2021年04月12日

健康習慣|疲労、肩こり、寝足りない原因のひとつ「隠れ貧血」とは

「貧血になった」と聞くと、目の前が暗くなってばったりと倒れる「脳貧血」をイメージしますが、実際の貧血はそれだけではありません。貧血の症状はめまい、肩こり、動悸に息切れ、寝ても寝ても眠いなど、多岐にわたります。今回はなんとなくの不調の原因のひとつ「隠れ貧血」と、その対策をご紹介します。


「貧血になった」と聞くと、目の前が暗くなってばったりと倒れる「脳貧血」をイメージしますが、実際の貧血はそれだけではありません。貧血の症状はめまい、肩こり、動悸に息切れ、寝ても寝ても眠いなど、多岐にわたります。今回はなんとなくの不調の原因のひとつ「隠れ貧血」と、その対策をご紹介します。

 

その疲れ、鉄分不足かも?

鉄分は体の隅々まで酸素を送るために必要不可欠な栄養素です。実際に酸素を運ぶのは血液のなかにあるヘモグロビンですが、そのヘモグロビンを正常な量に維持するためには鉄分とたんぱく質の摂取が必要です。

鉄分が不足すると、ヘモグロビンの量が低下して十分に酸素をめぐらせることができなくなり、体がいわゆる「酸欠状態」に。この状態が続くことを「鉄欠乏性貧血」と呼びます。「鉄欠乏性貧血」は以下のような症状が現れます。

<鉄分不足が考えられる不調> 動悸、息切れ 頻脈(脈が速くなる不整脈) めまい、立ちくらみ 頭痛、肩こり 疲労感(寝ても寝ても寝足りないなど) 顔色が青白い 口内炎ができやすい

※上記にあてはまれば必ず鉄分不足とは限りません。強い不調がある時や、他の不調も重なっている場合には、かかりつけ医に相談してみましょう。

鉄分不足になりやすい人もいる

鉄分が不足する原因としてすぐに思いつくのは「食生活の偏り」です。しかし、家族と同じ食生活なのに、自分だけ貧血症状が現れるという方もいます。その理由は食生活以外の生活習慣であったり、月経や成長などライフステージによるものであったりといったことが考えられます。鉄分が不足しがちな原因を以下にご紹介します。

鉄分の足りない食生活

無理なダイエットや、外食や弁当で似たようなものを食べ続ける、菜食メインの食生活など、食べ物から摂る鉄が不足する食生活。菜食はヘルシーではありますが、肉や魚で手軽に摂れるはずの鉄を別の方法で摂る工夫が必要です。

鉄分が通常より必要な方

妊娠中、授乳中の女性や成長期の子どもは、たくさんの鉄分を消費します。多めの鉄分補給を意識しましょう。

出血による鉄不足

女性の月経は目に見えるため、鉄分不足をイメージしやすいもの。しかし継続する出血とは月経に限らず、胃潰瘍や痔といった疾病も含まれます。一度の出血は少量であっても、繰り返すことで鉄不足を招きますから注意が必要です。

大量の発汗が習慣になっている

汗には水分や塩分の他にも、鉄などのミネラルが含まれています。激しいスポーツをしている人、夏の屋外作業といった大量発汗を伴うお仕事の方は、発汗時の水分・塩分補給はもちろんですが、食事による鉄分摂取も心がけるとよいでしょう。

鉄分補給は食事から。鉄分豊富な食材は?

 

さて、鉄分不足の改善には、鉄分が豊富な食材を日ごろから摂っておくのがやはり効果的です。鉄分には動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、豆類や野菜などに含まれる「非ヘム鉄」の2種類があり、「ヘム鉄」のほうが吸収率に優れています。

動物性食品ではレバーや牛もも肉、ラム肉、カツオやマグロなど、植物性食品ではレンズ豆や納豆、高野豆腐などの豆由来の食品、小松菜やほうれん草などの緑黄色野菜に鉄分が豊富に含まれています。

ちなみに鉄分豊富と名高い「ひじき」の鉄分量は、昔とくらべると約9分の1と大幅に減少しています。これは製造に使う鍋が鉄製からステンレス製になったことが理由で、文部科学省による2015年の日本食品標準成分表から改定されています。鉄分が少なくなったのは残念ですが、「ひじき」は腸内環境を整えて便通を促してくれる食物繊維や、カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルが豊富です。鉄分豊富な他の食材と合わせて、積極的に摂りましょう。

コーヒーや緑茶は食後30分空けてから

鉄分を意識的に摂取するためには、鉄分豊富な食べ物を選ぶ一方で、同時に鉄分吸収を阻害する食べ合わせも避けることが大切です。せっかく摂った鉄分を無駄にしないためにも、意識しておきましょう。

たとえば緑茶や紅茶、コーヒーには、鉄分吸収を妨げるタンニンが含まれています。「食後の眠気覚ましにコーヒー」は一時的には覚醒しますが、長い目で見ると逆効果といえます。30分程度で眠気は収まりますから、腹ごなしに歩くなどの工夫をしてみてください。我慢できないほど眠くなる方は、食後血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」も知っておくとよいでしょう。以下の記事では、さまざまな生活習慣病のリスクと結びつく「血糖値スパイク」と、その対策について解説しています。

他にも玄米や豆腐に含まれるフィチン酸、ほうれん草に含まれるシュウ酸も鉄の吸収を阻害します。鉄分不足を感じる方は玄米や豆腐の食べすぎに注意しましょう。ほうれん草はゆでることでシュウ酸を減らすことができます。

ちょっと動いただけで疲れてしまう、睡眠不足ではないはずなのに眠いといった不調は、鉄分を意識することで改善が期待できます。食生活と睡眠、軽い運動が健やかな生活の基本。「歳のせいかな?」と放っておかず、鉄分摂取を心がけながら、活動的な毎日を目指しましょう!