2018年04月30日

世界遺産|嚴島神社(広島県) 信仰と知恵、斬新なアイデアが詰まった日本の宝

宮城の松島、京都の天橋立と並んで「日本三景」として知られ、世界遺産にも登録されている「嚴島神社」。また、嚴島神社は6棟が国宝、11棟3基が重要文化財で、建物をつなぐ約300メートルの回廊も国宝です。嚴島神社を造営した平清盛をはじめ、足利尊氏や毛利元就、豊臣秀吉などの武将たちに厚く信仰されていました。瀬戸内海に大鳥居や社殿が浮かんで見える満潮時はまさに絶景。徒歩圏内で散策を満喫できる嚴島神社をご紹介します。


 

宮城の松島、京都の天橋立と並んで「日本三景」として知られている嚴島神社。嚴島神社を造営した平清盛をはじめ、足利尊氏や毛利元就、豊臣秀吉などの武将たちに厚く信仰されていました。瀬戸内海に大鳥居や社殿が浮かんで見える満潮時はまさに絶景。徒歩圏内で散策を満喫できる嚴島神社をご紹介します。

海を敷地とした世界遺産 嚴島神社

 

嚴島神社は「創造的な才能が生んだ傑作」などの4つの基準を満たしているとして、1996年に世界遺産に登録されました。背後には原始林の残る弥山(みせん)があり、登録区域はこの山も含めて島の約14%にあたります。大鳥居と社殿が海に建てられたそのわけは、原始宗教のなごり。島全体が神の島と崇められていて、陸では畏れ多いと潮の満ち引きする場所に建てられたのだそうです。

すべての柱は地中に埋め込まれておらず、建物の重みだけで立っています。このような社殿は厳島神社のほかに日本では存在しません。満潮時・干潮時で厳島神社の景色は驚くほど変化します。干満は約6時間ごとですので、宮島観光協会のホームページなどでチェックして、ぜひ両方の景色を見てみましょう。

知らないともったいない! 厳島神社の見どころ

嚴島神社は6棟が国宝、11棟3基が重要文化財で、建物をつなぐ約300メートルの回廊も国宝です。建物の多くが貴重な文化財ですが、なんとなく歩くとあっという間。しかも一方通行なので後戻りできません。ぜひ事前に見どころや歴史を調べて、嚴島神社を余すことなく楽しんでください。

<まず注目すべきは「床板」!>

 

まず、私たちが歩くことになる床板を注目。よく見るとすき間があるのが分かります。これは「目透かし(めすかし)」といい、台風などの高潮の際に、このすき間が海水を通し倒壊を防ぐ役目を果たします。そして、床板は1間(柱と柱の間)に8枚、長さは8尺、全長は108間と縁起の良い末広がりが盛り込んであるのです。ちなみに、この床板には釘が一切使われていません!

<入り口すぐの客神社は御本社の次に重要な摂社>

 

最初のお参りは客(まろうど)神社。御本社と同様に、本殿・幣殿・拝殿・祓殿からなり、嚴島神社の祭典は、この客神社から始まる重要な摂社です。入り口を入ってすぐの場所にあるので、うっかり通り過ぎないようにご注意を。縁結びなら大国主命※が御祭神の大国(だいこく)神社、学問なら菅原道真公がご祭神の天神(てんじん)社もお参りしましょう。

※大国主命(おおくにぬしみこと)…七福神の「大黒さん」の名で親しまれ、出雲大社の御祭神でもある。

<タイミングを合わせて見たい3つの池>

 

回廊の南側には「鏡の池」と呼ばれるまん丸の池が3つあります。これは1400年以上前の創建時に一夜で現れたと伝えられ、当時の人々は神が造営を認めてくれた証だと喜びあいました。潮が引いていないときには水が満ちているので分かりませんが、側の立て札がその存在を教えてくれます。

厳島神社のシンボル、大鳥居に大注目

 

嚴島神社といえば海の中にすっくと立つ朱塗りの大鳥居。鳥居ひとつでも嚴島神社の大鳥居は見どころが満載です。2本の主柱はクスノキで、重くて腐りにくく、虫に強いことから選ばれました。樹齢はなんと約500年で、沖に向かって右が宮崎県、左が香川県からはるばる運んできたものです。主柱を支える4つの袖柱はスギの自然木を使っています。

鳥居の一番上に渡してある笠木(かさぎ)とその下の島木(しまぎ)は箱状になっていて、中にはこぶし大の石が5トン敷き詰められています。さらに柱の基礎には50センチほどの松の杭がそれぞれ約30~100本打ち込まれています。そしてなんと鳥居の根本は埋め込まれておらず、自重のみで立っているのです!

 
 

棟の西側には三日月、東側には太陽の印があり、陰陽道の影響が見られます。扁額※は、沖側に「嚴嶋神社」、御本社側には「伊都岐島神社(いつきしまじんじゃ)」と書かれていて、「伊都岐島神社」は平安時代の文献にも残る昔の表記です。

※扁額(へんがく)…寺社や鳥居、門などの高い位置に掲出される額

2つの世界遺産を結ぶ定期航路も

 

嚴島神社へはJR宮島口駅からフェリーで渡るのが一般的ですが、もうひとつ観光にぴったりの航路もあります。1日17便の世界遺産航路は、原爆ドームと厳島神社のある宮島の2つの世界遺産を結ぶ直行便。広島の街や瀬戸内海の景色を眺めながら、市内から宮島へ約45分で直行します。乗船には事前に予約がおすすめ。前日の19:00まで予約を受け付けています。

ひろしま世界遺産航路(平和記念公園←→宮島)
予約電話番号:082-240-5955(アクアネット広島)
受付時間:8:00~19:00
料金:往復 大人3,600円 小人1,800円 / 片道 大人2,000円 小人1,000円
※潮位の影響で欠航する場合があります。乗船日を入力して、当日の運航予定をご確認ください

嚴島神社はその絶景もさることながら、人々の厚い信仰、寺社造営の工夫やアイデアが細部現れている奥深い場所。こちらで紹介できた見どころはその一部です。ぜひ出発の前には嚴島神社や宮島についてしっかり予習を! 旅をとことん楽しんでくださいね。

※掲載されている情報は平成30年3月現在のものです。
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