2016年11月21日

日本のみそ|油味噌(沖縄県) やさしく、味わい豊かな甘みでご飯がすすむ

沖縄県で親しまれている「油味噌(アンダンスー)」は、味噌といっても味噌汁にするのではなく、ご飯にのせたり、おにぎりの具としてそのまま食べることの多い「なめ味噌」の一種です。今回は、沖縄の「おばあの味」である、油味噌の特徴と食べ方、ご家庭での作り方をご紹介していきます。


沖縄県で親しまれている「油味噌(アンダンスー)」は、味噌といっても味噌汁にするのではなく、ご飯にのせたり、おにぎりの具としてそのまま食べることの多い「なめ味噌」の一種です。今回は、沖縄の「おばあの味」である、油味噌の特徴と食べ方、ご家庭での作り方をご紹介していきます。

味噌と砂糖の甘みが絡み合う油味噌

 

油味噌は、味噌と豚肉、もしくは魚介類などを炒めた沖縄名物。沖縄の言葉で、「アンダ(油)」+「ミスー(味噌)」から、「アンダンスー(アンダミスー)」とも呼ばれます。
食材が傷みやすい高温多湿の沖縄では、味噌と豚の脂は貴重な保存食。そうした背景もあって、油味噌は古くから各家庭で常備食・保存食として作られ続けてきました。現在では市販品も多くなり、沖縄土産としても人気があります。

油味噌には、合わせ味噌や豚肉(魚介類)に加えて砂糖やみりん、ショウガ、泡盛などを入れることが多く、豚や魚の油と味噌のコク、そしてじんわりとしたやさしい甘みが特徴です。地域によっては、鹿児島県奄美地方や沖永良部(おきのえらぶ)諸島、沖縄県粟国島で作られている、ソテツの実と玄米と大豆を原料にした「ソテツ味噌」を使うこともあります。

王道の“ご飯のおかず・おにぎり”以外にもさまざまな食べ方が

 

いわゆる“ご飯のお供”として白飯に添えたり、おにぎりの具として食べられることが多い油味噌。沖縄では、アンダンスーおにぎりがコンビニでも普通に売られています。
また、なすやゴーヤなどの野菜と一緒に炒めたり、きゅうりや大根、キャベツなどの生野菜に付けて食べるのもおすすめ。ゴマやネギ、シソなどの薬味を加えて、冷や奴にのせてもおいしくいただけます。具材の大きい油味噌なら、お酒のおつまみにそのまま食べても。もちろん、沖縄県特産の泡盛との相性も抜群です。

沖縄版クレープと呼ばれる「ポーポー」も、油味噌のおいしい食べ方のひとつ。ポーポーとは、小麦粉を水で溶いて薄く焼いた皮で、油味噌をくるりと巻いて食べる昔ながらのお菓子。黒糖を入れた甘い生地を焼いて丸め、餡なしで食べる「ちんびん」とともに沖縄ではよく食べられています。
ポーポーもちんびんも、元々は旧暦の5月4日、沖縄では「ユッカヌヒー」と呼ばれるこどもの日に、子どもたちの健やかな成長を願って食べていたものなのだとか。

家庭でできる油味噌の作り方をご紹介

 

昔から沖縄の各家庭で作られてきただけに、油味噌にはさまざまなレシピが存在しますが、ごく一般的な作り方を簡単にご紹介します。

<油味噌の作り方>
分量 豚肉:味噌=1:1。砂糖や泡盛、みりんなどはお好みの加減でどうぞ。
ちなみに、甘めの油味噌が好きな家庭では、砂糖も豚肉や味噌と同量入れることがあるのだそうです。 作り方 1.まずは豚肉(魚介)をナベやフライパンなどで油を敷かずに弱火で炒めます。 2.油が出てきたらとろ火に切り替えて味噌を絡ませ、砂糖、みりん、泡盛を加えて煮ていきます。焦げつきやすい材料ばかりなので、弱めの火でじっくり煮るのがポイントです。 3.水分がなくなり、ツヤが出てきたら完成!

材料の豚肉は、食感を楽しむなら刻んだ三枚肉(豚バラブロック)を入れるのがおすすめ。手軽に作るなら、豚ミンチやツナを使ってもおいしく出来上がります。

沖縄に古くから伝わってきた「おばあの味」こと油味噌は、家庭でも手軽に作れて保存性にも優れている、うれしい一品。市販品の油味噌も、全国各地の沖縄県アンテナショップや、大型スーパーなどで扱われることが増えてきたので、見かけたらぜひ試してみてはいかがでしょうか。