「ゲンゲ」は水深200~600m地帯にすむ深海魚。プルプルとした皮、淡泊な身が特徴です。「げんげのすまし汁」は、そんなゲンゲから出たお出汁(だし)がおいしいので、出汁いらずの椀物なのです。ゲンゲのおいしさを堪能できるよう、最小限の具材で供されます。
2016年05月26日
「ゲンゲ」は水深200~600m地帯にすむ深海魚で、主に富山や新潟、秋田で食べられます。プルプルとした皮、淡泊な身が特徴で、コラーゲンもたっぷり。「げんげのすまし汁」は、そんなゲンゲから出たお出汁(だし)がおいしいので、出汁いらずの椀物なのです。ゲンゲのおいしさを堪能できるよう、最小限の具材で供されます。
「ゲンゲ」は水深200~600m地帯にすむ深海魚。プルプルとした皮、淡泊な身が特徴です。「げんげのすまし汁」は、そんなゲンゲから出たお出汁(だし)がおいしいので、出汁いらずの椀物なのです。ゲンゲのおいしさを堪能できるよう、最小限の具材で供されます。
画像提供:「うまさ一番 富山のさかなキャンペーン」事務局
「ゲンゲ」とは、日本海、オホーツク海、関東以北の太平洋で捕れるスズキ目ゲンゲ科の深海魚の総称。げんげのすまし汁に用いられるのは「ノロゲンゲ」という魚種です。富山や新潟、秋田で主に食べられる魚で、体長は20cm程度、体全体がヌルヌルしたゼラチン質で覆われています。
ゲンゲは底曳き網で捕れますがゲンゲ専門の漁はしておらず、昔から他の魚の「ついで」に捕れた副産物の魚です。傷みやすく見た目がちょっとグロテスクなため、漁村の間では「下の下(げのげ)」と呼ばれ、これが転じて「ゲンゲ」の名前の由来になったとされています。捕れたゲンゲは廃棄されるか、自家消費されるかに限られていました。
ところが、昨今のグルメブームや流通・保冷技術の発達によって、淡泊な身の味やコラーゲンの豊富さが見直されてきています。料亭や割烹で供されるようになり、いまや「めったに出会えない魚」として「幻魚(ゲンゲ)」という当て字までされる通好みの魚に昇格。高い仕入れ値がつくようになりました。ゲンゲは、「下の下」から「上の上」へ、近年急激に出世した魚なのです。
かつては漁村で作られ、今は料亭や専門店で供されるげんげのすまし汁。具材はぶつ切りにしたゲンゲとネギ、味付けは甘口醤油のみというシンプルなレシピが王道です。骨も柔らかいので料理の手間が少なめ。また、ゲンゲのよい出汁が出るので、その他の出汁は不要です。身をほおばると、見た目以上にしっかりと乗った脂が口の中でとろけます。
あっさりした味わいは唐揚げにしても美味です。さくっとした衣に、ふんわりとろみのある身、クセのない味わいはいくらでも食べられそう。プルプルの食感が苦手でも、揚げたゲンゲは好物という方も多いようです。また、水分の多いゲンゲは干物にするととても身が細くなりますが、皮部分の旨味が強くなるため、ゲンゲの干物は日本酒のアテとして愛されています。
ゲンゲのぬるりとした皮やゼラチン質の部分に、コラーゲンが含まれていることが近年知られてきました。コラーゲンは人のタンパク質の約30パーセントを占めるほど重要なタンパク質のひとつです。
コラーゲンは肌や血管の弾力を保ち、関節炎の予防・改善、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防にも効果があるとされています。また、母乳にはコラーゲンが含まれるため、授乳中の女性はコラーゲンが不足しがち。授乳中の妊婦さんにもおすすめしたい食材です。
ゲンゲを昔から食べていた浜の人々の間では、「膝の痛みが和らぐ」「お乳の出がよくなる」「肌によい」といわれていたのだとか。当時はコラーゲンの効能など一般に知られていなかったのに、人の食の知恵にはおどろかされますね。
鮮度落ちが早いため、生のゲンゲはなかなか手に入らない貴重品ですが、最近は通販などで干物が手に入るようになりました。「下の下」から「幻魚(ゲンゲ)」となった出世魚、もし生のゲンゲに運良く出会ったら、ぜひすまし汁でチャレンジしたいですね。
画像提供:「うまさ一番 富山のさかなキャンペーン」事務局