2018年09月18日
寝付きが悪い、熟睡できていない、私の寝方って正しいの?人生の3分の1を占めるともいわれる睡眠は、多くの人にとっての関心事です。そこで今回は、「(一社)日本眠育普及協会」の代表であり、睡眠インストラクターとして広報活動をされている橋爪あき先生を迎え、9月のお悩みテーマ「睡眠」について、皆さんの質問をもとにアドバイスをうかがいました。
たくさんのご応募をいただきましたが、より多くの質問にお答えするため、まとめて回答させていただきます!今回ご質問をしてくださった、白豚様、マジュヌーン様、のっち様、頑張れ様、ほかたくさんのご質問、ありがとうございました!
スマホやパソコン、タブレットは液晶画面ですよね。今では、テレビも液晶画面です。液晶画面からはブルーライトという、太陽の光に近い光が出ています。寝る前のスマホなどが良くないといわれるのはこのためで、ブルーライトによって体が「昼間だ」と錯覚するわけなのです。
夜に眠くなるのは催眠ホルモンであるメラトニンのおかげで、メラトニンは起床後14〜16時間あたりから少しずつ分泌されます。このタイミングで液晶画面を見ると、体は昼間だと勘違いして、メラトニンの分泌が下がっていく。つまり、液晶画面を見ていると眠くなりにくいのです。
また、ブルーライトは目がとても疲れます。眠りにくい分、睡眠時に眼の疲労を修復ができなくなるので、眼自体にも良くありません。このようにブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制する点、眼が疲れる点と、2つの良くない理由があるわけです。就寝の1時間くらい前にはスマホ、パソコン、テレビを見るのは止めたほうがいいでしょう。
日本の家は白い蛍光灯が多く、とにかく明るいです。これもあまり良くありません。昼は明るいほうが良いのですが、メラトニンが出てくる20時以降からは部屋の照明を薄暗くしていただきたいです。
メラトニンはとても大切なホルモンで、私たちを睡眠に導くだけでなく、生体時計を調整する作用があります。それから最近は抗酸化作用や腫瘍ができるのを抑える作用(抗腫瘍作用)があることが分かりました。ですから、メラトニンを出してよく眠るというのはとても重要なのです。
可能であれば、夜になったらオレンジ色(電球色)の間接照明に切り替えましょう。欧米映画やドラマの夜のシーンでよく見る、薄暗い部屋でソファーに腰掛けて、手元ライトで読書をする……というイメージです。読書灯もオレンジ系で、手元だけ明るければじゅうぶんです。最初は少し不安かもしれませんが、慣れてくると明る過ぎる照明はとても疲れるということが体感で分かってきます。
寝具よりもまず大切なことは、朝日をきちんと浴びることと、夜は薄暗くした部屋で過ごすことです。その上で、あまりにも寝返りが多くて目が覚める、起床時に首が痛くて仕方がないという場合は、寝具が原因かもしれません。
ベッドマットを買うとき、お店で寝心地を試したとしても、ほんの数十秒のこと。数時間も寝たらどうなのかは分からないわけです。しかも、ベッドマットは高価なので、失敗してもなかなか買い換えることはできません。
私がこれから寝具を買う方におすすめしているのは畳ベッドです。マットが畳になっていて、その上に敷布団を敷くタイプです。これはベッドマットよりはずっと安いので、自分に合わなかった場合に買い換えやすいですね。また、リースを利用して、試してみるのもいいでしょう。
スノコは通気性が良いですが、やはり、スノコの上には敷布団を敷いていただきたいです。タオルケットのみだと筋肉と骨に体重の負担がかかりますし、寝返りもうまくいかないと思います。よく寝具店で相談して、寝具を購入されると良いですよ。
枕の高さは敷布団とセットで考えます。枕屋さんで枕を作っても、家の敷布団がすごく沈み込むタイプなら、枕の高さは変わってしまいますよね。
ちょうど良い高さを知るには、タオルがおすすめです。タオルをミルフィーユのように重ねて、一枚ずつめくって「高い」、「低い」と試してみてください。タオルをそのまま枕として使っても構いません。また、頭寒足熱という言葉もあるように、放熱性と放湿性がある材質が良いですね。
枕は「これじゃなきゃ!」というものはなく、たとえば風邪で呼吸が苦しいときは、少し高めのほうが寝やすいなど、体調によっても変わってきます。枕の横にクッションをひとつふたつ置いて、クッションのほうが気持ちよいときにはクッションで寝付くなど、微調整できる環境を作ってみてください。朝起きると、ちゃんと枕のほうに移動して寝ていることでしょう。
寝付くときの姿勢は、ご自身が一番心地よい姿勢で構いません。窮屈になったら必ず寝返りしているので、気にする必要はありません。ただ、うつぶせは首をひねった形で首と顎に負担をかけるので、ちょっと気をつけてほしいと思います。また、睡眠時無呼吸症候群(重いイビキ)の方は、横向きクッションなどで、横向きに寝て、イビキを抑えるようにしたほうがいいでしょう。
寝付くときの姿勢よりも、楽に寝返りできるかが大切です。寝返りは一晩で30回ぐらいはしますから、寝返りしたくてもできないとなると、苦しくて目覚めてしまうこともあります。
寝返りをうまく打つためには、敷布団はやや固めで、滑りが良い素材のシーツが適しています。モコモコしたシーツやパジャマだと、滑りが良くないので寝返るのも大変です。できるだけスルッと滑って動けるほうが良いですね。
やわらかいマットは、ふんわりと沈んで気持ちいいのですが、沈めば沈むほど寝返りは打ちにくいですよね。私はやや硬めをおすすめします。体格が良く体重もある方はマットが沈むのでさらに硬め、反対に小柄で軽い方は柔らかくてもあまり沈みません。最近の寝具店では体重やBMIまで測ってくれるところもあるので、よくご相談されるといいと思います。