2018年10月16日
朝晩冷え込む季節になると、気になってくるのが体を温める食事。体を温めることには、疲れにくくなる、風邪をひきにくくなるなど、さまざまな効果があるといわれています。そこで今回は、栄養士・国際薬膳食育師特級師範・食育インストラクター1級の阿部富美先生を迎え、10月のお悩みテーマ「体を温める食事」について、みなさんの質問をもとにアドバイスをうかがいました。
たくさんのご応募をいただきましたが、より多くの質問にお答えするため、まとめて回答させていただきます!今回ご質問をしてくださった、ぷー様、あっきー様、野菜大好き様、ほかたくさんのご質問、ありがとうございました!
消化という点でいうと、すりおろした食材は、ショウガに限らず消化されやすいです。ただ、消化のしやすさを気にするほど大量のショウガを一度に食べないでしょうし、料理に合った切り方をしていただければ充分です。
ショウガは殺菌作用や体を温めるといった効能面だけでなく、味のアクセントや隠し味としてなど、さまざまな役割をもつ頼もしい食材。おいしくもなるので、楽しみながら食べると良いでしょう。
次にいろいろなショウガの使い方をご紹介します。そうめんの薬味、冷奴やおさしみ、ショウガ焼き…など、代表的な使い方のほかにも、ショウガを入れるとグンとおいしくなるお料理はたくさんあります。お肉やお魚の臭みをとったり、野菜炒めにちょっと入れてみたり。また、少しすりおろしてカレーやお味噌汁にちょっとプラスしてみるのもおすすめ。入れ過ぎるとかなりスパイシーになるので、気をつけてくださいね。入れておいしい量を使うのがポイントです。
ショウガの効能だけでなく、食べておいしいですとか、調理法や切り方によって食感が変わったり…なども気にしながら試すと、楽しくなりますよ。
体を温める食材は、ショウガのほかにもたくさんあります。ひとつに注目し過ぎず、いろんな食材を食べていただいく方が、体のバランスが整いやすくなります。冬野菜で体を温めるというと、長ネギや万能ネギ、たまねぎなどのネギ類。ネギは薬味としてだけでなく、鍋の具としてたっぷり食べていただくと良いですね。
また、手足は冷えるのに顔はほてるといった部分的な冷えのある人は、体を温めるパワーが隅々までめぐらず行き届いていないということです。そういった方はショウガばかり食べても冷えは改善しない場合があります。めぐりを良くするにはショウガと組み合わせて、小豆、もやし、大根、香りの良いゆずやハーブ類などを食べるのがおすすめです。
ショウガは体を温め、トマトやきゅうりは体を冷やします。一緒に食べると相殺されるようなイメージがあるかもしれませんが、実際には相殺されず、両方のいい所どりができます。体を温めるものだけ食べて、冷やすものは食べない…ではなく、両方食べることが大切です。
また、冬野菜の多くは体を温めてくれますが、レンコンや大根やごぼうは体を冷やす食材。実は冬野菜のなかには「不要な熱=炎症」を鎮める役割がある食材もあるのです。冬は、のどがイガイガしやすかったり、呼吸が苦しかったりなど、炎症が起こりやすい季節。たとえば、のど風邪をひいた時はレンコン汁を飲むですとか、のどがイガイガした時は大根おろしを食べるですとか、おばあちゃんの知恵がありますよね。レンコン汁や大根おろしは、薬が無い時代に食べ物の薬効を利用した、理にかなった食べ方なんです。
昨今は温めることに注目が集まっていますが、体を冷やす・温める、どちらの食材も大切。「体の調子を整える食生活」を考えると、昔からいわれている「好き嫌いせずなんでも食べなさい」というお話にたどり着きます。さまざまな旬の食材をおいしく食べるというのが、食養生の基本なのです。
次回では、冷めてもおいしいお弁当や、お惣菜を選ぶコツ、手軽な調理法など、体を温める「食生活の送り方」についてお話します。お楽しみに!