2020年09月02日

野菜の豆知識|マコモダケ

秋の短い期間にだけ収穫されるマコモダケ。シャキシャキとした食感でくせがなく、加熱するとほんのり甘い味わいで、炒め物などによく用いられています。今回は、「マコモダケ」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。


 

秋の短い期間にだけ収穫されるマコモダケ。シャキシャキとした食感でくせがなく、加熱するとほんのり甘い味わいで、炒め物などによく用いられています。今回は、「マコモダケ」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。

マコモダケとは?

マコモ茸でもマコモ竹でもない?実はイネの仲間で「ワイルドライス」とも

名前を聞けばキノコの仲間のようにも、姿を見ればタケノコの仲間のようにも思えるマコモダケ(マコモタケ)。その正体はイネ科の植物「マコモ」の一部で、田んぼや沼地などの水辺で育ちます。アメリカなどでは、マコモの仲間が「ワイルドライス」と呼ばれ、古くからネイティブアメリカンが食用にしていたのだとか。
このマコモの茎に黒穂菌の一種が寄生し、大きくなったものがマコモダケで、9月下旬から10月中旬に旬を迎えます。黒穂菌は植物に害をなすこともありますが、マコモダケに関してはもちろん食べても大丈夫。適切な時期に収穫されたマコモダケは、中身も白くきれいな状態です。

マコモは神社にある茅の輪の原料にも

マコモ(真菰)自体に日ごろあまり馴染みがないように感じるかもしれませんが、実は、マコモは同じイネ科の植物であるチガヤと並んで、夏越の祓などで用いられる茅の輪の原料にもなっています。夏越の祓については、下記の記事も参考にしてみてください。

マコモダケの栄養素

おなかを整える食物繊維が豊富に含まれている

節がない姫竹(根曲がり竹)のような見た目のマコモダケは、繊維質でシャキシャキした食感もタケノコによく似ています。水分を吸ってふくらみ、お通じを整える不溶性食物繊維が豊富に含まれていて、おなかを健やかに保ってくれます。

デトックス効果のあるカリウムや、ビタミン・ミネラル類もたっぷり

マコモダケは、体内の余分な塩分を排出して高血圧を防いだり、腎臓の老廃物排出を促したりするカリウムを多く含んでいます。また、脳の働きを活性化するうま味成分、グルタミン酸の吸収率を高めるビタミンB2など、ビタミン・ミネラル類が多いのも特徴です。

マコモダケ、おすすめの食べ方は?

生のままサラダなどで食感のよさを楽しんで

マコモダケは生食できる野菜です。ただし時間が経つと斑点などがでて、食べられるものの風味が落ちてしまいます。みずみずしく新鮮なマコモダケが手に入った時は、生のままサラダなどに加えて、シャキシャキとした食感のよさを味わうのがおすすめです。

加熱すると甘く、きんぴらなどの炒め物や天ぷらもおいしい

 

マコモダケは加熱すると甘みがでてきます。ホイル包みなどで蒸し焼きにしていただくと、素材の味をシンプルに生かせます。
また、マコモダケのシャキシャキとした食感を生かして、肉や野菜と炒める中華料理や、和食のきんぴらなどにもよく用いられます。衣をつけて天ぷらに仕立てるのも定番となっていますから、食べ方としてはタケノコを使ったメニューを参考にするとよさそうです。

もともとは雑草として田んぼや沼地に自生しているのが主流だったマコモダケ。その味や栄養が注目されるようになった現在では、三重県菰野(こもの)町をはじめ、東北から九州まで各地で栽培が行われています。収穫時期が1ヵ月程度と短く、まだ全国の食卓では希少な野菜ですが、見かけたらぜひ味わってみてくださいね。