中国・四川料理の伝統的なメニューのひとつである麻婆豆腐。日本の食卓でも馴染みが深く、ピリッとした辛さとうま味でご飯もすすみます。今回は、どんな中華料理店にも必ずといっていいほどある、定番の一品である麻婆豆腐の語源や本場のおいしさの秘密についてご紹介します。
2023年10月20日
中国・四川料理の伝統的なメニューのひとつである麻婆豆腐。日本の食卓でも馴染みが深く、ピリッとした辛さとうま味でご飯もすすみます。今回は、どんな中華料理店にも必ずといっていいほどある、定番の一品である麻婆豆腐の語源や本場のおいしさの秘密についてご紹介します。
中国・四川料理の伝統的なメニューのひとつである麻婆豆腐。日本の食卓でも馴染みが深く、ピリッとした辛さとうま味でご飯もすすみます。今回は、どんな中華料理店にも必ずといっていいほどある、定番の一品である麻婆豆腐の語源や本場のおいしさの秘密についてご紹介します。
麻婆豆腐は、なぜ“麻婆”なのでしょうか。料理名の由来は諸説ありますが、“麻”は天然痘が治った後にくぼみのような傷跡として残る「アバタ(痘痕)」のことを指します。“婆”は、妻やおばあさんのことをいいます。
実は、麻婆豆腐はある女性が夫を亡くして未亡人となった後、生活の糧として考案した料理だったといいます。当初は豆腐と羊肉で作っていたため「羊肉料理」としていましたが、その女性が亡くなった後には、「アバタ」という意味の「麻」とおばあさんの「婆」を合わせ、「麻婆豆腐」と呼ばれるようになったそうです。
ただし、本場の中国では、この名前を好まない人が多いため、“麻辣(マーラー)豆腐”と言い換えるのが一般的です。言葉の意味としては、“麻”は山椒の味のこと、“辣”は「辣油(ラー油)」とあるように唐辛子のことを表します。
日本の麻婆豆腐は、ピリ辛の奥にほのかな甘さが感じられる、日本風にアレンジした料理です。日本では仕上げにつける「あんかけ」のようなとろみも、中国ではほとんどつけないといいます。
本場・中国の麻婆豆腐は、口から火を吹きそうなほど辛いのが特徴。山椒の仲間である花椒(ホアジャオ)を調理の仕上げにたっぷりと効かせた中国の麻婆豆腐は、口にするとビリビリとしびれる強い刺激とさわやかな香りが広がります。食べやすく作った日本の麻婆豆腐とは、まったく異なる料理として堪能できます。
“麻”は山椒のしびれる辛さ、“辣”は唐辛子のヒリヒリする辛さを表すことから、中国では「麻辣(マーラー)豆腐」と呼ぶほうがしっくりくるのも頷けます。
気になる花椒の刺激や健康効果については、こちらで詳しくご紹介しています。
日本で広く親しまれている中華料理は、日本人の味覚に合わせて食べやすくアレンジされたものなので、中国には存在しないといわれています。
例えば、餃子は中国では水餃子がメインで、麺類のような主食として扱われています。担々麺も、中国では汁なしが主流ですので、同じ料理名でも想像とは違うメニューが出てくるはずです。また、エビチリや天津丼、中華丼など辛みの少ない料理も日本で生みだされた中華メニューですので、中国の四川料理には含まれていません。
日本で本場・中国の味を求めるなら、看板に中国料理と掲げているお店を選ぶと、本格的な味に近いものに出会えるでしょう。
「麻婆豆腐」といっても、日本で親しまれている中華料理、中国発祥の四川料理では、味わいはさまざまです。本場ならではのスパイスにこだわり、自分の好みの味を追求してみるのはいかがですか。「麻婆豆腐」の奥深さやおいしさを改めて実感できるはずです。