第2次世界大戦中や戦後、食糧不足により日々の食事を十分に取れないことが原因で栄養失調になる方が多かったといわれます。しかし現在、満足に食糧があるにもかかわらず、栄養不足に陥る「新型栄養失調」になる方が増えています。今回は、新型栄養失調の原因と予防方法についてご紹介します。
2021年08月25日
第2次世界大戦中や戦後、食糧不足により日々の食事を十分に取れないことが原因で栄養失調になる方が多かったといわれます。しかし現在、満足に食糧があるにもかかわらず、栄養不足に陥る「新型栄養失調」になる方が増えています。今回は、新型栄養失調の原因と予防方法についてご紹介します。
第2次世界大戦中や戦後、食糧不足により日々の食事を十分に取れないことが原因で栄養失調になる方が多かったといわれます。しかし現在、満足に食糧があるにもかかわらず、栄養不足に陥る「新型栄養失調」になる方が増えています。今回は、新型栄養失調の原因と予防方法についてご紹介します。
新型栄養失調とは、食糧不足が原因で発生する栄養失調とは異なる、現代人特有の栄養失調です。一般的に連想される栄養失調は、摂取カロリーが少ないことにより起こります。これに対して新型栄養失調は、1日3食しっかり食べてカロリーは十分摂取できているけれど、ビタミンやミネラル、たんぱく質などの体に必要な栄養素が不足している状態を指します。
この新型栄養失調は女性や高齢者に多く見られます。よくだるさを感じる、夜ぐっすりと眠れないなどの体の不調を感じている場合、新型栄養失調が原因の可能性も考えられます。
では、一体どのような原因で栄養不足に陥ってしまうのでしょうか。
特に働いている女性の場合、ランチが毎日似たりよったりのメニューということも多いでしょう。惣菜パンやコンビニのおにぎりで簡単に済ませて空腹を満たすことが増えると、カロリーは摂取できても栄養が偏ってしまいます。また、ダイエットのためにヘルシーな食事を続けることで必要な栄養素が不足してしまうことも、新型栄養失調の原因になってしまうのです。
高齢になると活動量が減る場合が多く、若い頃ほど食欲がでないことは珍しくありません。肉や魚などをあまり食べず、さっぱりしたものを選んでしまうことも多いでしょう。また、加齢により、咀嚼したり飲み込んだりする能力や消化吸収能力が衰えてしまうと、食事から摂取できる栄養素が減ってしまいがち。このような加齢に伴う体の変化により、たんぱく質をはじめとした栄養素が不足してしまうのが、高齢者の新型栄養失調の原因といわれます。
食事で十分なカロリーを摂取していても、栄養素が偏っていると新型栄養失調になる可能性があります。では、現代の日本人が不足しがちな栄養素とは、どのようなものなのでしょうか。
まず挙げられるのが、たんぱく質。たんぱく質の不足は筋肉量の低下を招くだけでなく、免疫力の低下や皮膚トラブル、貧血などを引き起こすことがあります。また、たんぱく質を構成する一部のアミノ酸からできる神経伝達物質も不足してしまうため、集中力や思考力が低下してしまうことも。たんぱく質を摂取するためには肉や魚、大豆製品を積極的に食べましょう。
ビタミン不足も、新型栄養失調の原因となります。日本人が不足しがちなビタミンは「ビタミンA」と「ビタミンB1」といわれています。
ビタミンAの不足は糖尿病のリスクや目のトラブルなど、ビタミンB1不足は手足を動かしにくくなるなどの末梢神経障害、体のだるさなどの症状が現れる可能性があります。ビタミンAを摂取できる代表的な野菜といえば、にんじん。ビタミンAは脂溶性なので、油で調理するとより吸収しやすくなるのでおすすめです。ビタミンB1は大豆や豚肉、玄米に多く含まれていますが、水溶性なので大量に摂取しても必要以上の量は排出されてしまいます。また、熱にも弱いため調理の際は注意しましょう。
健康維持に必要な必須ミネラルは16種類ありますが、なかでも不足しがちなのが「カルシウム」と「マグネシウム」です。
カルシウムが多い食品といえば、乳製品や小魚、大豆製品です。乳製品は吸収率が高いので、意識的に摂取してみましょう。マグネシウムは海藻やアーモンドなどのナッツ類、魚介類などに多く含まれます。全粒粉もマグネシウムが多いため、強力粉ではなく全粒粉のパンを選ぶと、マグネシウムを摂取しやすくなるでしょう。
たとえおなかいっぱい食事をしても、偏った食事内容では必要な栄養素が不足してしまいます。栄養不足による新型栄養失調を防ぐためには、バランスのよい食生活を送ることが何よりも大事です。サプリメントである程度の栄養素は補えますが、サプリメントはあくまでも栄養を補助するための食品なので、頼りすぎることなく食事から栄養素を摂ることを意識しましょう。
もちろん、その日の体調によってはあまり食べられない、という場合もでてくるかもしれません。そんな時は無理をせず、体調に合わせてできるだけ多くの品目を食べてみましょう。