2023年10月17日

野菜の豆知識|洋ナシ おいしく食べるには? 見分け方は?

みずみずしくシャリシャリとした食感の和梨に対し、ラ・フランスを代表とする洋ナシはなめらかな肉質と甘い香りが特徴です。洋ナシは食べ頃が和梨と異なるので、ベストな時期を見極めるのもおいしく食べるコツ。今回は洋ナシの基本情報とともに、をおいしく食べる「追熟」のポイントをご紹介します。


みずみずしくシャリシャリとした食感の和梨に対し、ラ・フランスを代表とする洋ナシはなめらかな肉質と甘い香りが特徴です。洋ナシは食べ頃が和梨と異なるので、ベストな時期を見極めるのもおいしく食べるコツ。今回は洋ナシの基本情報とともに、をおいしく食べる「追熟」のポイントをご紹介します。

 

洋ナシとは

 

洋ナシは、西洋ナシとも呼ばれるヨーロッパ・西アジア原産のフルーツです。ドイツやイギリスでは、16世紀頃から洋ナシが栽培されていました。そして18世紀にイギリスで発見された早生種の「バートレット」という品種が明治初期に日本に伝わり、古くから梨の栽培を行っていた現在の山形県高畠町で1875年に栽培がスタートしました。当初、バートレットは缶詰加工用として作られていたのみでしたが、1909年の皇太子(のちの大正天皇)行啓をきっかけに、山形で洋ナシづくりが広まったといわれています。

現在、洋ナシは山形県をはじめとして新潟県や長野県などで栽培されており、山形県が全体の6割以上の生産量を占めています。

洋ナシの代表品種「ラ・フランス」とは

 

現在、日本で洋ナシといえば、「ラ・フランス」が代表的な品種です。ラ・フランスの魅力は、芳醇な香りとなめらかで濃厚な甘みを持つ、とろけるような味わい。「果物の女王」と称されるほど、最高級の評価を受けています。

1864年にフランスで発見されたラ・フランスは、バートレットが伝わった後、大正初期に山形に伝わりました。しかし、ラ・フランスは収穫が遅く生育期間が長いため栽培に手間がかかること、見た目が悪いことから、しばらくは細々と栽培されて、バートレットの実を結ぶ確率を高めるための受粉樹として利用されるのみだったのです。そんな状況が変わったのは、1970年代に入ってからのこと。生のフルーツの需要が高まったことにより、特有の香りとなめらかな口当たりの肉質を持つラ・フランスが注目を浴び、グルメブームとともに一般にも広まりました。

実は、原産国のフランスでは、国名を冠したラ・フランスは、1900年代初頭にすでに絶滅しました。栽培にかかる期間の長さと面倒さが理由とされています。ラ・フランスは絶滅寸前に伝わった、日本でのみ栽培されているフルーツなのです。

収穫してから熟させる「追熟」でおいしく

 

和梨は収穫してすぐに食べるのが一般的ですが、収穫したての洋ナシは硬くて食べられません。そこで、収穫後に「追熟」を行ってから食べます。追熟を行うと、デンプンが糖化し、果糖やブドウ糖などの糖分に分解されます。さらに、ペクチンが水溶性ペクチンに変わることで、甘くとろけるような肉質に変わるのです。ラ・フランスの場合は、収穫後2、3週間ほど常温で追熟をすると、食べ頃になります。

洋ナシは、完熟したタイミングが食べ頃。皮がやや黄色になり、甘い香りが漂い始めれば熟していると判断できます。しかし熟しても皮が変色しにくいラ・フランスは、食べ頃の見極めがとても難しいので、コツをつかむのが重要。熟したかどうかを判断するには、まず軸をチェックしましょう。軸や軸の周囲の果肉にシワが表れていれば、食べ頃です。

皮の色が変わりにくいラ・フランスですが、全体がまだ緑がかっていたとしてもお尻の部分を見ると黄ばんでいることがあります。果実の重みで茶褐色に変色していれば、もうすぐ食べ頃と判断できるでしょう。

果肉の柔らかさを見るには、触ってみるのもポイント。軸の周囲を押してみて、耳たぶ程度の柔らかさであれば食べ頃です。しかし、店頭で販売されているラ・フランスの実を直接押すのはマナー違反。触って判断するのは購入後に追熟している時のみにしましょう。

果物の女王と呼ばれるラ・フランスは、世田谷自然食品の「旬のフルーツ定期便(マイスター特選コース)」で味わえます。フルーツのプロが厳選したフルーツが届くので、自宅で旬のおいしいフルーツを堪能できます。

今は日本でのみ味わえるラ・フランス。今回ご紹介した情報を参考に完熟の時期を見極めて、最もおいしい状態で味わってみましょう。