2019年08月16日

郷土料理|暑い夏に涼味を添える「ずんだもち」(宮城県)

夏が旬の枝豆をあんにした「ずんだもち」は、宮城県仙台市を中心にした東北地方の郷土菓子。あざやかな緑色が目に涼しく、お盆のお供えにも使われる夏の風物詩です。今回は、ずんだもちや、材料に使われる枝豆の栄養などについてご紹介します。


夏が旬の枝豆をあんにした「ずんだもち」は、宮城県仙台市を中心にした東北地方の郷土菓子。あざやかな緑色が目に涼しく、お盆のお供えにも使われる夏の風物詩です。今回は、ずんだもちや、材料に使われる枝豆の栄養などについてご紹介します。

 

涼しい色味と爽やかな香りの「ずんだもち」

ずんだもちは、柔らかく茹でた枝豆を、砂糖と一緒にすりつぶしたずんだあんとお餅をからめた郷土菓子。枝豆が原料なので、夏の間だけしか作ることができません。涼しげな色合いに、枝豆の香りが爽やかで、いかにも夏らしい甘味といえます。ちなみに、ずんだあんに色が似ているうぐいすあんは、青エンドウ(うぐいす豆)でできており、こちらは春が旬です。

ずんだもちのほかにも、団子にあんを乗せた「ずんだ団子」や、ずんだのおはぎ(ぼたもち)にも使われるずんだあん。近年、乳製品との相性の良さが注目され、ずんだシェイクやずんだロールケーキ、ずんだモンブランなどの“ずんだスイーツ”が続々と誕生しています。

枝豆は未成熟の大豆。大豆にはない栄養も

 

ずんだあんの原料となる枝豆は、熟す前の大豆を収穫したもの。したがって、大豆に含まれている良質のタンパク質、糖質、ビタミンB群、カルシウム、それから動脈硬化予防や肝機能向上が期待できるレシチン・コリンなどは、枝豆にも含まれています。

しかも、大豆にはあまりない、ビタミンCやベータカロチン、貧血予防に効果的な葉酸も、枝豆にはたっぷり含まれています。茹でる際は、さやに入ったままで加熱するため、あまり栄養価が下がらないという特徴もあります。

「はっと汁」の実をアレンジした「ずんだばっと」も

栃木県の郷土菓子には、お餅の代わりに小麦粉を練って団子状にした「はっと」を使った「ずんだばっと」があります。お餅を使ったずんだもちより、のどごしがツルリとしていて、こちらも美味。もちっとした甘味や団子が欲しい時、はっとを手作りしてみるのもおすすめです。

この小麦粉で作った「はっと」の団子は、たっぷりの根菜が入った栃木県の郷土おみそ汁「はっと汁」にも使われるもの。質素倹約を是とする徳川光圀(みつくに)公の時代には、あまりのおいしさに「何度もおかわりをしてしまう」という理由から、ご法度(禁止)になったというのが「はっと汁」のいわれです。

「はっと汁」については、以下の記事もあわせてお読みください。

夏季の限られた間だけ採れる枝豆を使ったずんだもちは、暑い夏の涼味です。枝豆には大豆にない栄養も含まれると聞いて、夏の間にたくさん食べておこう、と思われた方もいるのでは。季節を感じる野菜や料理を、生活に上手に取り入れていきたいものですね。