2017年11月13日

健康メニュー|ラム肉・マトン肉で冬の体を温める 食べ応え抜群でも意外にヘルシー

代表的な羊肉料理のひとつ、ジンギスカン。日本では北海道をはじめ、寒さの厳しい地方の名物として知られています。それというのも、羊肉は体を温める栄養素が豊富に含まれている、冬にうれしい食材だからなのです。 しかも、食べ応え抜群でも意外にヘルシーなのがうれしいですね。 今回は、ラム肉・マトン肉などの羊肉の栄養を、体を温める働きを中心にご紹介します。


 

代表的な羊肉料理のひとつ、ジンギスカン。日本では北海道をはじめ、寒さの厳しい地方の名物として知られています。それというのも、羊肉は体を温める栄養素が豊富に含まれている、冬にうれしい食材だからなのです。
今回は、ラム肉・マトン肉などの羊肉の栄養を、体を温める働きを中心にご紹介します。

羊肉は世界中で食べられている

羊肉の厳密な分類には諸説ありますが、大まかには子羊の肉を「ラム」、成長した羊の肉を「マトン」と呼ぶのが一般的です。牧羊で知られるオーストラリアやニュージーランドに加えて、近年は中国やアフリカなどでの生産量も増えていますし、フランス料理でもラムは高級食材のひとつ。豚肉のように、宗教的に食用が禁じられることもないので、中東などでも幅広く食べられています。
日本の食卓でなじみの深い肉といえば、牛肉、豚肉、鶏肉などですが、実は羊肉の輸入の歴史も意外と古く、明治時代にははじまっていました。ところが、最初期の輸入羊肉は質が優れず、独特の臭みが強かったために、なかなか定着しなかったといわれています。
ただ、最初こそ敬遠された羊肉ですが、品質の改善などによって最近では肉質も日本人に合うものが市場に登場し、今や羊肉は、牛肉、豚肉、鶏肉に次ぐ“第4の肉”として注目されているのです。

代謝を促し、脂肪燃焼を助ける「L-カルニチン」

 

羊肉が体を温めるといわれる最大の理由は、羊肉に含まれている「L-カルニチン」にあります。
L-カルニチンは、必須アミノ酸のリジン、メチオニンなどによって体内で作られるアミノ酸の一種で、体内の新陳代謝を促して冷えを防いでくれる働きがあります。また、体内の脂肪をエネルギーに変えて燃焼させるのを助けるので、メタボリックシンドロームの解消を期待できる成分としても注目されているのです。
ところが、L-カルニチンが体内で作られる量は、20代後半頃から減り始めるといわれています。そこで、L-カルニチンを含む肉類、中でも牛肉や豚肉以上に豊富に含まれている羊肉を食べて、L-カルニチンを補う方法がおすすめというわけです。ちなみにL-カルニチンの含有量は、一般的にラムよりもマトンの方が多いとされています。

ビタミンB群、鉄分、亜鉛なども豊富

羊肉は、血液の循環をよくすることでも体を温めるのに一役買ってくれます。血液を作るサポートをするビタミンB12、血液が体に行きわたるのを助ける鉄分など、貧血を防ぐ栄養素に富んでいるのです。
他にも、糖質の代謝を促し、心臓の機能を正常に保つビタミンB1、味覚や嗅覚を正常に保ち、風邪予防にも重要な亜鉛など、健康のためにうれしい成分がいくつも含まれています。良質なたんぱく質を含む一方で、比較的コレステロール値が低いことも見逃せません。

臭みを取るには脂を落とし、温かいうちに食べよう

羊肉といえば、タレにつけ込んだり、ハーブをたっぷり添えたりして、独特の臭みを抑える調理法を連想する人も多いのではないでしょうか。
実は、羊肉独特の臭みの原因となる成分は、脂の部分に含まれています。そこで、調理の際にあらかじめ脂を除いたり、網焼きなど脂の落ちやすい方法で火を通すことで、臭みを抑えることができるのです。また、羊肉の脂は融点が高いため、冷えるとすぐ固まって臭みが増し、食感も落ちてしまいます。温かいうちに食べるのがおすすめです。

いかがでしたでしょうか。東洋医学の考え方を基にした「薬膳」でも、羊肉は内臓から体を温める「陽」の食材。胃腸や手足の冷えを防ぎ、冷えからくる腹痛や足腰の痛みを和らげるとされていることから、中国では冬に羊肉の鍋料理を食べるのが習慣となっています。
この冬は、ジンギスカンやラム肉のロースト、煮込み料理などで、内側からじっくり体を温めてみてはいかがでしょうか。