2016年01月14日

郷土料理|「ヘチマとそうめんのおみそ汁」(鹿児島)

おみそ汁にヘチマとそうめんの組み合わせ。意外? と思いきや、実は鹿児島では夏のおみそ汁として、へちまとそうめんのおみそ汁はとても一般的な食べ方なのです。夏野菜のヘチマと、食欲のない時にもつるりと食べられるそうめんは、おみそ汁との相性もぴったりです。


 

おみそ汁にヘチマとそうめんの組み合わせ。意外? と思いきや、実は鹿児島では夏のおみそ汁として、とても一般的な食べ方なのです。夏野菜のヘチマと、食欲のない時にもつるりと食べられるそうめんは、おみそ汁との相性もぴったりです。

ヘチマは鹿児島・沖縄の夏野菜

ヘチマは古くは江戸時代から食べられてきた野菜で、旬は7月から9月。鹿児島や沖縄ではごく一般的な野菜として、夏になると食卓にあがります。沖縄では「ナーベラー」と呼ばれ、多くの沖縄料理に使用されています。

大きく成長すると繊維が硬くなり食べられないので、食用には20cm未満の若いヘチマを使います。上記以外の地域ではあまり食用というイメージがないヘチマですが、ふんわりとした甘みがあるおいしい夏野菜です。

ヘチマはカリウムなどのミネラルを豊富に含んでおり、利尿作用があります。咳や痰をとめる民間薬として、薬膳料理の食材にも古くから使用されていました。中国では美容効果も期待できるとして人気の食材です。火を通すととろりとしたゼリーのような食感になるので、夏バテ気味で食欲のない日にもおすすめですよ。

おみそ汁にそうめんを入れる?

 

関西から西の地方では、夏になるとそうめん入りのおみそ汁がよく登場します。あたたかいだし汁にそうめんを入れる「にゅうめん」も奈良県が発祥といわれているので、みそ汁にそうめんを入れるのは西の食文化のようです。

夏は熱い食べ物を身体が受けつけないときがありますが、冷たいものばかりでは胃によくありません。冷房のきいた部屋で身体が冷えてしまったときには、つるりといただける温かいそうめん入りのおみそ汁で、身体を温めてみてくださいね。

もっと食べたい! ヘチマ料理

本記事でヘチマとそうめんのおみそ汁を紹介しているように、ヘチマはお味噌との相性が抜群。ヘチマの青臭さを味噌が抑え、味噌に含まれるビタミンBとヘチマのミネラルは疲労回復に効果があるといわれています。暑くなるこれからの季節にぴったりの組み合わせなのです。

茹でたヘチマを酢味噌でいただく「ヘチマの酢味噌かけ」、豚肉と一緒に炒めて、味噌をいれた濃いめの調味料で味付けする「ヘチマの味噌炒め」、豆腐や卵と一緒に炒めて「ヘチマチャンプルー」など、バリエーション豊かなメニューが楽しめます。

炒めもの、煮物とさまざまな食べ方がありますので、もしスーパーなどで見かけたら夏バテ対策の料理としてぜひチャレンジしてみてくださいね。

ヘチマは優秀なエコ素材

 

昔はお風呂で身体を洗ったり、台所用品として使われていたヘチマたわし。最近は見かけることが少なくなりましたが、大型雑貨店などではかわいらしい形のヘチマたわしが販売されています。根強いファンがいるようですね。

ヘチマたわしは水分を吸うととても柔らかくなり、身体を洗うと繊維が適度な刺激を与えてくれます。使い込んでへたってしまったら、小さく切ってお掃除用のたわしに。食器洗いや浴槽のスポンジとして活用できます。燃やしても有毒なガスは発生しません。

また、ヘチマは丈夫で成長が早いつる性の植物なので、日除けと遮光性の良さから流行した「緑のカーテン」にも用いられています。ヘチマは食べてよし、使ってよし、環境にも優しい万能植物なのです。

夏といえばそうめん。お歳暮でたくさんいただく方もいらっしゃるのでは? いつものそうめんに飽きてしまったら、おみそ汁に入れると目先が変わって違ったおいしさを楽しめますよ。若いヘチマが手に入ったら、鹿児島の夏のおみそ汁をぜひ試してみてくださいね。