2020年04月10日

健康メニュー|「卯の花」純白の花に見立てた、身体にもお財布にも優しい一品

卯の花は大豆からできたおからを使った、副菜のひとつ。5月から6月に咲く純白の「卯の花」に見立てたメニューです。味噌や豆乳、豆腐など、日本食には大豆からできたものがたくさんありますが、中でも卯の花は、あまり知られていない印象です。しかし、おからには他の大豆食品とくらべても引けを取らないほどの栄養価があるのです。今回は、卯の花についてやおからの栄養と食べ方についてご紹介します。


卯の花は大豆からできたおからを使った、副菜のひとつ。味噌や豆乳、豆腐など、日本食には大豆からできたものがたくさんありますが、中でも卯の花は、あまり知られていない印象です。しかし、おからには他の大豆食品とくらべても引けを取らないほどの栄養価があるのです。今回は、卯の花についてやおからの栄養と食べ方についてご紹介します。

 

旧暦「卯月」に咲く花にたとえた栄養食「卯の花」

 

副菜として添えられているとちょっぴりうれしい「卯の花」。卯の花の主材料であるおからは、大豆から豆乳を作ったあとの絞りかすです。そのおからににんじんやしいたけを加えて、しょうゆ・みりんなどで味をつけたものが卯の花です。

ちなみに植物のほうの「卯の花」は、アジサイ科の「ウツギ」の別称です。4月は「卯月」ともいいますが、これは「卯の花」が咲く時期を意味しています。新暦では1ヵ月ほど季節が早くなるので、卯の花は5月から6月、初夏の花です。食べ物を花に見立てて呼ぶというのはなんとも粋でかわいらしさを感じます。また、地域によっては「きらず」とも呼ばれ、こちらは包丁なしで調理できることに由来します。

食べ物が別名を持つことはよくあることで、お彼岸に食べる「ぼたもち」「おはぎ」は同じものを指しますが、春のお彼岸は牡丹の花に見立てて「ぼたもち」、秋のお彼岸は萩の花に見立てて「おはぎ」と呼びます。

大豆にも豆乳にも引けを取らない、おからの栄養

おからは大豆を原料とし、低カロリーで、大豆由来の良質のたんぱく質がたっぷりと含まれています。カリウム、カルシウムを含み、また、植物繊維の豊富さは豆乳にはない長所といえます。

食物繊維は水に溶ける「水溶性」と、水に溶けない「不溶性」の2種類があり、おからの食物繊維は「不溶性」です。不溶性食物繊維は、水分を吸収して膨らみ、便がかさ増しされることで排便をスムーズにします。また、食物繊維は乳酸菌などの善玉菌のエサとなるため、腸内環境の改善にもつながります。

さらに大豆が持っている良質のたんぱく質が、おからにはしっかり残っています。たんぱく質の量はゆで大豆の70%ほどで、カルシウムはゆでた大豆よりも豊富です。このたんぱく質にはオリゴ糖が含まれ、こちらも善玉菌のエサとなって、おなかの調子を整えてくれます。

また、おからの原料である大豆は、薬膳の世界では「余分な水分代謝を促し、肝臓の弱い方、むくみやすい方、足腰の弱い方に向く」といわれています。季節が梅雨に向かう時期は、普段むくみのない方もむくみやすくなります。食養生の面で見ると、梅雨前の1~2ヵ月前から、こうした水分代謝を助ける食材を食べて身体に準備させておくのがおすすめです。

生・乾燥・パウダー、用途で選んで賢く使おう

 

おからには生タイプ、乾燥タイプ、パウダータイプの3つが出回っています。栄養の優秀さもさることながら、200円くらいから手に入るお手頃価格も見逃せません。ここでは各タイプの特徴や使い方をご紹介します。

生タイプ

大豆をしぼった残りのまま、できたてのおからです。水分をしっかり含んでいて、最も大豆の風味が残っています。日持ちしないのが難点ですが、冷凍保存すれば1ヵ月程度持ちます。

乾燥タイプ

乾燥おからに対して約4倍の水と混ぜて、戻すことで生タイプと同じように調理します。保存性が高く、常温でも1ヵ月程度は持つのがうれしいポイント。味付けをして卯の花にしたり、また、ハンバーグのたねやパン粉の代わりに混ぜてカロリーを抑えたりと、アイデア次第で使い方が広がります。

パウダータイプ

乾燥タイプを粉末状にしたタイプです。粒子がとても細かいので、クッキーやホットケーキなどの種に混ぜたり、スープやサラダにぱぱっとふりかけたりして、一品あたりの栄養価アップに重宝します。

かつては日本の食卓によく登場していた卯の花ですが、最近ではめっきり見る機会が減りました。しかし、調理は難しくなく、栄養も価格も優秀なのですから、使わない手はありません。3タイプのなかから、ご自身が使いやすいと感じたものをまずひとつ、食卓へ再登場させてみてはいかがでしょうか。