2023年05月12日

野菜の豆知識|サクランボ 初夏だけのぜいたくな味

サクランボはシロップ漬けなどの加工品として比較的身近にあるフルーツですが、実は生で食べられるのは旬を迎える初夏だけです。今回はサクランボの栄養や品種とともに、おいしいサクランボの見分け方もご紹介します。


サクランボはシロップ漬けなどの加工品として比較的身近にあるフルーツですが、実は生で食べられるのは旬を迎える初夏だけです。今回はサクランボの栄養や品種とともに、おいしいサクランボの見分け方もご紹介します。

 

サクランボとは

 

サクランボとは、セイヨウミザクラ(西洋実桜)になる果実のことで、果実を含めた樹木そのものを桜桃(おうとう)と呼ぶこともあります。日本にサクランボが伝わったのは1868年(明治元年)のことで、現在日本の生産量の7割を占める山形県には、1875年(明治8年)に伝わりました。

サクランボの花は、観賞用の桜として最もポピュラーなソメイヨシノとよく似ていますが、ソメイヨシノとは異なる品種の実です。逆に、サクランボの一種として販売されているアメリカンチェリーの果実は、見た目こそ異なりますが、サクランボがなるセイヨウミザクラの別品種の果実です。

サクランボの栄養

 

サクランボの小さな実には、さまざまな栄養が含まれています。特にビタミン類が豊富で、肌や粘膜を健やかに保ち、免疫力アップ効果が期待できるビタミンAや、エネルギー代謝にかかわるビタミンB群などが摂取できます。赤血球の元となる鉄分を含み、美肌効果が期待できるだけでなく、鉄の吸収をサポートするビタミンCも含まれていることから、効率良く鉄分を吸収できるのも特徴です。

また、サクランボはアントシアニンというポリフェノールの一種も含んでいます。アントシアニンの効果により、活性酸素を除去する抗酸化作用や眼精疲労予防、目の機能改善効果なども期待できます。アメリカンチェリーはサクランボよりもポリフェノール含有量が多く、さらに加熱や冷凍をしても栄養素が壊れにくいという違いがあります。

サクランボの主な品種

 

サクランボは、世界中で1300種類を超える品種が栽培されています。日本で栽培されているのは25品種ほどですが、その中でもポピュラーな品種をご紹介します。

佐藤錦(さとうにしき)

日本最大のサクランボ生産地である山形県で75%の栽培面積を占める、日本のサクランボを代表する品種です。「黄玉」と「ナポレオン」を交配して生まれた品種で、最高級品種のサクランボとして高い人気があります。

6月中旬~7月初旬に旬を迎える佐藤錦は、1粒の大きさが約7グラムで乳白色の肉質を持ち、果汁が多く甘さと酸味のバランスに優れた味が特徴。初競りの際は、非常に高額な価格で取引されることでも知られます。

紅秀峰(べにしゅうほう)

6月下旬~7月上旬、佐藤錦の後に旬を迎える紅秀峰は、佐藤錦と「天香錦(てんこうにしき)」という品種をかけ合わせた品種。1粒約10グラムと佐藤錦よりも大きめで、1991年(平成3年)に品種登録されています。糖度が高く酸味が少ない味わいで、果肉が硬めなので歯ごたえがあり、日持ちがよい点が特徴です。

月山錦(がっさんにしき)

中国から日本に持ち込まれた月山錦は、つややかな黄色い果実が最大の特徴。1粒9グラムほどと大きめのハート型のような形状の果実は、糖度が高く酸味がほとんどないので、甘さが際立つ味わいです。

黄色い果実は傷が目立ちやすく、さらに収穫量が少ないことから「幻のサクランボ」と称されることもあるほど希少価値が高く、一般的なスーパーで販売されることはまずありません。価格が高価なので、一部のデパートなどで贈答品として販売されています。

アメリカンチェリー

アメリカンチェリーとは、アメリカから輸入しているチェリーの総称です。複数の品種が流通していますが、一般的にアメリカンチェリーとしてポピュラーな品種は、濃い赤紫色で粒が大きめの「ビング種」です。

ビング種は6月~7月が旬で、主にアメリカのワシントン州またはカリフォルニア州で栽培されています。ビング種は大きくて実が硬く、甘みと酸味どちらも強いのが特徴です。

おいしいサクランボの見分け方

 

おいしいサクランボは、購入時にいくつかの見分けるポイントがあります。まず、果皮に光沢とハリがあり、濃い赤色が均一であること。ハリのある果皮は、新鮮だと判断できます。傷や変色がない実を選ぶのもポイントです。アメリカンチェリーの場合は、実が濃いものを選ぶと糖度が高く、より甘くなります。

鮮度が高いサクランボを選ぶなら、軸もチェックしましょう。軸が太く鮮やかな緑色であれば、鮮度のよいサクランボです。逆に、軸がしおれていたり黒っぽくなっていたりする場合は収穫後時間が経っているので要注意です。同時に、軸が抜けておらず軸の付け根のくぼみが深いサクランボも、おいしいサクランボです。

サクランボは、初夏の短い間だけ生食できるフルーツです。旬の時期に、おいしいサクランボを選んで味わってみましょう。