2019年09月27日

郷土料理|のっぺい汁 具だくさんで冷めてもおいしい

全国各地で郷土料理として食べられているのっぺい汁は、秋冬の食卓には特にうれしいメニューです。やさしいとろみで食べやすく、具だくさんで、身体を温める野菜もたっぷり摂れます。今回は、のっぺい汁の概要や、栄養についてご紹介します。


 

全国各地で郷土料理として食べられているのっぺい汁は、やさしいとろみで食べやすく、身体を温める野菜もたっぷり摂れて、秋冬の食卓には特にうれしいメニューです。今回は、のっぺい汁の概要や、栄養についてご紹介します。

島根、新潟、奈良で見られる「のっぺい汁」とは?

根菜、しいたけ、肉、豆腐を醤油と出汁で煮込む

のっぺい汁は濃餅汁、能平汁、のっぺ汁などとも呼ばれる汁ものです。大根、にんじん、ゴボウ、しいたけ、鶏肉や豚肉(昔はヤマドリやイノシシも使われた)、豆腐などを醤油と出汁で煮込みます。島根県津和野地方から全国各地へ伝わったといわれ、新潟県や奈良県でもよく食べられています。

里芋で自然なとろみをつけるのがポイント

のっぺい汁の特徴は、あんかけのようなとろみ。これは、中華料理の技法を取り入れたものだといわれています。地域によってうどん粉やでんぷんなどでとろみをつけることもありますが、島根県ののっぺい汁は、里芋を入れることで自然なとろみをつけています。

煮物料理の「のっぺい(のっぺ)」も各地で見られる

のっぺい汁よりも汁気が少ない、いわゆる煮物料理の「のっぺい(のっぺ)」も全国各地で食べられています。岩手県遠野地方ののっぺいは、とろろを大根おろしでのばし、出汁と合わせてとろみを出しています。奈良県ののっぺは肉を入れずに油揚げやこんにゃくを使う精進仕立てで、春日神社若宮で12月に行われる「おん祭」に供えられます。

根菜の栄養をたっぷり摂れるのっぺい汁

 

身体を温め、血液や筋肉も健やかに

のっぺい汁の主役ともいえる根菜類は、夏野菜より水分の少ない野菜が多く、身体を冷やしにくいといわれています。また、血行を促す働きや、毛細血管を健やかに保つ働きをもつビタミン類も豊富です。さらに、血液や筋肉を作るたんぱく質の働きを助けるミネラルも多く含まれているので、たんぱく質の豊富な鶏肉・豚肉や厚揚げ・豆腐との相性も抜群というわけです。

根菜について詳しくは、下記の記事も参考にしてみてください。

肉の代わりに鮭を入れると若々しさを保つ効果も

新潟県では、正月料理として作るのっぺい汁などに鮭を入れる慣習も見られます。鮭もまた良質なたんぱく質に富む食材で、若々しさを保つ働きのある天然色素アスタキサンチンを多く含んでいます。

温・冷どちらでもおいしくいただける

とろみがあるので冷めにくくより身体も温まる

のっぺい汁は、とろみがあることでゆっくり味わえて、飲み込みやすいのも特徴です。とろみには汁を冷めにくくする効果もあり、食べることで直接身体を温めてくれます。

冷めてもおいしいので作り置きにしても

汁ものにしては珍しく、同じレシピで温かくしても、冷めてもおいしくいただけるのっぺい汁。実際に、冷ましてから食べる習慣が見られる地域もあります。たっぷり作って、温かいうちに食べたり、冷ましてから食べたりして、両方試してみるのも良いかもしれませんね。

新潟県内だけでも、具材などに多くのバリエーションが見られるのっぺい汁。味付けはごくシンプルですから、相性のいい食材も多いはずです。ぜひ、お好みでいろいろな具材を入れて、わが家ならではののっぺい汁を作ってみてくださいね。