2016年07月14日

語源・由来|岐阜と日光 地名の由来

普段慣れ親しんでいる地名でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか。語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、「岐阜県」と「栃木県日光」の、地名の由来をお届けします。


普段慣れ親しんでいる地名でも、どうやってできたのだろう、と思う表現はありませんか。語源をたどってみると、ユニークな由来がある言葉は多いのです。今回は、そんな地名の由来を二つお届けします。

岐阜県

 

岐阜県は中部地方に位置する県です。さて、「岐阜」の由来は次のうちどれでしょう。

1:二手に分かれた道の先にある豊かな土地だったから
2:織田信長が縁起のよい中国の地名から選んだ
3:岐阜城の元となった城が、鎌倉時代には小高い丘の上にあったから

岐阜の「岐」は「岐路」や「分岐点」のように使われ、「分かれる、ふたまたになっている」という意味を持ちます。そして「阜」は、「小高い丘、豊かな」などの意味があります。どうしてこの二文字を組み合わせた名が県名になったのでしょうか。その由来には諸説ありますが、戦国時代の武将・織田信長が深く関わっています。
現在の岐阜県岐阜市にある岐阜城は、織田信長が天下統一の足がかりとした場所。岐阜城は、永禄10年(1567年)に織田信長に攻略されるまで「稲葉山城」という名前でした。織田信長が稲葉山城のある美濃国(みののくに)に本拠地を移す際、禅僧の沢彦宗恩(たくげんそうおん)に良い名前がないかとアドバイスを求めたところ、候補として挙がったのが、「岐山」「岐陽」「曲阜」。これらはすべて、縁起が良いとされる中国の地名だったといわれています。これらの候補の中から、織田信長が「岐」「阜」の2文字を組み合わせて「岐阜」という地名を作り、城の名前とともに城下町の地名とした、と伝えられています。ですから、正解は「2」です。
ちなみに「岐山」とは、古代中国の王朝が殷から周に変わる時に鳳凰が舞い降りたと伝えられる山のこと。「曲阜」は中国の思想家・孔子が生まれた地として知られており、日本の県名で中国に由来する名前が付いているのは岐阜県だけなのだそうです。

栃木県 日光

 

栃木県にある日光は、県内北西部に位置し、世界遺産に登録されている「日光の社寺」を擁する市です。
この「日光」の名前の由来としていわれているのは次のうちどれでしょう。

1:この地で光り輝く太陽が見えた伝説から
2:天気が良い日が多く、日の光がよく当たる土地だったから
3:観音菩薩が降り立つ山の名前から

日光の由来には諸説ありますが、よく知られているのは観音菩薩にまつわる説です。日光には、古くから山岳信仰の対象とされている「男体山(なんたいさん)」があります。この山はかつて、観音菩薩が降り立ったとされるインドの山「ポータラカ」を音訳した「補陀落山(ふだらくさん)」という名前で呼ばれていました。補陀洛山は後に「二荒山(ふたらさん)」という字が当てられ、「二荒」の名を音読みした「にっこう」が、「日光」に変化したといわれています。つまり、正解は「3」です。
ほかの由来として伝えられているのは、男体山と対になっている「女峰山(にょほうさん)」それぞれに男女の神が現れたという説。この二神が現れたことから「フタアラワレ」の山となり、この呼称が日光の元である「二荒山」の由来になっていると伝えられています。現在も男体山の山頂には「二荒山神社」が鎮座しており、この地の山岳信仰の中心となっています。
「二荒」が「日光」に変化したのはいつ頃だったのでしょうか。歴史をさかのぼってみると、「日光」という地名が現れたのは鎌倉時代以降といわれており、それ以前の文献では「二荒」の漢字が当てられています。そしてそこに日光という漢字を当てたのは、弘法大師空海であるという言い伝えも残っているそうです。

古くにできた地名ですが、海外の地名や言葉が由来となっているのは意外だったのではないでしょうか。海外とあまり交流がなかった時代にできた古い地名でも、歴史をたどると海外へ行き着くものがあるのは興味深いですね。