2021年04月19日
診察室で「今日はどうされましたか?」と訊かれて、自分の症状などの情報がうまく伝わらず、困ったことはないでしょうか。今回は、医療従事者はどんなことが知りたいのか、受診前に確認しておきたいことなど、上手に自分の情報を伝えるポイントを紹介しますので、病院・医師とのコミュニケーションの際に思い出してみてくださいね。
診察室で「今日はどうされましたか?」と訊かれて、自分の症状などの情報がうまく伝わらず、困ったことはないでしょうか。今回は、医療従事者はどんなことが知りたいのか、受診前に確認しておきたいことなど、上手に自分の情報を伝えるポイントを紹介します。
例えば「胃のあたりがキリキリ痛いです」といった症状を伝えた際に「いつからですか?」や「ずっとですか?どんな時に痛みますか?」などと訊かれたことはありませんか?
診断や治療には、「今どこがどのような状態にあるか」といったことに加えて「その状態に至るまでに、どのような変化があったか」という経過も重要になってきます。
痛みやつらさなどを感じている時は判断力も鈍りがちですから、つい「今ある症状を早く取り除いてほしい」と短絡的に考えて、すぐに結論を求めようとしてしまいます。しかし、まずは痛みやつらさの原因を突き止めなければ、根本的な解決は望めません。薬で痛みやつらさだけを抑えているうちに、原因となる部分がもっと悪化してしまっては、元も子もありません。
体調は日常生活と切り離せませんから、症状や経過を説明しなければならない場面で、「私は大丈夫だと言ったのに、家族が病気を疑うので」、「痛みが引かないので心配で仕事が手につかない」などと、つい症状や経過から逸れたことまで話してしまいがちです。
一方で、それまでにどんな病気を抱えたことがあるかや体質的な特徴、症状が出る前に見られた兆候など、医療従事者が知りたいと思っている情報も、本人にとっては当たり前のことなので、つい伝え忘れてしまうことがあります。
「こういう症状があるので調べたら、どうやら○○という病気のようなので受診しました」というのもよくある受け答えのひとつです。病気の診断は医師にしかできませんし、本人が先に「この病気だ」と思い込んでしまうと、症状の感じ方などにも無意識に影響を受けてしまいます。
これまでの受診経験で、思い当たることはあったでしょうか。次は、こういった問題を避け、病院で上手にコミュニケーションを取るためのポイントをご紹介します。
症状がひどくなければ、受診前にこれまでの「経過」を遡ってみましょう。「いつも片頭痛があるけれど、今回の頭痛は様子が違う」、「症状が出はじめる数日前から、なんとなく違和感があった」など頭の中で思い出してみるだけでも役に立ちますし、メモなどにまとめておけるとより安心です。余裕があれば最近の健康診断の結果や、おくすり手帳なども持参しましょう。
つらい症状がある時、病歴やこれまでの経過、生活などについて細かく訊かれるのはわずらわしいですし、早く終わらせたいと感じるものです。しかしこの「問診」も、原因を突き止めるための重要な医療行為のひとつですから、できるだけきちんと答えていきましょう。受付で問診表を記入する時も同様です。
経過を伝えるにあたって、「心配だ」、「大丈夫だと思う」などといった自分の感情を隠す必要はありませんが、ことさらに主張すると余計な情報になって、診察の時間をいたずらに延ばしてしまいます。
家族の様子なども「歩き方がおかしいと心配された」など症状に関連しそうな内容は伝えたほうがいいものの、「受診しろとうるさいので」といった、ただの意見は余計な情報になってしまうかもしれません。事細かに伝えることは重要ですが、本当に必要な情報であるかはある程度判断して伝えることを心がけましょう。
インターネットなどで自ら調べて「確からしい」と感じた情報はつい信じたくなりますが、専門家である医師の診察を待たずに、自分の判断だけで信じ込むのは、あまり好ましいこととは言えません。
自分で調べた内容は参考程度にとどめ、基本的には医療従事者の説明にきちんと耳を傾けるようにしましょう。どうしても納得がいかない場合は、セカンドオピニオンを求めて別の医療機関へかかる方法もありますが、自分で調べた通りの診断が出るまで病院を転々とするようなことは、控えたほうがよいでしょう。
定期健診などであればある程度準備もできますが、つらい症状が出てからの受診となると、どうしても冷静さを欠いたり、判断力が鈍ったりしがちです。具合の悪い時ですから完ぺきではなくても、できるだけ適切な病院でのコミュニケーションが取れるように、今回ご紹介したポイントを頭の片隅においてみてください。