2018年08月09日

散策|世界遺産・軍艦島、グラバー園(長崎県) 炭鉱で栄えた島と、外国人居留地の面影に思いを馳せる 魅力いっぱいの長崎を探索しよう

長崎県長崎市の長崎港から南西へ約18キロメートルの場所に位置する「端島(はしま)」は、かつて海底炭鉱として栄えた島です。護岸が島全体を囲い、高層鉄筋コンクリートが立ち並ぶ外観が軍艦「土佐」に似ていることから軍艦島と呼ばれるようになりました。1974年に閉山し、無人島となりましたが、2009年より一般の上陸見学が可能となり、2015年には世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録されました。日本の近代化を支えた産業遺産として、当時の繁栄を色濃く残す独特の景観を、その目で確かめてみませんか?さらに、同じ世界遺産の構成資産「旧グラバー住宅」のあるグラバー園もご紹介します。


長崎県長崎市の長崎港から南西へ約18キロメートルの場所に位置する「端島(はしま)」は、かつて海底炭鉱として栄えた島です。護岸が島全体を囲い、高層鉄筋コンクリートが立ち並ぶ外観が軍艦「土佐」に似ていることから軍艦島と呼ばれるようになりました。1974年に閉山し、無人島となりましたが、2009年より一般の上陸見学が可能となり、2015年には世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録されました。日本の近代化を支えた産業遺産として、当時の繁栄を色濃く残す独特の景観を、その目で確かめてみませんか?さらに、同じ世界遺産の構成資産「旧グラバー住宅」のあるグラバー園もご紹介します。

 

大正~昭和時代の日本の近代化を支えた炭鉱の島「軍艦島」

1810年ごろに初めて石炭が発見されて以来、1890年には国内最大規模の財閥・三菱が島の採掘権を買い取り、本格的に石炭の採掘が始まりました。端島炭鉱の石炭はとても良質で燃料や製鉄用原料炭として日本の近代化に大きく貢献しました。

 

以後石炭の出炭量は増え続け、近代日本の産業を力強く支える国内有数の海底炭鉱の島として成長。
島の人口も増え、学校や病院、派出所、寺院などの生活基盤を島内で完全に賄えるようになり、理髪店や映画館、パチンコ店といった娯楽施設も充実していきました。最盛期の1960年には、約5,300人もの人が住み、人口密度は当時の東京郡区部の約9倍で、世界一の人口密度であったといわれています。

 

このように活気あふれる島でしたが、主要エネルギーが石炭から石油へと変わるとともに石炭の需要が低下。1974年に閉山、すべての居住者が島を去り、無人島となりました。

35年ぶりに公開へ。再び脚光を浴びる「日本近代の遺構」

閉山以来、立ち入り禁止とされていた軍艦島ですが、2009年より一般の方の上陸が可能になりました。島へアクセスするには、各船会社が企画する「軍艦島上陸クルーズ」に参加しましょう。当時の様子をうかがわせる建造物を見学広場で見ることができます。

それでは主な見どころをいくつかご紹介します。

第二竪坑坑口桟橋跡

 

島内の炭鉱施設が風化してしまった中、唯一残っているのが第二竪坑坑口桟橋跡。炭鉱マンが活躍した主力坑は、現在は海底炭鉱へと繋がる桟橋の昇降階段部分が残っています。

第三堅坑搭座跡

 

炭鉱事業の中枢だった、組合事務所に隣接したレンガ造りの第三堅坑搭座跡。中には炭鉱マンのための大きな共同浴場がありました。

30号・31号棟アパート

 

30号棟は、1916年に鉱員用として建てられた、国内最古の鉄筋コンクリート製高層アパート。31号棟には、住居のほか、郵便局や理美容院なども備わった最先端の共同住宅でした。ほかにも、精製された石炭を運ぶために造られた、巨大なベルトコンベアーの支柱などが残っていて、当時の面影を感じることができます。

閉山後、人の手が入らなかった島だけに、島自体がまさにタイムカプセル。
そして2015年には、軍艦島を含む九州地方・山口県を中心とする23の炭鉱や造船所などが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界文化遺産になり、軍艦島ももれなく登録され、ますます国内外から注目が集まっています。

軍艦島
所在地:長崎県長崎市高島町
電話番号:095-826-9407(長崎観光連盟)
※上陸するには各船会社の軍艦島ツアーへの参加が必要です。各社の料金や営業時間など詳細はHPよりご確認ください。
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/51797/

異国情緒漂うグラバー園

軍艦島ツアーを楽しんだあとは、長崎県の観光スポット・グラバー園にも足を伸ばしてみませんか?

 

グラバー園は外国人居留地の洋館3棟と、市内に点在していた洋風建築6棟を移築した観光施設。こちらの施設も「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の一部として世界遺産に登録されています。

特におすすめは、幕末のころ、スコットランド人の貿易商人「トーマス・ブレーク・グラバー」が住んでいた日本最古の洋風木造建築「旧グラバー住宅」。花々が邸宅の温室や庭を彩り、美しい景観を見せてくれます。

 

また当園では、1年を通して、フラワーフェスティバルやビアガーデン、ライトアップを開催するなどイベントも充実。異国情緒あふれる華やかな世界を堪能できます。

グラバー園
所在地:長崎県長崎市南山手町8番1号
電話番号:095-822-8223
営業時間:8:00~18:00 ※夜間開園は季節によって変動あり。詳細はHPで確認を
料金:大人610円

訪れる人を惹きつけてやまない廃墟の島と、浪漫あふれるグラバー園。次回の長崎旅行に行く際は、世界遺産を訪れるプランに加えてみてはいかがでしょうか。

※掲載されている情報は平成30年7月現在のものです。