2018年01月02日

健康メニュー|正月明けの胃をいたわる食事 ごちそう続きで疲れている胃のために

人の集まる機会が多いお正月は、おせちやお雑煮以外にもごちそうをいただく機会が多いもの。そのせいか正月明けには、食べ過ぎてしまった疲れ気味の胃にやさしい食習慣がいくつかあるようです。 今回は、正月明けの食にまつわる慣習と、胃をいたわる効果についてご紹介します。


 

人の集まる機会が多いお正月は、おせちやお雑煮以外にもごちそうをいただく機会が多いもの。そのせいか正月明けには、食べ過ぎてしまった疲れ気味の胃にやさしい食習慣がいくつかあるようです。
今回は、正月明けの食にまつわる慣習と、胃をいたわる効果についてご紹介します。

山芋のねばねば効果で胃をいたわる「三日とろろ」

 

「三日とろろ」とは、1月3日に健康や長寿を願って、とろろ汁や麦とろご飯などのとろろ料理を食べるという慣習です。
「とろろに使われる山芋が、正月のごちそう続きで疲れた胃をいたわってくれる」といわれていますが、実は栄養的にも根拠のある話なのです。
山芋のねばねばの元である「ムチン」には、粘膜を保護し、胃を守る働きがあります。また、胃を守るだけでなく肝臓や腎臓の機能を高める、たんぱく質の吸収を高めるといった働きもあり、正月疲れの体全体にうれしい成分なのです。ムチンについては、下記の記事も参考にしてみてください。

ちなみに山芋は、アミラーゼやカタラーゼ、ジアスターゼなど、食べたものを分解して栄養素に変え、消化を助けてくれる消化酵素も豊富です。酵素は48℃以上に加熱すると働かなくなってしまうので、生で食べるのがおすすめ。特にジアスターゼはすりおろすことで活性化するので、とろろはうってつけの食べ方というわけです。とろろ汁にする際も、とろろは煮込んだりせず、最後にサッと加えるようにしましょう。

消化のいいおかゆで胃をいたわる「七草がゆ」

 

1月7日は、上巳の節句(ひな祭り)、端午の節句(子どもの日)なども含まれる「五節句」のひとつ、「人日の節句」にあたります。この日には、新年の豊作や健康を願って、7種類の野草や野菜(七草)が入った「七草がゆ」を食べる習慣があります。三日とろろと同じように、七草がゆにもまた「やわらかく煮た野草やお米が、正月のごちそう続きで疲れた胃をいたわってくれる」といういわれがあるのです。
実は、「七草」は「夏の七草」「冬の七草」など季節ごとに違っていて、七草がゆに入れるのは「春の七草」にあたります。続いて、春の七草それぞれの栄養についてご紹介します。

 

せり

独特の香りが特徴のセリ科の野菜で、天然色素のβカロテンを多く含みます。βカロテンは体内でビタミンAに作り変えられ、体の成長を促進したり、視力や目の角膜を健やかに保ちます。また、ビタミンAには免疫力を高めてくれる働きもあるので、風邪やインフルエンザが気になる季節にはぜひ摂りたい食材です。

なずな

「ぺんぺん草」という俗名でも知られているアブラナ科の野草です。ビタミンやミネラルを多く含み、血液を体に行きわたらせる鉄分も豊富なので、貧血がちの方におすすめです。

ごぎょう

ハハコグサとも呼ばれ、白い綿毛がついた茎や葉が特徴です。乾燥させた茎や葉は咳止めなどに用いられることもあるようです。

はこべら

ハコベ、ヒヨコグサとも呼ばれるナデシコ科の野草です。昔は胃薬や歯磨き粉などにも用いられていたといわれています。

ほとけのざ

コオニタビラコと呼ばれるキク科の野草で、解熱などにいいとされています。同名(ホトケノザ)のシソ科の野草がありますが、そちらは毒草ですので要注意です。

すずな

カブの別名です。カブには消化酵素のアミラーゼが豊富で、もたれた胃を整えてくれます。また葉の部分には、カルシウムや体内の余分な塩分を排出するカリウム、赤血球の合成を促し、貧血予防にいい葉酸なども含まれています。

すずしろ

大根の別名です。こちらもアミラーゼに富み、特に皮や先端部分に多く含まれるといわれています。食物繊維やビタミンCが豊富なのも見逃せません。カブと同様、葉も栄養価が高く、カルシウムやβカロテンなどが含まれています。

なにげなく食べている行事食も、昔の人が経験から培ってきた知恵が込められていると思うと、よりありがたく感じられるもの。もちろん、体をいたわるためにもおすすめのメニューですので、決められた日にとらわれず、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。