2019年10月25日

健康習慣|銭湯ではじめるしあわせ習慣

広い湯船が好きな方は多いですが、温泉通いはなかなかできません。しかし、私たちの身近には、地域の健康を支える銭湯があります。最近では、湯船につかる方、銭湯に通う方は、そうでない方と比べて幸福度が高いという、研究結果が発表されました。今回は湯船や銭湯で得られる優れた健康効果をご紹介します。


広い湯船が好きな方は多いですが、温泉通いはなかなかできません。しかし、私たちの身近には、地域の健康を支える銭湯があります。最近では、湯船につかる方、銭湯に通う方は、そうでない方と比べて幸福度が高いという、研究結果が発表されました。今回は湯船や銭湯で得られる優れた健康効果をご紹介します。

 

毎日お風呂に入る人は幸福度が高い

 

湯船につかると気持ち良いことは分かっていても、面倒でついついシャワーですませてしまうという経験は誰もがお持ちのことではないでしょうか。しかし、お風呂には面倒だといっていられない、素晴らしい健康効果があるのです。

近年注目されるようになったお風呂の効果は「心の健康」。入浴医学の第一人者で、東京都市大学教授の早坂信哉氏によると「お風呂は幸福度(※)を高める効果がある」といいます。例えば以下のような研究結果を発表しました。
※幸福度…現在どの程度幸せかを、10段階で評価
(「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点)

毎日お風呂に入る方は幸福度が高い

「毎日お風呂に入る人」は、入らない人に比べて幸福度の高い人の割合が10%高い 「湯船に入る人」は、シャワーだけの人と比べて幸福度の高い人の割合が12%高い
(静岡県の6,000人の住民を対象に行った調査・2012年)

湯船に入る方は辛い気持ちでいることが少なく、「健康だ」と感じている方が多い

湯船をよく使う人は「緊張不安」「抑うつ・落込み」が明らかに低く、主観的健康感(※)が高い。 全身浴をする人は「疲労感」が明らかに低く、主観的健康感および睡眠の質が高い。
※主観的健康感…健康状況を自らが評価する指標。実感としての健康度合い
(健康成人男女198名を対象として調査・2012年)

シャワーにはない、お風呂の健康効果とは

お風呂に入ると、気持ちが良い、さっぱりする、あたたまる、など心地良い実感を得られます。お風呂は体に良いと、感覚的に理解している方も多いのではないでしょうか。ここでは、シャワーでは得られない、湯船につかることの健康効果をご紹介します。

まず、入浴には、温熱・水圧・浮力の3つの作用があります。以下にそれぞれの作用を説明します。

お風呂の温熱作用

湯船につかると体温があがり、血のめぐりが良くなります。その結果、体内の老廃物や疲労物質、二酸化炭素が取り除かれ、疲労・コリ・痛みなどが緩和されます。シャワーだけでは十分に体温があがりません。40℃ほどの湯船に10~15分ほど入っていると、体温はおよそ1℃上昇します。

お風呂の水圧作用

湯船につかることでかかる水圧のことです。この圧力はウエストが3~4センチメートルも細くなるほどで、お風呂に入る時にため息が出るのも、この水圧によるものです。全身に水圧がかかることで、手足の先などにとどまっていた血液が押し戻され、心臓の働きが活発になります。血液やリンパの流れが促進されるので、むくみの解消にも役立ちます。

お風呂の浮力作用

プールに入ると浮力で体が軽く感じられるのと同様に、湯船でも浮力は働きます。首まで湯船に入ると、体重は普段のわずか10分の1に。そのため、体重を支えている筋肉や関節を休ませることができ、全身の緊張がほぐれていくのです。

広いお風呂に入りに行こう! 銭湯からはじまるしあわせ

画像提供:東京都浴場組合/草隆社

 

手頃な値段で広い湯船につかれる町の銭湯は、これまで紹介してきた入浴の効果をさらに向上してくれる施設です。家のお風呂とはまた違う、銭湯ならではのうれしいポイントをみていきましょう。

銭湯の湯はよくあたたまる

銭湯と家のお風呂との違いは、まずなんといっても湯船の広さ。家のお風呂が約200リットルなのに対し、平均的な銭湯の湯船は約1,000リットル。実に5倍ほどの違いがあります。小さい浴槽は、お湯より低い体温や外気によって、どんどんお湯が冷めていきます。一方、銭湯は大量の湯が満たされ、温度管理もされているので、ほぼ一定の温度で体をあたため続けてくれます。

心身の緊張がほぐれる

お風呂の浮力作用で、体を支えている筋肉や関節を休ませられると述べましたが、銭湯の湯船は手足をぐっと伸ばせる広さがあり、より浮力の恩恵を受けることができます。また、高い天井、満ちる湯気、広い視界は、開放的な気持ちにさせてくれるでしょう。

見知らぬ方との交流

訪れる方とのちょっとした会話や、ご近所同士の出会いなど、銭湯は地域の社交場としての役割も担っています。損得のない方との交流は、精神面で良い刺激となります。

銭湯に通う方は、幸福度が高い

先に登場した早坂信哉氏の研究で、「銭湯入浴の頻度が高い方(週1回以上)ほど、それ以外の方と比べて自覚する健康状態が良好で、声を出して笑う方が多く、幸福度が圧倒的に高い」ことが指摘されています。東京都内の多くの銭湯で、この研究結果を掲載したポスターが掲示されているので、機会があればぜひチェックしてみてください。

お風呂は心身を健やかにしてくれる効果があり、銭湯とは入浴効果をさらに良質なものにしてくれます。しかも銭湯は値段が手頃で、広い湯船を利用できる最も手軽な方法といえるでしょう。また、最近の銭湯は、バイブラバス(浴槽内の下部から気泡が湧き出すお風呂)やジャグジー、コンフォートサウナ(遠赤外線を使用した、やや高温で低湿度のサウナ)など、特色ある設備を整えているところも増えています。銭湯に行ったことがない、足が遠のいてしまった……そんな方も、以下の記事も参考にして、銭湯デビューをしたり、復帰してみてはいかがでしょうか。