2020年11月16日

健康習慣|すんき漬け 塩を使わないヘルシー漬け

「すんき漬け」という食べ物をご存じでしょうか。長野県周辺の方でなければ、あまり耳慣れないかもしれませんが、実は昔ながらの地元の味にして、塩を使わない、とてもヘルシーな食品なのです。今回は、ユニークな健康食、すんき漬けについてご紹介します。


 

「すんき漬け」という食べ物をご存じでしょうか。長野県周辺の方でなければ、あまり耳慣れないかもしれませんが、実は昔ながらの地元の味にして、とてもヘルシーな食品なのです。今回は、ユニークな健康食、すんき漬けについてご紹介します。

「すんき漬け」とは?

長野県木曽地方に伝わる「赤かぶの葉の漬物」

 

すんき漬けは長野県木曽地方で食べられている漬物の一種で、独特の酸味が特徴です。古くからこの地方で栽培されてきた赤かぶの葉や茎(写真)だけを漬けたもので、根(実)は「赤かぶ漬け」として別の製法で漬けられるのが一般的です。
山深く、冬は雪に覆われるこの地方では、農作物は春から秋にしか採れません。秋に収穫して漬けたすんき漬けを、冬の間の保存食として食べていたのです。

すんき漬けの栄養素

実は乳酸菌がたっぷり

すんき漬けがユニークなのは、その製法にあります。きれいに洗ってゆでた赤かぶの葉は、すでに漬け込まれている古いすんき漬けと交互に桶や樽に詰められ、1日~数日常温に置いて乳酸菌を増やしたのち、カビなどで傷まないように冷蔵庫や寒い屋外で保管されます。
つまり、すんき漬けは、古いすんき漬けに含まれる植物性乳酸菌だけで、赤かぶの葉や茎を発酵させて作られるのです。このすんき漬けの乳酸菌には、ヨーグルトに匹敵するほどの機能性があるとも言われています。

漬物なのに塩を使わない!

製法を見ればわかる通り、すんき漬けは、漬物なのに塩が使われていません。海から遠いこの地方で、もともと塩は「米は貸しても塩は貸すな」と言われるほどの貴重品。こうした事情と、寒冷な気候が塩を使わずに発酵させる製法に向いていたことが、すんき漬けが生まれるきっかけになったと見られています。
ぬか漬けや野沢菜漬け、キムチなど他にも乳酸発酵で作られる漬物はありますが、いずれも塩を用いて作られています。塩を摂り過ぎることの方が多くなった現代の暮らしでは、すんき漬けは塩分を控えながら発酵食品を摂ることができる、とてもヘルシーな食品というわけなのです。

そもそもかぶの葉は栄養豊富

赤かぶに限らず、かぶは実は根よりも葉の方が栄養豊富だとされています。淡色野菜である根に対して、葉は緑黄色野菜。抗酸化作用に優れたビタミンCやβカロテンなど、多くの栄養素を含んでいるのです。詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

すんきのおすすめの食べ方

ご飯のお供や炊き込みご飯に

すんき漬けは漬物ですので、ご飯との相性はもちろん抜群。醤油などで味付けした炊き込みご飯やチャーハンの具にもおすすめです。いずれも独特の酸味で、味にアクセントを加えてくれます。

おみそ汁や麺類の実にしてもおいしい

漬物をおみそ汁や麺類に入れるなんて、と驚く方も多いかもしれませんが、実はこれも定番の食べ方のひとつ。すんき漬けを入れたおみそ汁は、地元の郷土料理「すんき汁」として親しまれています。
木曽地方といえば蕎麦の産地でもありますが、温かいお蕎麦にすんき漬けとかつお節をたっぷりのせた「すんき蕎麦」は秋冬の名物。蕎麦だけでなく、うどんにもよく合います。

炒めたり、他の発酵食品と組み合わせるのもおすすめ

高菜炒めのように、すんき漬けを油で炒めてもおいしくいただけますし、チーズや納豆など、他の発酵食品との組み合わせもおすすめ。和風パスタやピザなどにも挑戦してみたいところです。

すんき漬けは、木曽地方の伝統野菜や、現地の気候を生かして作られています。全国に広く流通しているわけではありませんが、地元以外でもアンテナショップや通信販売などで入手できるようです。雪国の冬に想いを馳せながら、独特の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。