2024年03月08日
柑橘類にはさまざまな品種がありますが、みかんやオレンジという異なる品種をかけ合わせた「タンゴール」は、それぞれの柑橘類の特徴を持ち合わせた柑橘類です。今回は、タンゴールの基本と代表的なタンゴールについて解説します。
柑橘類といえばみかんやオレンジがよく知られていますが、「タンゴール」という柑橘類はご存じですか?
タンゴールとは、ミカン類とオレンジ類をかけ合わせた、雑種の新しい柑橘類のこと。タンゴールは品種名ではありませんが、さまざまな種類の柑橘類をかけ合わせることで多くの種類のタンゴールがみられます。
現在、タンゴールとして多くの品種が流通しています。なかにはよく知られた人気品種や、厳しい基準が設定されているものも。タンゴールの中でもよく知られている品種には、以下の5種類があります。
清見は1979年、日本ではじめて品種登録されたタンゴールで、温州みかんの一種「宮川早生(みやがわわせ)」と「トロビタオレンジ」というオレンジをかけ合わせています。それまで、みかんとオレンジの交配は難しいといわれてきました。それを実現した清見が誕生したことにより柑橘類の品種開発に大きな影響を及ぼし、現在流通しているタンゴールは清見を親に持つ品種が多くあります。
清見の皮はオレンジに近いので温州みかんよりもむきにくいですが、ゼリーのようにプルプルとした濃いオレンジ色の果肉は果汁がたっぷりで、まろやかな甘さが特徴です。
不知火は、清見と中野3号ポンカンをかけ合わせて1972年に誕生したタンゴールです。ヘタの部分がコブのように膨らんだ形状とゴツゴツとした外皮が特徴です。収穫直後の強い酸味を抜くために、7~20日ほど貯蔵してから出荷されます。皮は手でむけるほど柔らかく、ジューシーで濃い甘さと酸味を感じられる味わいです。
先に紹介した不知火の中でも、光センサーでのチェックで糖度13度以上、クエン酸1.0%以下の基準をクリア、かつJA加盟農家で栽培されたものが「デコポン」として出荷されます。不知火とは異なり、デコポンは商標登録されています。
デコポンは1個ずつ光センサーでチェックされているので、その甘さはお墨付き。たっぷりの果汁に不知火よりもさらに濃厚な甘さと酸味が楽しめます。
せとかは、「キング」と「地中海マンダリン」をかけ合わせた高級オレンジ「アンコール」に前述の清見をかけ合わせ、さらに「マーコット」というタンゴールをかけ合わせて生まれた、2001年に品種登録された比較的新しい品種です。生産量はまだ少ないので、希少な品種といえます。
房の皮はほとんどないに等しいといえるほど薄く、外皮も薄くなめらかな点が特徴。香りと食味のよい品種をかけ合わせているので、「柑橘の大トロ」と称されるほどの濃厚でコク深い甘さ、とろけるような舌触りに、アンコールの独特な香りが楽しめるタンゴールです。
西之香は、清見にトロビタオレンジをかけ合わせたタンゴールです。温州みかんとトロビタオレンジをかけ合わせた清見にさらにトロビタオレンジをかけ合わせているので、オレンジに近い特徴を持ちます。そのため、形状もオレンジに近い扁球形です。
皮が薄いためむきやすく、「まるでジュース」と称されるほどのたっぷりの果汁が味わえるのも特徴。酸味の少なさと強くてさっぱりとした甘み、爽やかな香りで食べやすい品種です。