2020年11月02日

健康メニュー|もみじ鯛 秋に旬を迎え、最もおいしくなる

春先に出回る鯛のことを「桜鯛」と呼ぶのはよく知られていますが、秋に旬を迎え、最も脂がのっておいしくなる鯛が「もみじ鯛」と呼ばれているのはご存じでしょうか。今回は、「もみじ鯛」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。


 

春先に出回る鯛のことを「桜鯛」と呼ぶのはよく知られていますが、秋、最も脂がのっておいしくなる鯛が「もみじ鯛」と呼ばれているのはご存じでしょうか。今回は、「もみじ鯛」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。

もみじ鯛とは?

秋に旬を迎える鯛(マダイ)の別名

もみじ鯛とは、秋、旬を迎えて最も脂がのる時期の鯛(マダイ)を、同じく見頃を迎える紅葉に例えた呼び名です。春に産卵を終え、夏にエビやカニなど赤い天然色素「アスタキサンチン」が豊富に含まれるエサをたっぷり食べてきた秋の鯛は、まさにもみじのようにウロコの赤みが増してくるのです。
鯛の名所は全国に見られますが、特に有名なのが、海底の地形や潮の流れが複雑なことから育ちがよいとされる明石海峡周辺の「明石鯛」や、同じような特徴をもつ鳴門海峡の「鳴門鯛」。どちらも秋のシーズンには、絶品のもみじ鯛が味わえます。

桜鯛、麦わら鯛、もみじ鯛

ちなみに春、産卵を控えた時期の鯛のメスも鮮やかな桜色の体色になることから「桜鯛」と呼ばれ、形も味もよいとされます。これは婚姻色と呼ばれる繁殖期の特徴によるもので、メスは桜色ですが、オスは黒っぽくなります。
産卵を終えた晩春の鯛は、身がやせて味が落ちてしまいます。その様子を同じ頃に収穫される麦の、中が空洞になっている藁(わら)に例えて「麦わら鯛」と呼ばれます。そこから夏の間に栄養を蓄え、秋には再び脂がのっておいしいもみじ鯛になっていくのです。

マダイの栄養素

高たんぱく低脂肪、消化のよいヘルシーな魚

白身魚のマダイは、魚類の中でも高たんぱく低脂肪でヘルシーな魚とされています。また、消化吸収がよいところも特徴です。
鯛といえば、刺身をお茶漬けの具にする「鯛茶漬け」が知られていますが、お茶漬けはよく噛まずに飲み込むことも多く、胃に負担をかけやすいメニューなだけあって、消化吸収のよい鯛はまさに理にかなった具なのですね。

疲労回復で知られるタウリンも豊富

栄養ドリンクの成分として耳にすることも多いタウリンは、実はうま味成分のひとつで、鯛にも豊富に含まれています。体内機能のバランスをとる働きがあり、疲労回復はもちろん、肝機能をサポートする働きや、多すぎる中性脂肪や血中コレステロールを軽減させる働きも期待できます。

タウリンについて詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

もみじ鯛、おすすめの食べ方は?

刺身・湯引きなどで脂のうま味を楽しむ

 

脂ののったもみじ鯛は、皮がかたい大型のものは刺身に、小型のものは皮目に熱湯をかけ、氷水で締める「湯引き」や、皮目を炙って氷水で締める「焼き霜造り」などにして、この時期ならではの脂のうま味を楽しむのがおすすめです。皮ごと食べて食感の変化を楽しんだり、炙りの香ばしさを味わったりしながらいただきましょう。

祝い膳の定番こと焼魚や、だしが絶品の鯛めしも

鯛の塩焼きといえば、結婚式などでも供されるお祝い料理の定番です。皮はパリパリ、身はふっくらと、シンプルな調理法ですが鯛のおいしさをたっぷり味わえます。また、鯛を丸ごと載せて炊き込む「鯛めし」も、鯛の上品ながら濃厚なうま味がご飯にしっかりしみ込むおすすめの食べ方です。瀬戸内地方などでは、鯛を煮付けた汁で素麺をいただく「鯛そうめん」も見られます。

「縁起のいい魚」として年中喜ばれる鯛に、旬の時期ならではの別名だけでなく、おいしくない時期の別名もあるとは、ちょっとびっくりですね。姿の美しさが魅力といわれる桜鯛に対して、1年で最もおいしくなる本来の旬がもみじ鯛だとされていますから、機会があればぜひ味わってみてください。