梅の実が熟すのは6月ごろ。梅雨入りの前後は梅干しを仕込む「梅仕事」のスタートです。昔から梅干しには良い働きがたくさんあることが知られていて、古い文献にもよく登場しています。今回は梅干しの優れた効能や、梅干しの作り方をご紹介します。
2020年06月05日
梅の実が熟すのは6月ごろ。梅雨入りの前後は梅干しを仕込む「梅仕事」のスタートです。古い文献にもよく登場していて、昔から梅干しには良い働きがたくさんあることが知られており、江戸時代でも「梅は三毒を断つ」「梅干しの七徳」とその効能が謳われています。今回は梅干しの優れた栄養や、梅干しの作り方をご紹介します。
梅の実が熟すのは6月ごろ。梅雨入りの前後は梅干しを仕込む「梅仕事」のスタートです。昔から梅干しには良い働きがたくさんあることが知られていて、古い文献にもよく登場しています。今回は梅干しの優れた効能や、梅干しの作り方をご紹介します。
日本ではおなじみの食材「梅干し」。お弁当に入れたり、風邪のひきはじめや二日酔いのときに食べたりと、日常的にさまざまな使い方をされてきました。このような使い方は長い年月をかけて知られてきたもので、江戸時代には「梅は三毒を断つ」「梅干しの七徳」とその効能が謳われています。
「三毒」とは「水毒」「食毒」「血毒」のことで、それぞれ以下のような害があるといわれています。
水毒(すいどく)…体の中に余分な水分がたまった状態。ベタベタした水のイメージで、むくみ、鼻炎、雨の日の不調(頭痛など)、関節痛の原因と考えられています。
食毒(しどく)…暴飲暴食などによって、食べたもの(=エネルギー)が体内に余ってしまうこと。脂肪となって蓄積されるほか、便秘や喉の渇きを招きます。
血毒(けつどく)…血のめぐりが滞ってよどんだ状態で、体の各所に栄養が行き届きにくくなります。肩こり、月経痛や月経不順、頭痛、顔色が悪い、静脈瘤(りゅう)などの症状となって現れます。
安政6年(1859年)に発刊された草木の薬効を書いた書籍『飲膳摘要(いんぜんてきよう)」には、梅干しの効能について以下のように書かれています。
「三毒」にはあらゆる不調が含まれているので、当てはまる方も多いのではないでしょうか?次は西洋医学の面から、梅干しの栄養を見ていきましょう。
梅には、カルシウム、リン、鉄分、亜鉛、マグネシウムなど、体を作るにも整えるにも必要なミネラルがたくさん含まれています。小さな1粒でこれだけのミネラルが摂れる食材はなかなか見当たりません。神経や筋肉を健やかに保ち、代謝を高め、余分な水分を排出する役目を果たしてくれます。
梅干しのすっぱさは、豊富に含まれるクエン酸によるもの。このクエン酸は疲労回復のほか、取り込んだ食べ物を効率的にエネルギーに変えて、余分な脂肪をつきにくくします。また、梅干しは強力なアルカリ性食品です。体液を弱アルカリ性に保つ働きで、血液が酸性化してドロドロするのを防いでくれるため、便秘や貧血、生理不順などの改善が期待できます。
梅干しが作れるのは年に1度、梅が熟す6月前後の時期だけです。手間ひまがかかるイメージですが、実際には「手間は少し、ひま(待つ時間)は長い」のが梅干し作り。毎日少しずつ変化する梅の様子は、見ていてワクワクします。
今回は昔ながらのすっぱい梅干しの作り方です。紫蘇を入れない白干しと呼ばれる方法で、梅の重さに対して2割の粗塩を使います。減塩しても構わないのですが、カビやすくなるので、初めての方は2割で作ってみてください。
梅干しは体によいとは知っていても、具体的な効能についてはあまり注目する機会がなかったのではないでしょうか。こんなに身近な食材が多くの効能を持つのは驚きです。じめじめして薄暗い梅雨の季節に行う梅仕事は、気分を少し上向きにしてくれます。1年分の梅干しをぜひご自身の手で作ってみてくださいね。