2022年04月05日

健康習慣|健康診断の受け方。検査の目的や結果の活用方法を知ろう

会社や自治体から送られてくる、定期健康診断の案内。「なんとなく受診して、結果を見たらまた来年……」となっていませんか?年1回の健康診断は、自分の健康状態を知る貴重なチャンス。生活習慣病のように自覚症状のない病気を予防することにつながるうえ、疾患の兆候を発見できる場合もあります。しっかりと受診して、健康管理に役立てましょう。


 

会社や自治体から送られてくる、定期健康診断の案内。「なんとなく受診して、結果を見たらまた来年……」となっていませんか?年1回の健康診断は、自分の健康状態を知る貴重なチャンス。生活習慣病のように自覚症状のない病気を予防することにつながるうえ、疾患の兆候を発見できる場合もあります。しっかりと受診して、健康管理に役立てましょう。

検査の目的を理解しよう

 

労働安全衛生法に基づき、事業者は労働者に対して定期健康診断を実施することが義務付けられています。さらに、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、健康診断の結果を労働基準監督署へ報告する義務があり、その結果を5年間保管しておかなければなりません。そのため、労働者は事業者が実施する健康診断を受けなければならないのです。

正社員であれば全員が定期健康診断の対象者となりますが、パートやアルバイトであっても、契約期間や労働時間において一定の要件を満たせば、定期健康診断を受けることができます。

健康診断にはさまざまな検査があります。身長や体重、腹囲をはじめ、視力・聴力、血圧、血液検査による血中脂質や糖代謝の検査、肝機能検査などが基本的な項目です。健康診断を受けることで自分自身の生活習慣の問題点を把握でき、改善に取り組むきっかけになります。また、病気のなかには自覚症状がないものが多く、予防や早期発見につながる可能性もあります。

がん検診を正しく受けよう

 

最新のがん統計によると、日本人の2人に1人が、生涯に一度はがんと診断されるそうです(男性は65.0%、女性は50.2%)。大きな病気に罹ったことがなくても、突然がんが見つかることがあります。早期に発見できれば、治癒率はぐっと高まります。

がん検診には種類がいくつかありますが、国が公共的な予防対策として行うがん検診は、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの5つ。会社や国民健康保険の健康診断では、年齢に応じたがん検診が項目に加わります。次にご説明するオプション検査と合わせて、毎年受けておくことをおすすめします。

厚生労働省は、がん検診を受診した人が結果としてどのくらいがんに罹っていたかを毎年調査しています。5つのがんのうち、がんが発見される割合が最も高いのは乳がん検診。「平成29年度地域保健・健康増進事業報告」によると、乳がん検診受診者のうち6.84%が要精密検査となり、そのうち4.15%から乳がんが発見されたそうです。がん検診を受診したからこそ、がんを発見することができたのです。

気になる項目はオプション検査を受けよう

 

健康診断の基本的な項目のほかに、全員に必要ではないものの、性別や年齢によって任意で追加できるオプション検査がたくさんあります。気になる部分を詳細に調べたい場合は、目的ごとに組み合わせて受診できます。

日本人の死因で上位を占めるのは、がん・心疾患・脳血管疾患の3つの病気です。胃がんの原因となるピロリ菌の有無を調べるピロリ菌検査は、一度受診しておくと安心かもしれません。体のいろいろながんの可能性を調べる腫瘍マーカー検査もあります。また、頭部MRI・MRA検査では、脳の健康状態を総合的に知ることができます。

特に女性は更年期以降、ホルモンバランスの乱れにともなって骨量が急激に低下します。骨密度検査によって自分の骨量を知り、骨粗しょう症の予防に役立てましょう。

健康診断の結果を活用しよう

 

定期健康診断のメリットのひとつは、検査の結果を前年と比較できること。高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、初期には自覚症状がありません。だからこそ毎年の健康診断が早期発見に役立ちます。

各検査項目の結果に異常があった場合、医療機関によって異なりますが、「要経過観察」「要精密検査」「要治療」などと判定されます。結果を効果的に活用し、健康維持に役立ててください。

「異常なし」の場合:結果に安心せず、数値の経年変化を把握

数値が前年からどのように推移しているかをチェックしましょう。基準値の範囲内で「異常なし」の判定だったとしても、前年から大きな増減がある場合は要注意です。

「要経過観察」の場合:生活習慣の改善に取り組む

わずかに基準値から外れていたり軽度な異常があったりすると、「要経過観察」と判定されます。ただし、何もせずに様子を見ていればよいというわけではなく、放置すると病気につながってしまうことも。医師のアドバイスを参考に生活習慣の見直しをしましょう。

「要精密検査」や「要治療」の場合:速やかに医療機関へ

「要精密検査」は、数値が正常の範囲から外れ、病気が疑われる状態です。精密検査によって病気が見つかる場合もあれば、見つからない場合もあります。「要治療」は、放置していると悪化する可能性が高い状態です。すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受けることで早期回復が期待できます。

健康診断は、自分の健康状態を把握するために重要なものです。受診することはもちろん、結果の意味を正しく理解し、日々の健康管理に活かしていきましょう。