2017年02月09日

健康習慣|冬の食中毒対策

昔から食中毒というと、高温多湿の場所で放置された食品にあたってしまうなど、夏に多く発生するものだと思われがちなもの。しかし、実際は冬であっても多くの食中毒が発生しており、特に平成18年のノロウイルス大量発生を機に、注目されるようになりました。今回は冬の食中毒対策についてご紹介します。


昔から食中毒というと、高温多湿の場所で放置された食品にあたってしまうなど、夏に多く発生するものだと思われがちなもの。しかし、実際は冬であっても多くの食中毒が発生しており、特に平成18年のノロウイルス大量発生を機に、注目されるようになりました。今回は冬の食中毒対策についてご紹介します。

冬の食中毒はウイルス性が主流

 

夏にはサルモネラ菌や病原性大腸菌などの細菌性食中毒が発生しやすい一方、冬はノロウイルスや5歳までのお子さんがかかりやすいロタウイルスに代表されるウイルス性食中毒が多くみられます。患者数でいえば、なんとウイルス性食中毒の方が多いのです。
ノロウイルス食中毒の場合はウイルスが体内に12~48時間潜伏した後、嘔吐と激しい腹痛、下痢が引き起こされます。ロタウイルス食中毒の場合は24~72時間潜伏した後、嘔吐と激しい腹痛、下痢に加えて39℃を超える高熱がみられます。
平成17年頃まで、ノロウイルス食中毒の原因は牡蠣などの二枚貝であるとされてきました。しかし、近年では寿司や弁当など、牡蠣を含まない食品を原因とするノロウイルス食中毒も多くなっていることから、調理者の手指などから感染する例もあると考えられています。

「原因になるものを食べない」だけじゃない 冬の食中毒対策

高温に弱く、低温下で生き延びやすいノロウイルスやロタウイルス。冬の食中毒対策は、夏の食中毒のように食品の保管方法などに注意するというよりも、消毒を心がけ、免疫力を高めることがポイントになります。では、具体的な対策をご紹介します。

手洗い・調理器具の消毒

食事を提供する場合は調理する前、食べる場合は食前、また、トイレの後には、石鹸でしっかり手や調理器具を洗い、アルコール消毒をしましょう。
アルコール消毒液はノロウイルス、ロタウイルスには効かないともいわれますが、次亜塩素酸ナトリウムや熱湯ほどの効果ではないというだけで、手洗いの効果を高めてくれます。
正しい手洗いの方法については、下記の記事も参考にしてみてください。

風邪・インフルエンザ予防の第一歩!「正しい手の洗い方」
 

牡蠣などの二枚貝を生食しない

一時より減っているとはいえ、まだまだ牡蠣を原因とするノロウイルス食中毒は少なくありません。ノロウイルスが死滅する85℃~90℃で、90秒以上加熱したものを食べるのが望ましいでしょう。

感染者の汚物処理をしっかりと

ノロウイルスやロタウイルスへの感染は食品以外に、感染者の排泄物や嘔吐物、それらが空気中に飛び散ったものなどからの可能性もあります。こうした汚物を処理する際は、使い捨てのマスクや手袋、上着を用い、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を実施しながら汚物をビニール袋に密閉して捨てるなど、細心の注意を払う必要があります。処理を行った後は、手袋をして作業した場合でも石鹸でしっかりと手を洗いましょう。

腸内環境を整える

ヨーグルト、オリゴ糖など、腸内の善玉乳酸菌を増やす食品で、免疫力を高めましょう。特に、乳酸菌飲料などに含まれることが多いタンパク質の中には、ノロウイルス食中毒の予防に効果があるものも見られます。
乳酸菌での免疫力アップについては、下記の記事も参考にしてみてください。

腸内環境を整えてインフルエンザを退ける!「乳酸菌で免疫力アップ」
この他にも、1日3回の食事でできるだけ多くの食品をバランスよく食べる、以前ご紹介した平熱を上げて抵抗力を高める(体温アップ健康法)など、普段から健康的な生活を心がけることが、免疫力を高め、冬の食中毒を遠ざけることにもつながります。 ウイルスと聞くと、つい殺菌や消毒のことばかり考えてしまいがちですが、冬は殺菌・消毒に加えてウイルスに負けない体づくりにも挑戦してみてはいかがでしょうか。