2024年04月15日

楽しいコミュニケーションで心身の健康アップ!

コミュニケーションの大切さや、心身の健康維持に効果的なポイントをご紹介します。


教えていただいたのは 監修:和田 秀樹(わだ ひでき) 和田秀樹こころと体のクリニック 院長 1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。心理学、教育問題、老人問題、人材問題、大学受験などのフィールドを中心に、テレビ、ラジオで活躍、著書多数。現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師を務める。
目次 ● コミュニケーションの効果 ● コミュニケーションが脳の活性化につながる ● 脳を活性化していつまでも若々しさを保つ ● 不安やストレス解消に効くコミュニケーション ● 脳の活性化に効くコミュニケーション

コミュニケーションの効果

心の健康維持

 ただ誰かと言葉を交わすのではなく、対話をすることで自分を理解してもらうのと同時に、相手を理解する。互いに気持ちが通じ合うことが、自分を理解してもらえた、受け入れてもらえたという安心感につながり、不安やストレスの解消に役立ちます。同時に、家族や親しい友人とのコミュニケーションを通じて、心の中にあるもやもやした気持ちを整理し、言葉にして開放することで、心の健康につながります。

認知機能の衰え防止

 コミュニケーションを楽しむには、自分の気持ちをさまざまな言葉で表現したり、相手の話を理解し、どう答えるかを考えたりする力が必要です。日々のコミュニケーションでこうした能力を使い続けることが脳を活性化し、認知機能の衰え防止につながります。

コミュニケーションが脳の活性化につながる

 何気ない会話であっても、人が会話をするときは、相手の話を聞き、内容を理解し、それにふさわしい内容を考え、話をします。さらに、相手の表情を読んだり、気持ちを推し量ったり、脳はとても活発に働いています。
 こうしたコミュニケーションを行う際、聞いた言葉を理解するためには、大脳の左右の側面にある側頭葉のうち、左の側頭葉が活発に働きます。伝えたいことを言葉にし、話すときには、大脳の前の方にある前頭葉という部分が活発に働きます。さらに、記憶に関わる海馬(かいば)と呼ばれる部分の働きも活発になるなど、会話には脳のトレーニングになる要素がたくさんあるのです。

脳を活性化していつまでも若々しさを保つ

 健康な人でも、加齢によって脳の機能は徐々に衰えていくものですが、衰えていくスピードは脳の部分によって異なります。側頭葉の衰えは比較的ゆるやかで、高齢になっても相手の話は大体理解できます。
 しかし、思考や判断力、感情を司る前頭葉は衰えやすく、言いたいことが言葉として出にくくなってきます。同時に、新しいことに対する興味がなくなったり、それまで続けていたことへの関心が薄れたり、前向きな気持ちも失われがち。家に閉じこもることが増えていくと、足腰も弱ってしまいます。
 こうした衰えを防ぐために必要なのが、脳をしっかり使い、いい刺激を与え続けることです。日頃から積極的にコミュニケーションをとり、脳を活性化することが若々しさを保つ秘訣です。

不安やストレス解消に効くコミュニケーション

1.気心の知れた相手とときには弱音や愚痴も
 一緒にいると気持ちが和らぐ、話が弾んで気分がリラックスできる相手を選びましょう。日頃から信頼し合い、思いやりを持って接している相手となら、安心して本音を言い合うことができるもの。失敗して気分が落ち込んでいるときや、嫌なことが重なってイライラしているときには我慢せずに、弱音や愚痴、文句を言うことも大切です。
2.異なる意見も会話が弾むきっかけに

 人と違う意見を言うのはよくないことのように思っている人もいるかもしれませんが、むしろ、異なる意見があるからこそ、「どうしてそう思うの?」「どこがいいの?」「こっちのいいところは…」と会話が弾みます。コミュニケーションは周囲に話を合わせることではなく、対話をして互いに理解し合うことです。それが信頼感や心の結びつきにつながります。

不安やストレスの解消にはこんな方法も  直接会ってゆっくりおしゃべりをする機会をつくるのはなかなか難しいものですが、電話なら大丈夫。スマートフォンやタブレット、パソコンがあれば、ビデオ通話で相手の顔を見ながら話すこともできます。
 また、手紙やメールなら、電話のように相手の都合を気にする必要がありません。しばらく会っていない友人などには、まず手紙やメールで連絡を取ってみてはいかがでしょう。

脳の活性化に効くコミュニケーション

1.積極的に話をする
 人と会話をしていて、聞き役に回ることが多いという自覚がある人は、もっと積極的に話をするようにしましょう。自分が感じていることや、さまざまな感情を整理し、どのような言葉にしたら相手に伝わるか、理解してもらえるかを考え、話をすることで脳が活性化します。
2.知らないこと、新しい話題に関心を持つ

 前頭葉はいつもと違うことや、予定調和にないことで刺激を受け、活性化します。ときには自分とはまったく異なる経験の持ち主や、異なる年代の人とのコミュニケーションを楽しみましょう。予想のつかない話の展開や、自分には思いもつかない考えを聞くことが脳への刺激になり、新しい知識を得たという満足感にもつながります。

3.表現の仕方を考える
 料理の話や、旅先で見た景色の話などをするとき、ただ「おいしかった」、「きれいだった」ではなく、味や香り、食感をどう表現したらいいか、空の色や街並みをどう説明したら伝わるか、表現の仕方を考えましょう。常に考えるクセをつけることが脳の活性化に役立ちます。
テレビ相手の独り言は脳トレになる  テレビのニュース番組をただ眺めているのではなく、「なぜ、こんなことが起きたのだろう?」「それは違うのではないか?」「私ならどうするだろう?」など、疑問を投げかけてみたり、自分の考えを整理して、言葉にしてみましょう。コミュニケーションにはなりませんが、思考し、言葉にすることで前頭葉の働きが活発になり、手軽な脳トレになります。