2021年07月19日

郷土料理|泥亀汁 近江商人の夏バテ予防食(滋賀県)

泥亀汁(どんがめじる)は、滋賀県湖東地方に伝わるみそ汁。“日本三大商人”のひとつといわれる近江商人が、夏バテ予防のために食べていた郷土料理です。名前だけ聞くと少し驚きますが、もちろん泥や亀が入っているわけではないのでご安心を。今回は、泥亀汁の栄養やレシピについてご紹介します。


泥亀汁(どんがめじる)は、滋賀県湖東地方に伝わるみそ汁。“日本三大商人”のひとつといわれる近江商人が、夏バテ予防のために食べていた郷土料理です。名前だけ聞くと少し驚きますが、もちろん泥や亀が入っているわけではないのでご安心を。今回は、泥亀汁の栄養やレシピについてご紹介します。

郷土料理「泥亀汁」とは

 

泥亀汁は、滋賀県の湖東地方を中心に県内全域で食べられている郷土料理。ナスをだし汁でやわらかく煮込み、味噌とすりごまを加えて作ります。泥亀汁の名は、味噌とごまで濁った汁にナスが浮かぶ様子が、泥沼を泳ぐ亀(スッポン)のように見えることに由来するのだそう。ナスは、味が染み込みやすいよう表面に格子状の切れ目を入れるのがポイント。こうすることで、ますます亀の甲羅のように見えますね。

湖東地方は、近代商社の原型を作ったといわれる近江商人の発祥地として知られます。日本中を歩き回っていた商人たちにとって、汁物なので食べやすく栄養も摂れる泥亀汁は、暑い夏に欠かせないソウルフードだったようです。あたたかいままではもちろん、冷やして食べることもあるそうですよ。

泥亀汁の栄養

 

ナスを皮ごと食べるので栄養満点

夏に旬を迎えるナス。90%以上を水分が占め、実にも皮にもさまざまな栄養があります。特に、紫色の皮に含まれるポリフェノールの一種・ナスニンは、抗酸化作用があるといわれています。ナスニンは水溶性なので、栄養を逃がさずに食べるには汁物がよいのだそう。ナスを皮つきのまま使う泥亀汁なら、ナスニンをしっかり摂れますね。また、ナスに豊富に含まれるカリウムは、身体の熱を外へ逃がす作用があるといわれています。さらに、疲労回復の効果が期待できるアスパラギン酸も含まれているため、夏バテ対策におすすめです。

ナスの栄養については、下記の記事も参考にしてみてください。

ナスと味噌の組み合わせは相性抜群

ナスに含まれるβカロテンは、体内での必要量に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAは、目や皮膚などの粘膜を健やかに保つのに役立ち、たんぱく質と結合することによって体内で運搬されます。味噌にはたんぱく質が含まれるので、ナスと組み合わせるのにぴったりです。

ナスと味噌の組み合わせについては、下記の記事も参考にしてみてください。

たっぷりのごまが冷え性の改善をサポート

ごまは、植物性食品のなかでも栄養価がトップレベルといわれています。特に注目したいのは、ごまからしか摂取できない「ゴマリグナン」。よく耳にする「セサミン」は、ゴマリグナンに含まれる成分のひとつです。セサミンには血行を促進させる作用が期待でき、冷え性の改善に役立つと考えられています。ごまの栄養を効率よく摂るためには、粒のままではなく、すったものを使うのがポイント。泥亀汁ではすりごまを使うので、風味だけでなく栄養もプラスできます。

ごまの栄養については、下記の記事も参考にしてみてください。

泥亀汁の作り方

 

泥亀汁の材料は、ナス・味噌・ごまといたってシンプル。作り方も簡単なので、暑い日の食卓の一品に加えてみてはいかがでしょうか。

<材料(4人分)>
・ナス…2本
・味噌…大さじ3
・ごま…大さじ4
・だし汁…3カップ

<作り方>
1.ナスのガクとヘタを取り、縦半分に切る。亀の甲羅に見えるよう皮に格子状の切れ目を入れ、水にさらしてアク抜きをする。

2.鍋のだし汁にナスを入れて煮立たせる。沸騰したら火を弱め、ナスがやわらかくなるまで煮る。

3.ごまはすり鉢ですっておく。だし汁に味噌を溶かし、仕上げにすりごまを加えてかきまぜる。

参照:農林水産省Webサイト

みそ汁が染み込んだナスはジューシーで、香ばしいごまの風味がよく合います。泥亀汁のレシピは、地域や家庭によってさまざま。ナスをお好みで素揚げにしたり、ごま油で炒めたりするのもおすすめですよ。ぜひアレンジして作ってみてください。