2020年10月19日

郷土料理|じゃこごうこ 泉州名物を年中楽しむ(大阪府)

大阪府南西部、泉州地域のご当地料理「じゃこごうこ」は、水なすの古漬けとエビを醤油で炊いた料理で、大阪の生活の知恵、始末の心が詰まったおいしい常備菜です。今回は、「じゃこごうこ」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。


 

大阪府南西部、泉州地域のご当地料理「じゃこごうこ」は、大阪の生活の知恵、始末の心が詰まったおいしい常備菜です。今回は、「じゃこごうこ」の概要と、おすすめの食べ方についてご紹介します。

泉州の郷土料理「じゃこごうこ」とは

じゃこは小魚ではなく「小さなエビ」

「じゃこごうこ」は、水なすの古漬けとエビを醤油で炊いた料理です。「ごうこ」は泉州弁で漬物を表す「こうこ」がなまったもので、「じゃこ」はよくいわれる小魚ではなく、エビの仲間で小ぶりな体格の「ジャコエビ(エビジャコ)」のことを指しています。他には、「じゃここうこ」や「じゃこなす」と呼ばれることもあります。

泉州名物水なすの古漬けを年中おいしくいただける

泉州といえば水なすが名物です。水なすは生でも食べられるほどですから、漬物も、浅漬けや漬かり過ぎていないものが比較的好まれます。
一方、じゃこごうこに用いられるのは、数週間から数ヵ月漬けられた「古漬け」。つまり、旬の水なすは浅漬けで楽しみつつ、古漬けになってしまったものはじゃこごうこにして、年中水なすをおいしく食べられるというわけです。そう考えると、どんなものも無駄にしない、大阪人の「始末の心」が感じられる一品でもあります。

じゃこごうこは家庭で作れる

 

じゃこごうこの基本的な作り方

水なすの古漬けは塩が強いので、まずは縦に4~8つほどに割いてから水にさらし、時々水を換えながら数時間かけて塩出しをします。
鍋に酒、みりんを入れ、煮立ったらだし汁と醤油、千切りにしたショウガを加えて、ジャコエビ(または小ぶりのエビ)を丸ごと、もしくは頭を取って殻付きのまま煮ます。
続いて水気を切った水なすを鍋に加え、中火で10~20分ほど煮て火を止め、冷ましながら味を含ませればできあがりです。

普通のなす漬けや、むきエビで作るアレンジレシピも

ここではごく一般的なレシピをご紹介しましたが、調味料の量、煮込む手順、時間などは家庭によってさまざまな違いがあり、煮汁に砂糖や鷹の爪を加えるレシピなども見られます。
また、水なすの古漬けやジャコエビなどは、どこでも手に入る食材ではないということもあって、普通のなす漬けや、むきエビを使ってじゃこごうこを作るアレンジも多いようです。

じゃこごうこ、おすすめの食べ方は?

濃い味を活かしてご飯のおかずやおつまみに

よく漬かった水なす、ジャコエビの出汁もでてうま味の濃いじゃこごうこ。地元の人たちも真っ先におすすめする食べ方は、やはり白いご飯のお供です。もちろんお酒のおつまみにしても、進むことうけあいですよ。

お茶漬けの具にしてもおいしい

じゃこごうこの乗ったご飯にお茶を注いで、お茶漬けにするのもおいしい食べ方です。水なすやジャコエビにしみ込んだうま味で、他の調味料を加えなくてもあっさりサラサラといただけます。

素麺のつゆに混ぜれば食べ応えアップ

いつもの薬味だけではマンネリになりがちな素麺のつゆですが、じゃこごうこが加われば、うま味も食べ応えも両方アップします。水なすの独特の食感や、頭や殻が付いたジャコエビのカリカリした食感も新鮮です。

水なすの旬はなんといっても夏ですが、その古漬けで作るじゃこごうこは、晩夏から秋に食べ頃を迎え、そのあとも古漬けさえあれば長い間にわたって楽しめるメニューです。水なすに限らず、持て余してしまった古漬けなどを同じ調理法で有効利用できるので、ぜひアレンジに挑戦してみてくださいね。