2024年04月12日

健康メニュー|春の郷土寿司、全国津々浦々の美味しさを訪ねて

春の旬の食材が味わえる「郷土寿司」。古くから保存食としてや、お祭りやお祝いの席で食べられてきた趣のある料理で、地域ごとにさまざまな個性を持っています。今回は、長く愛され続けてきたその歴史や味わいについて詳しくご紹介します。


気分も春めく!全国各地の「春のお寿司」

 

全国各地には、地元の方々に親しまれている「春の郷土寿司」が数多くあります。春の訪れを告げる旬の食材をふんだんに取り入れ、彩りや味わい、見た目にも個性を感じさせる、ふるさとの美味しさ。その一つひとつに発祥の経緯や当時の生活の様子が垣間見えます。今もなお地元で広く愛され続けている、各地の郷土寿司についてご紹介します。

美しさが目をひく 石川県「押し寿司」

出典:農林水産省「うちの郷土料理」
画像提供元:青木クッキングスクール

 

石川県の「押し寿司」は、酢でしめた魚、寿司飯、紺のりを木枠に重ね入れて、一晩寝かせたものです。春にはタイやイワシ、アジなどの魚を使い、木の芽で彩りが添えられています。見た目も上品な美しさがあり、お正月や冠婚葬祭、春祭りや秋祭りなどのハレの日に食されています。ひと昔前は一度に大量に作り、近所にもお裾分けする文化があったといいます。今では、家庭で作ることは減り、地元のスーパーや惣菜店などで手に入ります。

甘酸っぱい春の味 鳥取県「ハタハタ寿司/しろはた寿司」

 

鳥取県の「ハタハタ寿司」は、地元の賀露神社で2年に一度、春に開催されるホーエンヤ祭で豊漁に感謝し、ごちそうとして振る舞われてきました。鳥取県で獲れるハタハタは脂がのり、とろけるうまさが有名です。寿司といっても、ご飯ではなく炒ったおからを酢漬けにしたハタハタに詰めたもの。甘酸っぱい味付けで、これを一口大に切って醤油をつけていただきます。地元では「ハタハタ寿司」ではなく「しろはた寿司」と呼ばれ、広く愛される春の味です。

たくわんがアクセントに 岡山県「さわらのこうこ寿司」

出典:農林水産省「うちの郷土料理」
画像提供元:東備栄養改善協議会

 

岡山県の「さわらのこうこ寿司」は、日生町に古くから伝わるさわらの寿司です。春を告げる魚であるさわらを用い、明治中期から豊漁を祝って作り始められました。日生町では、現在でも端午の節句(菖蒲の節句)やお祭り、船下ろしの際に食べられているといいます。さわらの漬け酢で味付けしたご飯に、千切りにしたたくわん(こうこ)、えんどうを混ぜ合わせ、さわらと木の芽を散らせば出来上がり。見た目にも華やかな寿司は、地域の集まりなどでも親しまれています。

彩り豊かな県民の味 徳島県「金時豆入りばら寿司」

※写真はイメージです

 

徳島県の「金時豆入りばら寿司」は、多くの家庭に継承され、お祭りや節句などで振る舞う郷土料理です。徳島でなじみ深い金時豆を醤油と砂糖で甘めに煮て、さまざまな旬の食材を酢飯と混ぜ合わせたばら寿司で、呼び方も「まぜくり」、「五目ずし」、「かきまぜ」など複数あります。仕上げに、柚子の葉やごまなどの他、山菜やそら豆などを加えることもあり、家庭ごとのアレンジも楽しみのひとつ。お客用には錦糸卵も加え、より彩りのよい郷土寿司となります。

木製の型で作る 大分県「物相寿司」

 

大分県の宇佐市が発祥とされる「物相寿司(もっそうずし)」は、「物相」と呼ばれる15センチの正方形の木製の型で作られた押し寿司です。数百年の歴史があるという説もあり、当時貴重な米を皆が平等に食べられるようにと、「物相」を使って押し寿司にしたといいます。本来、物相とは円筒状の曲げ物のことですが、この地方では正方形の木製の型を指すそうで、大小さまざまなサイズがあります。農繁期をはじめ、祝い事、お祭りなどにいただく郷土寿司です。

庶民の味として誕生 鹿児島県「さつますもじ」

※写真はイメージです

 

鹿児島県の「さつますもじ」は、宮中の女房言葉「すもじ」からとったちらし寿司です。庶民の寿司ですが、雛祭りや卒業式、入学式など祝いの席に出されるため、干し椎茸、ニンジン、ごぼう、さやえんどう、かまぼこなど身近な食材を10種類ほど使って彩り豊かに仕上げています。特徴は、地酒でひたした手で具材と米をかき混ぜて作ること。地元では、学校の給食の献立にも取り入れられているふるさとの味となっています。

世田谷自然食品の「世田谷の絶品グルメ」では、「湯葉のお吸い物」、「お麩のお吸い物」、「海老と大根おろしのお吸い物」と3種の美味しさが揃ったお吸い物セットをご用意しています。上品な味わいで、ちらしお寿司や押し寿司などにぴったりです。

春は祝いの季節。各地で愛される郷土寿司に舌鼓をうったり、ご家庭の味を楽しんだり、趣向を凝らしてみてはいかがでしょうか。