2016年04月07日

郷土料理|太平燕<タイピーエン>(熊本県) 福建省生まれ、熊本育ちの春雨ラーメン

太平燕(タイピーエン)とは、たっぷりの野菜と魚介類が入ったスープに、春雨が入った郷土料理。近年のヘルシーブームから知名度が高まって、観光客にも知られてきた一品です。熊本では大変ポピュラーで、ほとんどの中華料理店で供され、学校給食にも登場します。


太平燕(タイピーエン)とは、たっぷりの野菜と魚介類が入ったスープに、春雨が入った郷土料理。近年のヘルシーブームから知名度が高まって、観光客にも知られてきた一品です。熊本では大変ポピュラーで、ほとんどの中華料理店で供され、学校給食にも登場します。

 

野菜たっぷり、カロリー低めのヘルシーメニュー

太平燕は、麺の代わりに春雨が入った野菜たっぷりラーメンのようなメニュー。熊本市を中心に、九州地方のほとんどの中華料理店で食べられており、関東でも東京や神奈川あたりには提供している店があるようです。スープはあっさりした鶏ガラや、熊本らしい豚骨、鶏ガラと豚骨をブレンドしたものなどさまざま。具材はキャベツや白菜、にんじん、もやし、かまぼこ、さらにエビやイカ、豚肉などが入ります。春雨はコシがあって伸びにくい緑豆春雨(りょくとうはるさめ)を使用するお店が多いようです。お店によって異なる太平燕があり、それぞれのこだわりを感じることができます。また、太平燕に欠かせないのがゆで卵を揚げた虎皮蛋(フーヒータン)。ラーメンのトッピングとしてゆで卵や煮玉子は一般的ですが、揚げたゆで卵とは珍しいですね。

具材のうまみが溶け出したスープ、歯ごたえの違うさまざまな野菜、春雨のつるりとした食感が渾然一体となった太平燕は、熊本のソウルフードとも称されます。多品目の食材を一度に食べられ、しかも低カロリーな春雨を使っているため、ダイエット中の方や女性にうれしい一品です。

太平燕のルーツ、中国の太平燕とは?

太平燕のルーツとされているのが、中国福建省の郷土料理「太平燕(タイピンイェン)」。漢字は全く同じですが、こちらはスープにワンタンを浮かべた料理です。豚肉をたたいてさつまいものデンプンと練り込んだ扁肉燕(福州語でビェンニュッイェン、ワンタンの一種)と、アヒルのゆで卵が入っています。中国ではハレの日の宴席料理として供される、縁起のよいメニューです。

熊本オリジナルの太平燕は、明治のころに華僑から日本に伝わったとされています。九州に渡った華僑の人々が中華料理店を営み、まかない料理として太平燕を作る際、日本で入手困難なアヒルの卵が鶏卵に、扁肉燕が春雨に変化したようです。九州にはちゃんぽんや皿うどんなどの中華料理が元となった郷土料理がありますが、太平燕も同様に九州各地で食べられていました。伝来したころの熊本県内には中華料理店があまりなく、そのお店のほとんどが太平燕を出していたため、今でも熊本に残っているのだと考えられています。

発熱時やむくみ対策に効果あり! ダイエットだけじゃない春雨の栄養素とは?

春雨は温かいスープに入れてもよし、冷やして中華風のサラダにしてもよしと、使い勝手のよい食材です。ダイエットに役立てる方も多いですが、栄養面はどうなのでしょうか?

春雨はでんぷんから作られているため、主な栄養素は炭水化物(糖質)と、ミネラル類(マグネシウム、カルシウム、カリウムなど)です。春雨のカロリーは10gあたり35kcal程度と、さほど低カロリーではないのですが、水分を含むと4倍程度に膨らんで少量でも満腹感が得られます。春雨には熱を体外に逃がす働きがあるので、発熱時にも効果的な食材です。

日本で流通している春雨は、「でんぷん春雨」「韓国春雨」「緑豆春雨」の3種類。太平燕に使われるのは「緑豆春雨」が多く、熱に溶けにくいという特長があります。緑豆は中国では利尿作用のある漢方として活用されていて、緑豆春雨にはむくみを改善する効果が期待できます。

他県ではなかなか味わえない太平燕、熊本旅行の際にはぜひ試したいところ。お店によって具材やスープにこだわりがあるので、食べ比べも楽しそうですね。お昼はあっさりヘルシーな太平燕、夜は馬刺しや焼酎を満喫するグルメプランはいかがでしょうか?

※掲載されている情報は、平成28年3月現在のものです。