2018年08月28日
体調がイマイチだな、病院に行ったほうがいいのかな?ちょっとした体の不調は、なかなか人には相談できないもの。そこで今回は、薬剤師・国際中医師である中垣亜希子先生を迎え、8月のお悩みテーマ「夏バテ」について、みなさんの質問をもとに、中医学からみた夏バテと健やかに過ごすためのアドバイスをうかがいました。
たくさんのご応募をいただきましたが、より多くの質問にお答えするため、まとめて回答させていただきます!今回ご質問をしてくださった信明携帯様、はるちゃん様、ほかたくさんのご質問、ありがとうございました!
今回は体質や症状にあわせて、おすすめの食材、避けたい食材や食べ方などをご紹介します。養生する際、「やったほうがいいことをする」よりも、「やらないほうがいいことをやらない」方が、素早く体に良い影響を与えます。「控えるといいこと」も意識してみてくださいね。
夏バテにもさまざまな症状があるとお伝えしましたが、もともとの体質や、重きを置くところによって選ぶ食材や漢方薬は大きく変わります。中医学では「夏バテには○○を食べて」と一概には言わず、その人の体質や症状を見ながら、おすすめの食材を選んでいきます。
暑さで食欲がない時には、無理していつもと同じ内容・量を食べなくても構いません。胃をある程度休ませるつもりで、消化に良く栄養のあるものを食べられるだけ食べましょう。たとえば、穀物は比較的胃腸に負担をかけにくく、特に栄養価の高い雑穀米のお粥がおすすめです。冷たいものや生のものばかりではなく、さっぱりした味付けの温かい和食で、消化に良いものをいただきましょう。
「陰虚」と呼ばれるこのタイプは、肌が乾燥する、目や鼻が乾く、喉が渇く、コロコロした乾燥便、ほてりなどの状態が見られます。
第2回のチェックリスト「陰(=潤い)が足りない「潤い不足(陰虚)タイプ」はこんな人」 も参考にしてくださいね。
せたがや相談室~夏疲れを癒やす食事や習慣~|第2回「夏バテになりやすい体質とは? 中医学で考える夏バテ対処法」
https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/277体調がイマイチだな、病院に行ったほうがいいのかな?ちょっとした体の不調は、なかなか人には相談できないもの。そこで今回は、薬剤師・国際中医師である中垣亜希子先生を迎え、8月のお悩みテーマ「夏バテ」について、皆さんの質問をもとに、中医学からみた夏バテと健やかに過ごすためのアドバイスをうかがいました。
このタイプの方は、「陰(潤い)」を補ったり、喉の渇きを止めたりする食材がおすすめです。
白きくらげ、黒きくらげ、山芋、トマト、きゅうり、ズッキーニ、おくら、エリンギ、梅、スイカ、梨、ココナッツ 、蜂蜜、豆腐、豆乳、葛(クズ)、アスパラガス、オリーブ、黒豆、豚肉、イカなどですね。
中医学では、「酸味」と「甘味」が合わさると、「陰(潤い)」が生まれると考えます。黒酢・レモン・梅などの「酸味」と、蜂蜜などの「甘味」を組み合わせてドリンクを作るのもおすすめです。
唐辛子やカレーに使うスパイスなど「刺激が強い香辛料」の多くは、体を乾燥させてしまうので控えめにしてくださいね。
また、発汗は潤いを奪うので、潤い不足タイプの方はサウナやホットヨガといった大量の汗をかく習慣は控えめに。夜更かしや目の使い過ぎも、潤いを消耗するので避けるようにしましょう。
このタイプの方は、「気(エネルギー)」を補う食材がおすすめです。穀物、豆類、かぼちゃ、山芋類、イモ類、なつめ……など。ホクホクした食感のものが多いです。
「気(エネルギー)」は食べ物を消化する際にも使われます。消化器系に負担をかける飲食物、たとえば脂っこいもの、甘すぎるもの、味の濃いもの。それから刺し身や生野菜などの生のもの、冷たいものや、唐辛子などの刺激が強い香辛料やアルコールは控えめにしましょう!ちなみに乾燥ショウガはじんわりとお腹を温めるので、冷えを感じる人にはむしろ好ましいです。
また、発汗すると「気」も「潤い」も消耗します。エネルギー不足タイプの方も、サウナやホットヨガなどで大量に汗をかくことは避けましょう。
暑さによって暑邪に襲われると、体に熱がこもり、のぼせや火照り・すごく汗をかく・喉が渇く・心がそわそわして落ち着かない・イライラするなどの症状が出てきます。
特に、体が乾燥しがち・過飲過食によるエネルギー過多・ストレスが多い・炎症が起きやすい人に気をつけていただきたい邪気です。
熱を冷まして暑さを楽にする食材がおすすめです。
夏野菜や南国産の果物が多く、ゴーヤ、ウリ類(きゅうり、スイカ、冬瓜、ズッキーニ、メロンなど)、小麦、はと麦、小豆、緑豆、緑豆もやし、トマト、アスパラガス、ナス、空芯菜、キウイ、パイナップル、メロン、バナナ、シジミ、ココナッツ、海藻類など。 私は夏の暑い時期に、緑豆と白きくらげのスープや、緑豆・ヨクイニン・粟のお粥などを作って食べています。
脂っこいもの、甘すぎるもの、味の濃いものや、唐辛子などの辛いものやアルコールなどの刺激物は、体にますます熱をためこみます。食べ過ぎに注意しましょう!
湿気が体に入り込むと「湿邪」となり、体が重だるい、むくんでしまう、口がネバつく、胃もたれや下痢を起こしやすくなります。もともとこれらの症状のある人は、さらに強く感じるようになります。
体に滞っている余分な水分を排出するには、ヨクイニン、とうもろこしのひげ茶、ウリ類(スイカ、冬瓜など)、豆類、海藻類、アサリ、ハマグリなど。 このなかには体を冷やす寒涼性の食材が多いので、胃腸が弱い方はしょうがなど温熱性の食材と組み合わせて冷え過ぎないようにしましょう。
スイカは滞った水分を出すだけでなく、こもった熱を冷まし、潤いも補ってくれるので、複数のタイプに対応します。ただし、胃腸が弱くて、冷えを感じる方は控えめに。
消化しきれなかったものは、余計な湿気として体内に溜まります。疲れている、食欲がない、胃がもたれるといった時は、脂っこいもの、甘すぎるもの、味の濃いものや、刺し身や生野菜など生もの、冷たいものの食べ過ぎに注意しましょう!
冷たいものの過食過飲や、エアコンの冷気が「寒邪」になると、体に冷えをこもらせます。体が冷たい、顔色が悪い、肩こり、神経痛の悪化などを招くので、寒さを感じたら、夏でも羽織ものや靴下などで対策を。
ただし、熱中症予防のためにもエアコンは適宜使うようにしてくださいね。
体を温める「気(=エネルギー)」を補う食材がおすすめです。「B.エネルギー不足タイプ」と同じく、穀物、豆類、かぼちゃ、山芋類、イモ類、なつめなど。
刺し身や生野菜など生のもの、冷たいものはなるべく控え、火を通して温かい状態でいただきましょう!
旬の食べ物には、「精(せい)」がしっかり宿っています。「熱こもり傾向」でご紹介したように、夏の食材は熱を冷ます性質のものが多いです。夏野菜を食べる時には、体を冷やし過ぎないひと工夫を。生食はなるべく避け、体を温めてくれるしょうが・ネギ・ニンニクなどと一緒に加熱調理して、温かい状態で食べるのがおすすめです。
スイカはさまざまなタイプの人におすすめですが、体の冷えが気になる人は、控えめに。食べる時は、電子レンジで少しぬるくしてから、少量だけ食べるようにしましょう。
毎年、夏はスタミナ食が注目されがちですが、体質によっては逆に体に負担をかけてしまうことも。また、熱中症の危険がある際など、冷たい飲食物を積極的にとりたい場面もあります。何を食べ、飲むべきか、自分の状態をよく観察しながら選んでいきましょう。