2016年09月15日

語源・由来|漢字の成り立ち「鳥」「健」

日常的に使っている漢字ですが、どのような経緯で今の形になったのでしょうか? 今回は、「鳥」にまつわる漢字の由来と、「健」 という文字に込められた3つの意味についてお届けします。


日常的に使っている漢字ですが、どのような経緯で今の形になったのでしょうか?
今回は、「漢字の成り立ち」についてお届けします。

「鳥」にまつわる漢字

 

鳥類を総称する「鳥」という漢字は、尾が細長く垂れている鳥の姿を描いたといわれる象形文字です。
鳥類の名前には、鳥との組み合わせでできた漢字が多く存在していますが、なかにはとてもユニークな由来を持つ漢字もあります。
例えば「鳩」は、鳥偏に漢数字の「九」が付いています。なぜ鳩に「九」の文字が当てられたかには諸説ありますが、そのなかに、鳩の特徴的な鳴き声「クルックー」を「九(キュウ)」の読み方に当てたという説があります。「九」は日本語だけではなく、中国語でも「キュウ」や「ク」と読み、英語で鳩の鳴き声を表現する「coo(クー)」にも近い音でもあります。鳴き声から漢字ができたという面白い例です。

また、鳥に「弟」という字を組み合わせると、鵜(う)になります。鵜は魚を噛まずに飲み込む習性があるため、川に潜って川底で鮎を捕まえるという昔からの漁法「鵜飼」で使われている鳥。そんな「鵜」という漢字の由来も諸説あります。
例えば、底(テイ)に通じた鳥であることを、同じ読み方を持つ漢字「弟」と組み合わせてできた漢字であるという説や、背が低く足が短い「低い」鳥であることから、低(テイ)が「弟」に置き換えられたという説が伝えられています。

「鳥」が使われている漢字ではありませんが、「烏(カラス)」という漢字は「鳥(とり)」とよく似ていると思いませんか?
パッと見ただけでは区別がつきにくい漢字としても知られているこの「烏(カラス)」の成り立ちには、カラスの容貌が関係しているといわれています。
「鳥」の上部にある横棒は、鳥の目を表しています。ですがカラスは真っ黒な姿をしていて、よく見なければ目の位置が判別できません。その様子を、目を表す横棒を取って表現し、「烏(カラス)」という漢字ができたという説があります。

「健」 文字に込められた3つの意味

「健康」という単語でよく使われるこの漢字は、心身ともに元気で丈夫である、しっかりした状態であるという意味で用いられます。
「健」には、人間の行動や動作にかかわる漢字に使われる部首「にんべん」が使われています。そしてこの漢字の右側、「つくり」の部分は、「廴」と「聿」からできています。この字の「つくり」の由来には諸説ありますが、「廴」は歩く、または足を投げ出してくつろいでいる人の姿を表しているといわれています。そして「聿」は筆を持った様子、背筋をピンと立てた様子を表し、さらに「筆」という漢字の元となっているのだとか。これら3つの意味を合わせ、背筋がピンと立っている、健やかな人の様子を表した漢字というのが「健」という漢字の由来とされています。

「健」からにんべんを取ると、「建」になります。「建設」や「建築」という単語に使われていることからもわかるように、「建」はまっすぐに建てるという意味を持つ漢字。この字の場合、筆を意味する「聿」には筆を立てて設計図を書くという意味や、都の建設地を占う際に筆を立てたと伝えられていることが由来となっているそうです。

いかがでしたか?漢字の成り立ちを知ると、漢字の正しい意味も覚えやすいですね。
「偏」や「つくり」の意味を知ることで、漢字に秘められた奥深さに触れていきましょう。