県内陸部で主に食べられている芋煮は里芋と牛肉、野菜をしょうゆ味で煮込んだもの。一方、日本海側の庄内地方で食べられている芋煮は、里芋と豚肉、野菜をみそ味で煮込んだものが多いようです。

秋になると大鍋で作った芋煮を皆で味わう「芋煮会」が

家庭でも食べられている芋煮ですが、山形県の秋の楽しみとしてあちこちで行われるのが、大鍋で作った芋煮を皆で味わう「芋煮会」です。河原などの野外で行われることも多く、その規模も数人で集まるものから大イベントまでさまざまです。ちなみに、ギネス記録を持つ日本一の芋煮会では、直径6.5メートルの大鍋で、重機を使って3万人分もの芋煮が調理されるのだとか。

芋煮の定番食材は栄養がたっぷり

 

コレステロールを抑える里芋、ぬめりには胃を守る働きも

芋煮のメイン食材ともいえる里芋には、複数のぬめり成分が含まれています。コレステロール値を下げるぬめり成分もあれば、オクラやヤマイモ、モロヘイヤなどと同じ、粘膜を保護して胃を守る、肝臓や腎臓の機能を高め、たんぱく質の吸収を高めるといった働きをするぬめり成分も含まれます。芋煮を作る時は、ぬめりを取らずにそのまま食べるのがおすすめです。
里芋については、下記の記事も参考にしてみてください。

牛肉には筋肉を作るたんぱく質や血液を健やかにする鉄分が

内陸地方の芋煮に使われる牛肉は、筋力を保つのに欠かせない筋肉のもととなるたんぱく質が豊富です。たんぱく質の吸収を高める里芋のぬめり成分とあわせることで、より効率的にたんぱく質を摂ることができます。また、血液を健やかにする鉄分も多く含まれています。

豚肉は疲労回復に働くビタミンB群が豊富

庄内地方の芋煮に使われる豚肉は、疲労回復の働きをするビタミンB群を多く含んでいます。里芋の、コレステロール値を下げるぬめり成分や胃を守るぬめり成分とあわせることで、脂の摂りすぎによるリスクを下げることも期待できます。

きのこ類には腸内環境を整える、高血圧を防ぐなど多くの働きが

芋煮によく使われるきのこ類は全般に、水に溶けない不溶性食物繊維が豊富で、お通じを促してくれます。また、しいたけやえのき、しめじは高血圧を防ぐカリウムが多く、まいたけやエリンギはビタミンB群が豊富といったように、それぞれ多くの栄養素を含んでいるので、複数組み合わせて入れるのもおすすめです。
きのこ類については、下記の記事も参考にしてみてください。

芋類、肉類、野菜類にきのこ類とさまざまな食材をバランスよく食べられて、汁ものなので水に溶けだす栄養も残さずいただける芋煮。それでいて、素朴な味でしっかり体をあたためてくれるのがうれしいですね。しょうゆ味、みそ味、具材もここで紹介したものだけでなく、いろいろ工夫しておいしい芋煮を味わってみてください。