2020年01月08日

野菜の豆知識|肉厚の葉と甘みが絶品 「ちぢみほうれん草」

寒さが厳しくなったら、ちぢみほうれん草が出回る時期です。大きく葉を広げた見た目が特徴的で、一般的なほうれん草より肉厚な葉で甘みがあります。ちぢみほうれん草が食べられるのは、12月から2月くらいまで。多くの野菜が通年で食べられる現在でも、期間限定の食材です。今回はちぢみほうれん草のおいしい食べ方や栄養、保存方法についてご紹介します。


寒さが厳しくなったら、ちぢみほうれん草が出回る時期です。大きく葉を広げた見た目が特徴的で、一般的なほうれん草より甘みがあります。ちぢみほうれん草が食べられるのは、12月から2月くらいまで。多くの野菜が通年で食べられる現在でも、期間限定の食材です。今回はちぢみほうれん草のおいしい食べ方や栄養、保存方法についてご紹介します。

 

真冬だけのおいしさ「ちぢみほうれん草」とは

一般的なほうれん草がおいしい時期は、9月から4月にかけて。北海道産は6月から10月くらいなので、他の野菜とくらべると旬の長い食材です。しかし、ちぢみほうれん草は、12月から2月の間だけに採れる期間限定もの。冬の訪れを感じる食材です。

ちぢみほうれん草は「寒ちぢみほうれん草」とも「寒締めほうれん草」とも呼ばれます。その名の通り、真冬の寒さにさらすことで葉がギュッと縮んで、横に広がっています。寒さに当てることで、葉肉が厚くなり、糖度や甘みがアップするので、食べごたえがあります。

ちぢみほうれん草の栄養

ほうれん草はカロテンやミネラルが豊富な緑黄色野菜。鉄やマグネシウム、亜鉛などのミネラル類が豊富で、貧血予防に摂りたい鉄の吸収をサポートするビタミンCに、造血(血液を造る)を促す葉酸をはじめとしたビタミンB群というように、ミネラルとビタミンがバランスよく組み合わせられているのも特徴です。

そしてちぢみほうれん草は、普通のほうれん草と同じ栄養を持ちながら、一部の栄養はより多く含まれています。寒さのストレスに耐えられるよう、自らビタミンCやカロテンを増やし、また、凍らないよう葉を縮める際に、デンプン等の糖質化が進んで甘みも増します。気温が下がるほど甘みが増すため、今年は寒さが厳しい……という時は、ちぢみほうれん草がおいしい年といえます。

買ったらその日のうちに加熱調理を

葉物野菜のなかでも、ほうれん草は水分が蒸発しやすい食材です。ちぢみほうれん草は葉に厚みがあるため、そこまで鮮度落ちを気にしなくても良いですが、やはり買いたての新鮮なうちに調理しておくのがおいしく食べるコツです。ちぢみほうれん草はアクがやや強いので、生ではなく加熱調理に適しています。

ちぢみほうれん草は露地栽培なので、根元に土が付着しています。水を張った洗いおけにまるごと入れて、なかで揺するように洗うと取り除きやすいです。洗う前に根元に細かい切り込みを入れておくと、土が落ちやすくなるのでおすすめです。

ゆでる場合には、たっぷりのお湯に塩を少々加え、茎の部分を入れ、続けて葉を沈めます。1分ほどゆでたら水にさらしてアク抜きをしましょう。ちぢみほうれん草は炒めてもおいしいですが、炒める前に下ゆでをしておくとエグみが取れてさらにおいしくなります。

ちぢみほうれん草のおすすめの食べ方

 

ちぢみほうれん草の甘みを楽しむなら、あっさりした味付けがおすすめ。ゆでたものに少々のしょうゆか白だしをかけただけのおひたしは絶品です。葉がしっかりしているので、バター炒めにも適しています。

他にも、お鍋の具材としてもぴったり。昆布で出汁を取った鍋に、大きめに切ったちぢみほうれん草と豚肉をしゃぶしゃぶのようにさっと煮て、ポン酢で食べる「常夜鍋」は特におすすめです。複雑な調理なし、具材もシンプル、身体があたたまる、といいことずくめ。まさに毎晩食べても飽きないおいしさです。

初めてちぢみほうれん草を食べると、その甘みや食べごたえにびっくりして、冬の間のほうれん草は、一般的なほうれん草ではなくちぢみほうれん草を買うようになったという声も耳にします。見慣れたほうれん草の形をしていないので、なんとなく買わなかったという方も、ぜひ試してみてくださいね。