2018年07月12日

世界遺産|白神山地(青森県・秋田県) 広さは世界規模!手付かずの森が広がるユネスコ世界遺産

青森県南西部と秋田県北西部にまたがる白神山地は、標高1,000メートルクラスの山岳地帯です。人の手がほとんど加えられていない原生的なブナ天然林が広がり、その広さは東アジア最大級の規模を誇ります。また、ユネスコ世界遺産にも登録されています。多種多様な動植物が生息・自生する生態系は、いまだ解明されていないな点も少なくありません。


青森県南西部と秋田県北西部にまたがる白神山地は、標高1,000メートルクラスの山岳地帯です。人の手がほとんど加えられていない原生的なブナ天然林が広がり、その広さは東アジア最大級の規模を誇ります。多種多様な動植物が生息・自生する生態系は、いまだ解明されていないな点も少なくありません。

 

8千年のブナの森

 

白神山地は約13万ヘクタールに及ぶ世界最大級の山岳地帯の総称です。日本におけるブナ林のほとんどは、人間活動の悠久の歴史のなかで伐採され続けられました。しかし白神山地のブナの森は、原生的な自然環境で残っています。「かつて広く覆っていた冷温帯のブナ林最後の遺存地」という「普遍性」を価値としていることを理由に、1993年に屋久島とならんで日本で初めてのユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録されました。

動植物は、今分かっているだけでも植物540種類以上、昆虫類2,000種以上、鳥類は80種類、哺乳類はツキノワグマやニホンザル、国の特別天然記念物のニホンカモシカ、天然記念物のクマゲラ、絶滅危惧種でもあるイヌワシなど、実に多くの種類が生息しています。白神山地のブナの森ができたのは8千年前といわれています。8千年前といえば縄文時代。はるか昔から変わることなく存在していたブナの森で、動植物たちが営みを繰り返してきた……想像すると胸が高まります。

天然記念物のクマゲラ

 

白神山地へ向かうルートには例年11月下旬ぐらいから5月下旬まで冬季閉鎖されるところがあり、散策・トレッキングルートにも冬季閉鎖するルートがあります。お出かけになる際には、必ず公式ホームページを確認し、道路および散策ルートが開通しているかご確認ください。

一度は見たい! 自然の神秘を感じる「青池」

世界遺産地域は中央部の核心地域と周辺の緩衝地域に区分されていて、青森県側の既存の歩道と27の指定ルートを利用した登山で入山が可能です(秋田県側の核心地域は、原則入山禁止)。指定ルートに入る場合には事前に入山手続きが必要ですが、十二湖散策コースなどの気軽に訪れられる一部の場所については、届け出不要です。十二湖散策コースの地図は、白神山地ビジターセンター、または白神山地ビジターセンターの公式ホームページに掲載されていますので、お出かけ前にぜひチェックしておきましょう。

十二湖散策コースは、絶景として知られる青池のほか、青池に劣らない透明度の沸壺の池、ブナ自然林、点在する巨木などを観賞するコースです。ちなみに十二湖はこの辺り4キロ平方メートルに渡って点在する33の湖沼群の総称です。

十二湖の代名詞ともいわれる青池は、青いインクを入れたかのような鮮やかな青色をしています。透明度の高い青池をのぞくと、水中には朽ちたブナの原生林が横たわっていて、静かで深みのあるその光景はまさに自然の神秘といえます。

 

野鳥の声を聞きながらブナの自然林を進んでいくと、青池より少し小さい沸壷の池に到着します。青池に匹敵するほどの透明度を誇る青池の湧水は「青森県の名水」「平成の名水100選」に選定されていて、ルートの先にある「十二湖庵」では沸壷の池の湧水を使用したお抹茶がいただけます。

 
 
 

ブナの原生林からの木漏れ日、鳥たちのさえずり、足音に生い茂る植物たち。白神山地の手付かずの自然は、訪れる私たちに素晴らしい景観を見せてくれます。この規模でブナの原生林が広がる場所は、世界でも類を見ません。決められたルートを通る、植物を採らないといったマナーを守り、白神山地が育むいのちの息吹を体感してください。

※掲載されている情報は平成30年5月現在のものです。