2016年06月13日

散策|吹屋ふるさと村(岡山県)石州瓦と格子戸を備えた堂々とした町屋 宮大工の技が光る、ベンガラ塗りの独特な町並み

吹屋(ふきや)ふるさと村は、江戸時代から明治にかけて、鉱山と特産品のベンガラ(※)の生産で栄えたエリア。宮大工の技が光る、ベンガラ色(暗い赤みを帯びた茶色)に統一された石州瓦と格子戸を備えた堂々とした町屋が保存されています。吹屋ふるさと村までの主なアクセスは車ですが、広大な駐車場が用意されています。ぜひ車は駐車場において、徒歩での散策を楽しんでみてください。 ※ベンガラ…弁柄。酸化鉄の赤色のこと。赤色顔料・研磨剤として利用される。


吹屋(ふきや)ふるさと村は、江戸時代から明治にかけて、鉱山と特産品のベンガラ(※)の生産で栄えたエリア。ベンガラ色(暗い赤みを帯びた茶色)に統一された石州瓦と格子戸を備えた堂々とした町屋が保存されています。吹屋ふるさと村までの主なアクセスは車ですが、広大な駐車場が用意されています。ぜひ車は駐車場において、徒歩での散策を楽しんでみてください。

※ベンガラ…弁柄。酸化鉄の赤色のこと。赤色顔料・研磨剤として利用される。

画像提供:(一社)高梁市観光協会

 

オススメ散策ルート


A:吹屋(ふきや)ふるさと村郷土館<br /> ↓ 徒歩約17分 B:吉岡銅山 笹畝坑道 (よしおかどうざん ささうねこうどう) ↓ 徒歩約12分 C:ベンガラ館 ↓ 徒歩約16分 D:吹屋ふるさと村郷土館 ※移動時間約45分

吹屋ふるさと村は、郷土館を中心にした約300mの町並み。景観を楽しんでゆっくり散策したあとは、吹屋の町を語るうえで欠かせない銅山とベンガラ関連施設をまわります。

豪商たちが財を合わせて作った先進的な町並み

吹屋地区は、江戸時代中期ごろから鉱山町として栄えました。幕末から明治時代にかけては、銅山で大量に採掘される硫化鉄鉱石からベンガラ原料を生産することに成功。日本唯一のベンガラ産地として飛躍的な発展を遂げました。

吹屋の統一された景観は財を築いた旦那衆によるもの。旦那衆が石州(せきしゅう・今の島根県)から宮大工の棟梁たちを招き、統一したコンセプトのもと築かれた町並みです。
財力を示すために競い合って建てた町並みは全国各地で見ることができますが、吹屋のように協力のうえで成り立った町並みは珍しく、先進的な思想に驚かされます。

吹屋ふるさと村郷土館

画像提供:(一社)高梁市観光協会

 

明治12年に完成した、吹屋の代表的な家屋です。2階建ての妻入り入母屋造り(つまいりいりもやづくり)で、塗込造り(ぬりごめづくり)の壁やベンガラ格子からは熟練した宮大工の技がうかがえます。館内では当時の生活史料などを展示しています。

また、隣には「近世弁柄商家の典型」と高く評価されている旧片山家住宅があり、郷土館と合わせて見学が可能です。

■吹屋ふるさとむら郷土館 住所:岡山県高梁市成羽町吹屋838-2 入館料:大人400円 小人200円(郷土館・旧片山家住宅) 開館時間:9~17時(12~3月は10~16時) 閉館日:12月29日~12月31日

吉岡銅山 笹畝坑道(よしおかどうざん ささうねこうどう)

画像提供:(一社)高梁市観光協会

 

江戸時代から大正時代まで操業していた銅山を復元し、見学できるようにした遺構です。アップダウンの変化のある坑道は約320mあり、ヘルメットを装着しながら神秘的な雰囲気を楽しめます。一年を通して15℃前後と涼しいので、夏場でも上着のご用意を。

明治以降、三菱金属株式会社が経営し、自家発電・作業の機械化・日本初の洋式溶鉱炉によって、日本三大鉱山のひとつとなりました。
銅山の神様を祀っている山神社の玉垣(たまがき※)には三菱のマークが刻まれています。山神社は吹屋ふるさと村の端、小高い場所にあり、こちらの神社ももちろんベンガラ色。三菱マークを探しつつお参りしてみてもよいかもしれません。

※玉垣…神社・神域の周囲にめぐらされる垣のこと

■吉岡銅山 笹畝坑道 住所:岡山県高梁市成羽町吹屋1987 入館料:大人300円 小人150円 開館時間:9~17時(12~3月は10~16時) 休業日:12月29日~12月31日

ベンガラ館

画像提供:(一社)高梁市観光協会

 

こちらのベンガラ館は明治時代のベンガラ工場を当時の姿に復元した資料館です。
当時のベンガラの製造工程が見学できるほか、実際に使用されていた製造用器具が展示されています。

隣接の陶芸館ではベンガラ絵付けの九谷焼(くたにやき)、伊万里焼・京焼などを展示。退色のない鮮やかなベンガラ色をじっくり鑑賞できます。

■ベンガラ館 住所:岡山県高梁市成羽町吹屋86 入館料:大人200円 小人100円 開館時間:9~17時(12~3月は10~16時) 休館日:12月29日~12月31日

ベンガラをお持ち帰り

散策を楽しんだあとはお買い物! ベンガラで栄えた町の吹屋らしく、ベンガラ色の和紙やベンガラで染めたストールなど、美しい色を活かした品があります。おすすめのおみやげはちょっとユニークな「ベンガラカレー」です。

 

※写真は「赤(チキンカレー)」です。

 

「ベンガラカレー」はベンガラを色で表現したレトルトご当地カレーで、吹屋ふるさと村のアンティークカフェ「紅や」の名物商品。

赤パプリカを使用した「赤(チキンカレー)」とイカスミを使用した「黒(ビーフカレー)」の2種類です。

「紅や」は茅葺き屋根が目印の落ち着いたカフェ。店内では地元の茶葉を使用した珍しいご当地紅茶などがいただけます。散策の休憩にもおすすめです。

■吹屋の紅や 住所:岡山県高梁市成羽町吹屋159-3 営業時間:10::00~18:00 休業日:不定休

少しドライブすると、映画『八つ墓村』のロケ地となった広兼邸(ひろかねてい)や、『釣りバカ日誌18』で使用された西江邸もあります。映画好きの方はぜひ足を伸ばしてみてください!
吹屋ふるさと村は、静かでゆったりした時間が流れる観光地。人がごったがえす場所が苦手な方にもおすすめです。ベンガラ色に染まった不思議な町並みを、カメラ片手にのんびり堪能しましょう。

※掲載されている情報は平成28年5月現在のものです。