京都と滋賀にまたがる霊峰・比叡山。この山に位置する比叡山延暦寺は、高野山金剛峰寺と並び、日本仏教界の頂点に君臨する名刹です。戦国時代に織田信長の焼き討ちに遭うなど、激動の時代を歩み続けてきた寺について、今回はその歴史とお膝元の門前町についてご紹介します。
2018年09月27日
京都と滋賀にまたがる霊峰・比叡山。この山に位置する比叡山延暦寺は、高野山金剛峰寺と並び、日本仏教界の頂点に君臨する名刹です。「写経体験」「坐禅体験」の2つの僧侶の修行も、手ぶらで気軽に体験できます。戦国時代に織田信長の焼き討ちに遭うなど、激動の時代を歩み続けてきた寺について、今回はその歴史とお膝元の門前町についてご紹介します。
京都と滋賀にまたがる霊峰・比叡山。この山に位置する比叡山延暦寺は、高野山金剛峰寺と並び、日本仏教界の頂点に君臨する名刹です。戦国時代に織田信長の焼き討ちに遭うなど、激動の時代を歩み続けてきた寺について、今回はその歴史とお膝元の門前町についてご紹介します。
788年創建の比叡山延暦寺は、名僧・最澄が弱冠19歳で開いた天台宗の総本山です。比叡山山中にありますが、ひとつのお堂に集中しているのではなく山全体が寺域であり、僧侶たちの修行の場にもなっています。
境内は、延暦寺発祥の地「東塔(とうどう)」、第2世天台座主・円澄が開いた「西塔(さいとう)」、第3世天台座主・円仁が開いた「横川(よかわ)」の地域に大きく分かれ、それぞれにお堂や塔が点在。ほか、この寺に伝えられてきた仏像や仏画を納めた「国宝殿」もあります。
境内が広くどのスポットを見ればよいか迷ってしまう方には、これからご紹介する3つのスポットをおすすめします。
僧侶が天台宗を勉強するための道場。お堂にはご本尊として大日如来が安置されているほか、日蓮や栄西、法然、親鸞など天台宗ゆかりの高僧の肖像が飾られています。
比叡山延暦寺では、僧侶の修行を気軽に体験できます。メニューは「写経体験」「坐禅体験」の2つ。写経体験、坐禅体験ともに手ぶらでOK。坐禅体験は午前11:00~と午後14:30~に1度ずつ開催しています。
凜とした空気の中で、自分を見つめ直すきっかけにしてはいかがでしょうか。
東塔エリアで中心となるお堂。最澄が創建した「一条止観院(いちじょうしかんいん)」が前身となった、比叡山延暦寺の総本堂でもあります。
現代に至るまで何度も災害に遭いましたが、その度に復興、現在の姿は徳川家光公の命によって建てられました。
ご本尊の薬師如来の前には、創建以来灯り続けている「不滅の法灯」が安置されています。
2026年(平成38年)まで大改修中ですが、参拝は可能です。2018年8月に新しく設けられた「修学ステージ」では、修復の様子を間近に見ることができるとあって、人気を博しています。
坂本は門前町。比叡山延暦寺の鎮守社だった日吉大社や、明智光秀ゆかりの西教寺歴代の天台座主の住まい“本坊(ほんぼう)”の「滋賀院門跡(しがいんもんぜき)」など、史跡が町のあちこちに残り、情緒的な観光スポットとして人気を集めています。
この歴史的な景観が重要視され、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。
坂本の町並みを象徴づける建物が「里坊(さとぼう)」と呼ばれる庭園つきの寺。かつて比叡山で厳しい修行に明け暮れた老僧が、里坊で余生をおくっていました。
近世の時代、一時期は80もの里坊があったことからも、比叡山延暦寺と坂本に密接なつながりがあったことがわかります。
坂本の町並みを印象づけるものをもうひとつ。
町を歩いていると、目をひくのが里坊の石垣の美しさ。これは坂本の隣町「穴太(あのう)」を発祥とする石積みの技術「穴太衆積み(あのうしゅうづみ)」によって造られました。
この技術を継承しているのが、技術者集団「穴太衆(あのうしゅう)」。堅牢さと美しさを兼ね備えた技術は、織田信長に認められて以降、現在に至るまで高い評価を得ています。
厳格な規律と教えを守り、後世に伝える名刹・比叡山延暦寺と、その門前町・坂本の歴史ある物語は、訪れる人の心に深く語りかけてきます。次の旅は、比叡山や坂本のある滋賀県を訪れてみませんか。
※掲載されている情報は平成30年8月現在のものです。