小麦粉を練った団子と、たっぷりの野菜が入った法度(はっと)汁。そのお味は、美味しすぎて作るのがご法度になったほど!? 栃木県北部や茨城県北部、その近隣で広く食べられているおみそ汁です。
2016年01月18日
小麦粉を練った団子と、たっぷりの野菜が入った法度汁(はっとじる)。そのお味は、美味しすぎて作るのがご法度になったほど!? 栃木県北部や茨城県北部、その近隣で広く食べられているおみそ汁です。
小麦粉を練った団子と、たっぷりの野菜が入った法度(はっと)汁。そのお味は、美味しすぎて作るのがご法度になったほど!? 栃木県北部や茨城県北部、その近隣で広く食べられているおみそ汁です。
法度汁は小麦粉を練った団子と数種の野菜が入ったおみそ汁。栃木県北部や茨城県北部の郷土料理です。栃木県旧葛生(くずう)地区では「とっちゃなぎもち」と呼ばれています。そのほか、福島県や宮城県など、広い地域で食べられています。
「小麦粉を練った実入りの汁物」といえば、すいとんやほうとうが有名ですが、法度汁はこれらから派生しているとされています。法度汁の団子は練った小麦粉を「寝かせ」、「汁に入れる前に、熱湯で茹でる」のが特徴です。
(画像はほうとう)
法度汁のいわれは諸説ありますが、最も有名なのが徳川光圀(みつくに)公由来の説。水戸黄門でおなじみの徳川光圀公がこの地域を治めていたころは、質素倹約が奨励されていました。野菜をたっぷり使って、しかも団子まで入っている贅沢なこの汁を「美味しくて何度もおかわりをしてしまう」という理由からご法度(禁止)とされたということです。
このほか、米がとれず飢饉にみまわれた際に、隠し持っていた(上納するべき=持っていてはいけない=ご法度)小麦粉で作ったからという説。米の代用食として用いていた小麦料理であるのに、あまりの美味しさに米の生産をなまけるのではないかと危惧したお殿様が、小麦料理をご法度とした説。法度汁の起源と考えられている「ほうとう」がなまったとの説もあります。
ほうとう、すいとんなど団子を用いた汁物はバリエーション豊富。ここで一部をご紹介しましょう。
上であげた「じょじょきり」のように、小麦粉で作るもっちりした団子は甘く煮た小豆にも合います。ほうとうには小豆ぼうとう、または粉ぼうとうと呼ばれる甘味があり、これも甘くした小豆汁に入れていただきます。
(画像はじょじょきり)
肉・魚介・野菜などを細かく刻んだ餡(あん)を、うすい皮で包んだワンタン。ワンタンは広東(かんとん)語ですが、標準的な中国語では「餛飩」と書き、「ふんとぅん」「うんどん」「ほえとえ」などと発音します。
日本に伝来したときに上記の発音がなまって、「うどん」や「ほうとう」になったのでは? とされています。であれば、ほうとう・すいとんのバリエーションである法度汁もワンタンがルーツといってもよいかもしれません。
法度汁は小麦粉の団子をおみそ汁に入れる以外、特に決まった作り方はありません。冷蔵庫の余り野菜をたっぷり入れて作れば、冷蔵庫の余り野菜を使って作れば節約料理にもなりますね。小麦粉の団子は腹持ちがよく、栄養も満腹感も両方得られる優秀なおみそ汁です。小麦粉を練るときに少し白玉粉をまぜると、よりもっちりとした食感が楽しめます。ぜひ試してみてください。
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